アイナナってもしかしてゲームですか?

 

※本記事にはイベント攻略的な要素は含まれません。
※詳しいイベントルールは有識者先輩たちのブログやまとめツイートをチェックしてね。ごめん。

 

遡ること10日ほど前、sugaoというイベントが復刻するらしいことを知った。
同時期、X(旧Twitter)のおすすめ欄でこんなような感じのツイートをいくつか見た。

 

「アイナナのことゲームだと思ってない人って多いのかな?」(意訳)

 

特にポストに対して反応したりすることはしなかったので件の発言がどの層の人たちのものだったのかは覚えてないのだが、私はこれを見て

「私はアイナナをゲームだと……思ってないかもな」

という感想を持ったことだけは覚えている。

はっきりと断っておくが、本記事においてこのポスト主に対する意見や他意は全くもってないのでご承知おきいただきたい。というか、今回のイベントを走るきっかけをくれた言葉そのものなので、感謝を伝えたくはてなブログを立ち上げていると言っても過言ではない。

 

私はムビナナからアイナナにハマったいわゆる新規である。加えて、ソシャゲがどうも苦手な人間だ。
毛嫌いしていてアレルギー反応が出るというほどではないが(どうかな…)ログインは続かないし期間限定のイベントというものに興味がわかず、リズムゲームは幼い頃から大の苦手であった。
そして何より、すでに類似のソシャゲフォーマットになれた猛者たちに対して何年間ものビハインドをとっている自分が今更十分に楽しめるのか?という偏屈マインドが私の興味を失わせていた。1ヶ月と持たずアンインストールしたソシャゲは数知れず。

ついでに言うと、私はアイドルオタクである。アイドリッシュセブンというコンテンツ自体もいわゆる「メディアミックスアイドルコンテンツ」だと思っており、ムビナナから入ってG4Yや楽曲を楽しみ、メインストーリーやその他ストーリーは大いに楽しんだものの、ゲームが主体であるコンテンツだとは正直言って微塵も思っていたなかった。
大袈裟ではなく、アプリゲームが主体であるとは微塵も思っていなかったのだ。

ちなみにガシャは好きでよく回している。アプリはガシャを回してラビチャを読むためのプラットフォームであると認識していた。

だから先述のポストを見た時、先述のポストの裏に滲む「アイナナをゲームとして見てなくて、だからイベントに参加しない人も多いのかな」という意図を汲み取った時

「私のことじゃん」

と思ったわけである。

 

sugaoというやつが復刻するらしくて絶望する新規

別にそのことになんの感情も抱かなかった。私のことを言ってるなーくらいの気持ちだった。繰り返すがTwitterのおすすめ欄で見たツイートだったため、フォロイーの発言ではないと言うことでさほど気にしなかった。

そして話は戻るが、sugaoとかいう絵アド爆高イベントが復刻するらしい。
そして、グレードB以上とやらになるとシークレットと言われる表情差分カードがもらえるらしい。
なるほどね?
それはめちゃくちゃ興味があるね。
お知らせを見る。はいはい、前半後半に分けてやるのね。ガシャも一緒に復刻するのね。Bくらいなら初心者でも入れるかな?

 

……推しと推しの日程が被ってるんだが?

 

自分の推しは十龍之介で、八乙女楽(と御堂虎於と四葉環と二階堂大和と千)(と九条天と和泉三月)も推している。のだが、なんとこの二人のイベント日程が一緒なのである。

どっちもほしいんですけど。

この手のランキングイベントでは、上位何%に入れるかというグレード制度の中で最大2枚のシークレットが手に入る。
2枚のシークレットを手にいれるには上位1%に入る必要があるようだった。

 

いや、無理だが。

 

ルールもよく知らん新規がそんなのを目指せるわけないだろ。
加えてTLでこんなようなツイートも見た。

「古参は最大8枚特攻持ってるし、新規で走る人は大変やろなあ」

(これも誰のツイートか忘れてしまった…こちらはフォロイーだった気がするんだけど……)

 

 

いや〜、無理だが?

 

 

弱気構ってちゃん。ではなく、やらない理由を並べてシクレを手に入れられないであろう自分の可哀想さを慰めていた。

 

「俺は去年のマリマリで同じような状態だったけどシクレ手に入れた、いける」

「特攻0枚でもBには入れる可能性ありますよ!」

 

が、頑張れる気がしてきた!!(単細胞)

 

 

なんやかんやで何も考えず当日

イベント頑張ると寝不足になるって聞いてたのに前日3時までTLに貼り付いて、当日の朝は9:30から上映のムビナナ爆音上映に行った。7時起きである。

友人の環担がそこそこ推しのイベントを頑張っているタイプなのだが、彼女曰く「走ると決めたのなら最初の1〜2時間頑張った方がいいよ」と言っていたのでなにも考えずに鵜呑みにした。彼女ののこの助言の意味がわかるのはイベントが始まって1日ほど経ってからのことである。まじでなにもわからず「ふーんお前がそう言うなら」って感じで実行した。

爆速で仕事を片付けて17時ジャストにアプリを開く。

「特攻がとにかく強い」ということだけは知っていたのでとりあえずガシャをぶん回してみた。

出るまで回せば出る!!

 

八乙女楽も出したかったけど30分(意訳)粘っても出なかったので諦めた。
道中で捕まえた他特攻3枚を携えて、いざイベント参加!

ということで、私の初ランキングイベント発走は17:30からとなった。
この時はまだ「SSとか入れたらいいな?入れるのかな?」くらいのはずだったのだが。

 

 

 

 

結論を先に言う。めちゃくちゃ楽しくて全力で走ってしまった。


SSのボーダーは560位だったらしい。いや、余剰。

「やるならとことん」の性格が遺憾無く発揮されてしまった。

 

というわけでここから、ソシャゲ(特にリズムゲー)苦手(というか嫌い)の新規がランキングイベントに夢中になった話を書く。
「イベントって気になるし走ってみたいけど、正直難しいし面倒くさいし手が出ねえ〜」と思ってるそこのあなたに届いてほしい。
「ソシャゲのゲームって正直ゲームっていうより作業なんでしょ?」と思ってるそこのあなたにも届いてほしい。
「結局金で殴るゲームなんでしょ?」と思ってるそこのあなたにも届いてほしい。ごめん、それはそうかも。

でも毎度ガシャには課金してるのにイベント走ってない人いるでしょ!?そう言う人には届いてほしいよ。

 

意外とおもしろいから、これ。

 

 

まず流れてくるノーツが見えない

新規、まずブーストと難易度のどれを選んだらいいかわからない。
そのレベルからである。
「累計ポイントイベント」って言うくらいだからブーストは×3で難易度はexpert+が一番ポイントもらえるんでしょ、わかんないけど。
あ、ブーストってライフ(AP)をたくさん消費するのか。なるほどね。

 

どの曲叩いても一緒なのかな?一旦全曲叩いてみよう。ということで一旦イベント内の全曲expertをお任せ編成で叩いてみた。

いや、まったくたたけん。スコアAとかなんだけど?どうしたらいいのこれ?

最遅テンポに設定しても何がどうなってるのかわからずとりあえずめちゃくちゃに盤面叩くことしかできないんだが。

ここで一回心が折れそうになる。
が、カードのレベルを上げてないことに気がつき「もしかして…?」と思って引いたカードたちをとりあえずレベルマックスにした。
碌に真面目にアプリやってない新規、育成プリンが枯渇する。

急いでドラコレ秋のページに行き、交換してなかったアイテムとプリンを交換した。
とりあえず4枚ともレベルマックスにはできた。ついでによくわからないけど特訓もMAXにしてみた。いわゆるランキングではないイベントはちょこちょことこなしていたので推したちの特訓アイテムはあり、加えてカード育成を全くしていないので各キャラクターの特訓アイテムがたくさんあった。
そして私は今回の前半組にとにかく推しが固まっているので、たまたま全員分の特訓アイテムを持っていた。
サンキュー偶数組。九条天もこっちに来ない?

ところで全くもって話は変わるのだが、私のYouTube musicによると今年私は一番聞いた曲はSUISAIらしい。
そう、私はSUISAIが大好きだ。なんとアイナナにハマったきっかけであるBEAUTIFUL PRAYERより聴いている。
これはSUISAIで叩くしかないな。ついでにそんなに複雑なノーツの並びでもなかったので「これならまだ行けそう」ということでSUISAIを繰り返し叩くことにした。

あとから知ったのだが、イベントごとに獲得ポイント×曲の長さで算出される「ポイント効率曲」というものがあり、SUISAIが今回のsugao復刻前半の最高率曲だったらしい。これは本当にラッキーだった。

最初はこんな感じで走った。



特攻じゃないこの天くんはなんと私がミスをしても4回もパーフェクトにしてくれる最高に優しいカードだ。
ムビナナを初見した日に「つなしさんのピックアップガシャやってる🥳」と思って100連したらつなしさんは来てくれなかったけど天くんが来てくれた思い出の天くんである。

この天くんのスーパーフォローアップもあってか、少しずつ叩けるようになってきた。
レベルを上げて特訓をMAXにしたらスコアはSSで安定するようになってきた。
そしてなんと、粘り強く何度も叩いていると、だんだんと流れてくるノーツが見えるようになってくるのだ。

「こんなの絶対叩けないけど!?」っていうとんでも譜面も、慣れてくるとマジで自然と叩ける。正直叩いてるときの自分の指がどうなってるかは全くわからん。
でも人間の慣れとはすごいもので、頭で理解するよりも先に指が動くようになるのだ。

これが、めちゃくちゃ、楽しい。

前述の通り、私はめちゃくちゃにリズムゲーが苦手だ。毛嫌いしているほどにできない。
そんな自分でもやれば上達するんだ!という驚きと感動でドーパミンがドバドバでた。
ちなみに開始から3時間ちかくフルコンボはできなかった。それでも楽しい。

騙されたと思って好きな曲で繰り返し叩いてみてほしい。楽しいのだ。

「ここ絶対叩けない〜」と思ってた難所がいつのまにか叩けるようになる快感。
なにが起こってるかわからないけど自分の指が勝手に動いてperfectを連発する快感。
右手と左手で違うことができなかったのにできるようになる快感。
さっきまで叩けていたはずのところがノーツが見えるようになると何故か叩けなくなる悔しさ。
もう少しでフルコンボだったのに最後の最後でミスしたときに出る「あー!!」

3〜4時間ほど叩いて集中力が切れ、ここで初めてルールを調べた(遅い)

環担に教えてもらって赤消しとワンレーンパーフェクトをつけるようになった。

叩いているとだんだん苦手なレーンがわかってくるので、ワンレーンパーフェクトがそこを引く運ゲーが始まった。

 

楽しいんだ、これが。

 

普通に「ゲームが上達していく楽しさ」がある。
そして運ゲーが好きなので「次こそ」「次こそは!」「今のは運が悪かっただけ!」と何度も何度も試行回数を増やしていってしまう。

この頃のリザルトが大体こんな感じ。

 

このリザルト画面、ほんと〜〜〜〜〜〜に初見では意味がわからない。

普段イベントを走らない人がどれくらいこのエントリを読んでくれているのかわからないが、このリザルト、マジ意味わかんないよね?

意味わかんないなと思いつつ、自分の上達が楽しすぎて17:30から23:00までぶっ通しで叩き続けた。
見る人が見たらたぶん狂気の沙汰である。

 

でもね、ルールわかんなくても一旦何もわからず叩いてみるのもおすすめ。
ゲーム自体が楽しくなってくると「もっと効率よく順位を上げたい」「何がどう作用してるのか知りたい」って気持ちが自然と湧いてきて、あんなに面倒くさかったルールのリサーチが「やりたいこと」にカットインしてくるからね。

人間、必要に駆られないと勉強なんてしないんだから。
でも勉強したら意味が全てわかるようになる。

さっきの画像とこの画像の違いもわかるようになる。

 

現に私は特に詳しくルールも調べず叩き続けて、いつのまにか100位を切っていた。

 

これは俺スゲーとかそう言うことではなくて、たぶん初日の平日にここまでぶっ通しで叩き続けるひとがそもそも少ないんだと思う。
叩けば叩くほど順位が上がっていき、なんとなくこの辺で停滞した。

 

人間は得ることによる快感より失う恐怖の方が感じやすいらしい

このルール、どうやら休憩時間が設定されているらしく、デフォルトは深夜2時〜8時で設定されているのだが、一旦自分は夜型の人間なので8時〜14時を休憩時間に設定して眠くなるまで叩いてみようと目論んだ。

夜型の人、深夜に叩くのおすすめだ。見たことない順位になれるのでモチベーションが爆あがりする。
ついでにTwitterにしれっと投稿して自慢しちゃお☆
この後どう頑張ってもこれ以上はなかなか上がらなかったのだが、一度この順位まで来てしまうと二桁から落としたくなくなってしまう。
そう、初めに友人の環担が教えてくれた「スタートダッシュせよ」にはこのような利点があったのだ。

 

追いかけるのも楽しいが、順位が落ちないように叩いたり叩かなかったりコントロールするのは精神の余裕がすごい。
まあ4時ごろ早々に寝落ちはしたけど。

 

土日に突入した。
土曜日の昼過ぎに起きるとその日の予定がドタキャンされていた。

なるほど?

普段なら「なんだよ〜」となるドタキャンも、このときばかりは「ちょうどいいな」を感じた。人間とはかくして現金な生き物である。

どのくらい叩いていたかは覚えてないのだが、とりあえず60〜80位くらいをうろうろするスピードで叩いていた。
この頃になると最速一歩手前のテンポでちょこちょこフルコンボが出せるようになってきた。
「もしかしてこのゲーム楽しいかも?」と思って(遅い)追いガシャをした。
八乙女楽は出なかった。

 

日曜日はナンジャタウンに出かけた。
アイナナ仲間と遊んでいるのをいいことに友人の前で叩き続けた。
このあたりから、音楽を聞かなくてもフルコンボが出せるようになってきた。

なんと家で一人で悶々と叩いている時よりスコアがいいのである。
メンタルゲーのゴングがなった。

なるほど。単純作業の繰り返しゲーの真髄とはすなわち己のメンタルとのゲームであるとはよく言ったもので。
友人と会話しながら叩くのは非常に精神衛生が良かった。

テンションが上がってすでに特攻は5枚揃ってるのに追いガシャした。
御堂虎於が出た!!!ありがとう御堂虎於大好き!!

 

ここまでもここからも、順位進捗をTwitter(元X)に投稿し続けた。
今まで全くイベントを走って来なかったのでいきなりイベント順位のスクショをあげまくる新規アカウントに動揺した人も多かったことと思うが、これがモチベーションに大いにつながるのである。

いわゆる「フォロワーに監視してもらってる」と言うやつだ。

余談だが、イベントランキングツイートをし始めてからフォロワーがごそっと減った。か、悲しかった……。
ごめんよ、いきなりイベントの話ばっかりしてうるさかったよね……

だが、そんな人たちの気持ちも正直わかるんだ。
私もイベント走るまではイベント順位のスクショを上げ続けるフォロイーを見て「がんばれ」とは思いつつも、正直「わかんないからつまんないな」と思わないでもなかったから。(すまん)

失ったものは仕方がない。気を取り直して頑張ろう。
初期摩擦を乗り越えた今、今後イベントを走ることもあるだろうし、遅かれ早かれ別れはあったもものとする。

と思ってたら、3日目が終わる頃にはちょうど減った分のフォロワーが増えていた。

「イベントを走ってこそ」勢が……いる……!ようこそ……!(歓喜

 

長時間ゲームができる体質

先ほど少し触れたがもともとゲームが趣味の人間だ。
土日で30時間ゲームするようなタイプなので、ずーっとこの「ゲーム」をやり続けるのは肌にあっていた。

SS取るだけならこんなにやらなくても良かったんだけど、そういう体質だったことに加えて、まじでめちゃくちゃ楽しくってつい全力でやりすぎてしまった。
「楽しい」だけでどこまでいけるかに挑戦したくて頑張ってみたところもあるので、これを見て少しでも「そんなに楽しいなら……」って思ってくれる人、いないかな〜〜〜と言う感じである。

このまま月曜日も火曜日も順位が二桁から落ちてしまわないように緩く叩き続けた。

そして肝心の最終日はなんと別界隈の現場があり、綺麗に100位を取り逃がしたわけなのであった。

終了2分前まで100位だったのに1曲差で追い抜かれちゃったよ〜( ;  ; )

 

 

「イベント走っててえらいね」

イベントって、走ってる人を見ると「えらいな」という印象を持ってしまうのは私だけなのだろうか。
私は普段コンシューマーゲームをするのだが、シーズン制が敷かれているゲームにおいて毎シーズン欠かすことなくプレイしているプレーヤーを見ると「えらいな」もしくは「本当にゲームが好きなんだな、羨ましい」と思うのである。

冒頭の話に戻るが、「アイナナのことゲームだと思ってない人って多いのかな?」と言う話題や「イベント気になるけど…先行利益組に勝てるわけないし…」の気持ちを含むプレイ勢と非プレイ勢の距離を遠ざけているのもこのよくわからない印象が作用している気がしてならないのだ。個人的にはね。あくまで個人的には。

別にアイナナのゲームを、イベントをプレイしている人がえらいと言うことが言いたいわけではない。いや、これを書いたらそう受け取られる可能性が高いことも大いにわかっているつもりなのだが。

でも、どちらかというとこの「モヤモヤの方」を同じように感じている人たちに対して「やってみたら案外いけるし、なんならゲームとしても案外面白いから騙されたと思ってやってみ」と言いたくてこれを今書いている。

走ってみてわかった。走った自分が誇らしいのだ。その誇らしさを裏返すと「えらい」に相当するんだと思う。そんなイベント勢の空気を察知して、イベント走ってない勢の自分も「えらい」の空気に焦れていたんだと思う。

 

アイドリッシュセブン』は仲間と共に成長するアイドルをキーコンセプトにしたメディアミックスプロジェクト。

スマートフォン向けアプリゲームを主軸にし、音楽・LIVE・アニメ・書籍・企業さまとのタイアップと、さまざまなメディアを通したアイドル創出プロジェクトです。

────アイドリッシュセブン公式HPより引用

公式さんもアイドリッシュセブンは「メディアミックスプロジェクト」とおっしゃってますし。
アプリゲームが根幹のプラットフォームであったとしてもゲームしない勢がいたっていい。アイドリッシュセブンは懐の広いコンテンツだから。

かくいう私も、普段は現場最優先のオタクである。
今回はたまたまランキング得点が欲しくて、たまたま5日間の予定がいい感じだったので頑張ってみたが、今後もイベントに全力で向き合うかと言われたらぶっちゃけ「そうでもない」が回答になる人間だ。

でも、きっと次回のイベント参加のハードルは低いだろう。
一旦楽しみ方を知ったからだ。そして走る中でもっとたくさんの知識を得た。
時間効率、ポイント効率、AP効率などなど、奥が深くてやり込める要素がたくさんあるようなので、機会があれば今度こそ二桁を目指してみようかなと思っている。

そんな「ハードルの低い状態」になれた今なら、来年また毎月開催が始まるであろう累計ポイントイベントには大体参加できる気がしている。

 

誰かのそんな最初の一歩になったらいいなという思いと、
こんなに頑張ったこと絶対にブログにしてやるからなの思いで記事を公開する。

推しのシークレットは、いい。マジでいいから。

 

 

 

アイナナはゲームだったよ。

ゲームでもあった。無限に楽しめるなこのコンテンツ。

 

 

 

 

 

 

 

 

(2023/12/5 追記)

苦手意識がなくなれば累計だけじゃなくてスコアで報酬がもらえるナナパスウィークリーもなんかちょっとできるようになる

スコアタとか他のイベントルールも挑戦してみたい気はする

【ネタバレ有】G4Y10/12 18:00公演覚え書き(抜粋ver)

アイドリッシュセブン VISIBLIVE TOUR "Good 4 You"のネタバレを含みます

 

 

 


はじめに書いておきたいことがある。
入ってない公演の話が苦手な人はできれば見ないでほしくて、
新規がわかったようなこと言ってるのが苦手な人も見ないでほしい。
傷つけたくて書いてるわけではないし傷つきたくて書くわけではない。

 

この前置きを書かないと私はこの感想を世の海に放てないと思う。
入っていない公演の話を見て唇を噛んだ経験が一時期の私を多ステ派にしていた。

そしていろんな大切なものを見てないし知ってないし体験していない人間がわかった様なそぶりで激重っぽい感情を語るのを見て、
大なり小なり「コンテンツの冒涜かも」と思ったことがないわけではないからだ。
自分にとって大切なコンテンツであれば尚更。

 

 


きっと円盤に入ると思う。入ってくれ。
できるだけ多くの同担と共有したい。切実に。

 


===

 

この日のことを少しも忘れたくない。
すでに少し記憶が薄らいできていることが口惜しい。
心を名古屋に置いてきたとかそんなことも言えないくらい、昨日も一昨日も忙しくしていた。

人生の中でアイドルの現場に通っていた期間は大して長くはないが、その現場回数は優に50は超えていることだろうと思う。
人によっては大した数字ではないと思うのだが、自分にとっては全てを諳んじられるわけではない時点で「たくさん入ってきたなあ」という印象がある。
一口に現場と言っても形はさまざまあれど、やっぱり中心となるのはライブだ。


行って後悔したライブはない。ひとつもない。
全部素敵な気持ちで帰路に着いていたし、友人と連番したときには必ず「明日からも生きていける」と本気で言い合っていた。

間違いなく全部の現場経験が掛け替えのないものだけど、その中でも特に忘れたくない思い出がいくつかあった。
最初の公演、あの日の仙台公演、
大好きなグループがその形を変えてしまう前の最後のライブ、
2度とこない周年の場で 絶対に泣かないと思ってたメンバーの涙を会場が割れんばかりの声援で励ましたday1。
機材トラブルで音声が流れず、生歌バラードソロを聞いた時の非現実感も、大好きな曲のフルダンスを自担ゼロズレ最前で見た浮遊感も、
今ここには書けないようなことも含めていろんな思い出があって、そんな回の帰り道には「たぶん一生忘れない」と本気で心の底から思っていた。

今私は、その一つもしっかりと思い出せない。

最も古い記憶からは15年経っている。赤子だって高校生になる年月だ。毎時膨大な量の思い出を処理している脳みそなんだし、そりゃ忘れる。
その後も何十回と現場に入っては心を動かされているので、記憶の上書きや混濁も当然あるだろう。
悲しい。絶対に忘れたくないと本気で思っていたのに、人間は絶対に忘れてしまう。
「こんなことがあった回に入ったなあ」と思い出すことはできても、
その日の自分の気持ちや肌で感じた空気、前後には何があって誰と時間を共有したのか、詳細までは思い出せないのだ。

何一つ忘れたくないのに、全て忘れてしまう。
体験って難しいね。

だから覚えてること全部書く。
どんなに強い気持ちを持っていたとしても絶対に忘れてしまうことを知ってるからこそ、必死になって書こうと思う。
どうせ読んだって後から全てを思い出すことはできない。それでも、詳細に書いてあれば想像して思い出した気になることはできることもまた知っている。

2023年10月12日のアイドリッシュセブン VISIBLIVE TOUR "Good 4 You"名古屋公演18時開演回の日のことを、私は忘れたくない。

ちなみに、今更だがこの記事は上記公演、十龍之介の誕生日MC回の参加感想だ。
レポートではなく個人の思い出のメモとして書いているため、正確さなどには欠けるうえ主観中心の内容なので
「当日のことを知る」という目的にはあまり適してない。
まったく冷静なやつじゃないからそこだけはご留意いただきたい。

このエントリは公演前後の感情に絞ったショート版で、
ふせったーにアップした自分用のフルverから文章を抜粋してるのでところどころおかしかったりするかもしれない。


===

 

 

 

もともとこの公演は天担と連番がしたいがための参戦だった。

TRIGGER担と十龍之介の誕生日に合わせで連番したかった。
「名古屋一緒に入ろうよ」と誘った時はまだ「TRIGGER担と連番する」というウキウキ感が強かったように思う。
そこからたった3ヶ月ほどしか経ってないにもかかわらず、この「一緒に入りたい」の気持ちは大きく変わった。


私は彼女よりひと足先に東京公演に入った。
私はこの形式のライブが好きだと思った。そして同時に天担とG4Yに入りたいと思った。どうしても。

「ねえやっぱTRIGGERって最高」が、感じられるライブだと思った。
16人4ユニットおしなべて最高だったけど、どこが一番とかそういうことじゃなくて、
求めていた”最高なTRIGGER”、”これこそがTRIGGERファンが望んでいたTRIGGER”が見られるライブだと思ったという話だ。
それを集約すると「ねえやっぱTRIGGERって最高」となるわけである。伝われ。

 

セトリがいい。パフォーマンスがいい、顔がいい。3人が3人でステージに立ってるだけで、こんなにも最高。
「見たかったTRIGGERだ」「見れるんだ」「3人でステージに立ってる」「会場がTRIGGERに惚れ惚れしている、よすぎる」という感情を持てる。


誰と入ってもどんな公演でも自担さえ見れれば「自担は最高」となれるし、仲のいい友人と入ったら全公演楽しいけど、
「TRIGGERに対する感情を共有する」という回を作ってみたかった。TRIGGERに対する感情が、それだけ自分の中で特有で独特なものだったからだ。

 

お互いかなり無理して仕事を調整したと思う。天担は名古屋で昼食を食べながら仕事をしていた。
我慢できずずっと話しかけてたのでたぶん全く捗らなかったと思う。ごめん、子供で。
うれしくてはしゃいでしまった。

 

TRIGGERの回ごとの変わり曲はTreasure!とIn the meantimeだ。
どちらも最高に好きなのだが、天担とはTreasureが見たかった。
個人的にはミンタイのダンスがめちゃくちゃ好きなんだけど、「え!?Treasure…!?」というTRIGGER担の驚喜と、他担も含めた会場全体がTRIGGERに沸き立ってめろめろになっているあの空間を空気を天担に味わって欲しかったからだ。一緒に味わいたかったからだ。


おそらくセトリはその日の中では交互に変わる。
先に公演から帰ってきた友人一織担からの報告で、自分たちが入る18時回はTreasureの回だろうことが期待できた。うれしい。
天担は今日が初日だ。一切ネタバレを踏まず今日まできた彼女に悟られない様、あまり天担の方を見ないようにしていた。

 

一織担と公演後のご飯の待ち合わせを約束して、2人で入場をした。
2階席の後ろの方だった。S席ではあるものの、おそらくS席の中では最も見えにくい席だったと思う。
3階席が頭上に被る形になるのだが、自分は背が高いからか少しだけメインモニターに屋根が被ってしまっていた。
それでも十分だった。狭い会場では後ろの方だとしても東京公演よりずっと近い。肉眼で見えそう。
あ、またコンタクトの度数上げるの忘れたな。

 

 

千とナギのアナウンス、とっ散らかるかと思ってたのに思ってたよりスマートで甘々だった。
千は大人っぽかったし、ナギもしっかり仕事していてすごくスムーズだった。
ナギの諸注意連絡、片言なのに聞き取りやすくてすごいな。
コンビニからチーズがなくなるよ、の件が好きだ。ファミマのエクレアを無くした思い出が蘇る。

 


いざ開演。

開演演出は何度見てもいい。
友人と連番しているときの「あ、もう開演時間だ」からのoverture、そしてアイドルが出てくる瞬間までの時間が一番テンション上がるかもしれない。あの独特の高揚感は何にも変え難い。

開演演出が終わり会場が静まり返る。個人的にはここで暗転とかしてほしかった。
技術的な問題なのだろうか、暗転ってしないよね、G4Y。


出てくるユニットの順番が回によってばらばらなので緊張する。
一発目TRIGGERだったらどうしよう。
いや、別にいいんだけど。オペラグラス持つ手もまだ疲れてないし目も霞んでないから一番見れるんだけど。
うっかり他のユニットで感動して涙目とかになってしまったら視界不良になるからそれこそ最初の方が見やすいかもしれないけど。
それでも、できれば天担と入るならTRIGGERが締めの回に入りたいなと思っていた。
私自身、TRIGGERラストのあの花火演出を見たことがなかったし。

 

この日の最初はŹOOĻだった。
天担はŹOOĻも好きなので4人のシルエットが映った瞬間「ŹOOĻじゃん!」という声が聞こえてきそうなくらいびっくりしながら双眼鏡を構えていた。
二人とも自担ロックオン野鳥の会スタイル。私もŹOOĻの時は野鳥の会してるので心置きなくバードウォッチしていた。
ŹOOĻのMCは悠かわいがられ回だった。かわいい。
ところで御堂虎於ってソファーで寝れるの?意外なんだけど。


二番手はIDOLiSH7だった。
私はG4Yの環くんのモデリングが好き。顔もダンスも可愛くてかっこいい。

超カワMCの最後にアイナナみんなでぎゅっとなってファンサする時、照れながらも控えめに笑顔で手を振る一織が可愛すぎて声が出た。
最近一織担とがっつり話す機会があったからか、一織が可愛いんだよな……


この瞬間「TRIGGER後半じゃん」と思っていた。これはTRIGGERラストもありえる。
一方で、個人的にはG4YのRe:valeのパフォーマンスが好きなのでRe:valeもいいよねと思っている節もあった。
Re:valeがトリになって最後の演出背負うのもエモくていい。
このメンバーでRe:valeが締めを担うのは納得感というか、先輩としてしっくりくる感じがある。


二人のシルエットが映ってRe:valeが出てきた。
あ、TRIGGER最後だ。
ということはつまりTreasureの最後演出見れるかもしれない。
「TRIGGER最高」に包まれたまま帰れるかもしれない。心が踊る。
天担と二人でTreasureを見て「TRIGGERってやっぱ最高」になれるかもしれない。


この日の二日前に天担とRe:vale担としていた作業通話でRe:vale担が落ちた後に
「そろそろ寝るわ」と言ってから、何の拍子かはじまってしまった私の3〜6部のメインストーリー感想と、
天担のTRIGGERとの出会いと抱えてる感情について朝の5時まで泣きながら話をしていた。深夜のテンションというやつだったと思う。
その時の気持ちが急に蘇る。寝不足で一杯一杯な頭で涙腺が馬鹿になってるのか、
この時点でもう「天担とTreasureが見れる」といううれしさで少し鼻を啜っていた。


Re:valeのセトリはRe-raiseバージョンだった。
やっぱりG4YのRe:valeがすごく好きだ。
百のモデリングが好き。とにかく顔と髪がいい。表情が一番自然な気がする。
千という人間がしっかり運動してることがわかって好き。
二人でステージを広く使いながらシンメトリーダンスしてるの本当に「実力派」って感じがして最高にかっこいい。
Re:valeのダンスモーション、「ん?」と思う瞬間がかなり少ない様に思う。ずっとかっこいい。
MCも可愛くて好きだし、掛け合いギャグも一番自分の好みに合う気がしていた。
シャバーニくんに対抗する千でずっと笑ってた。


ŹOOĻがササゲロセトリでRe:valeがRe-raiseセトリだったので、
隣の天担は「ムビナナセトリだな…クレライか…?」と思ってそうだなと思っていた。
後から聞いたら「思ってた!」とのことだったのでいい意味で裏切れて良かったなと思う。
いや、私は何も裏切ってないけど。
最近ずっと自分が初見の側の立場だったので気が付かなかったが、初見の反応見るのってこういう面白さがあるんだな。
初見にしろ何にしろ、今まで誰かの反応を見るということをあまりしたことがあまりなかったので
「なるほどこれは好きな人もいそうだね」と考えていた。

 

Re:valeが捌けていってTRIGGERの番がやってくる。
天担が何か話しかけて来てたけど「双眼鏡構えなよ」と一蹴してしまった。
自担ロックオン型現場厨、絶対に出捌けが大好きなタイプだろ。静止でせり上がってくる天くんを見ろ。

自分はあえて双眼鏡を構えずにいた。
TRIGGERの3人がステージに立ってる姿が見たくて、自担の大きさを感じたかったから。

きた。

ああ、最高。本当に最高。心がぎゅっとなる。
肋骨の奥の方が物理的にぎゅっとなっている気がする。
はらはらしている時にも似ているときめきが一瞬うわっと込み上げてくる。かっこいい。

3人が立ってるだけでこんなにかっこいい。

心拍数が上がる。天くんの歌い出して堰を切ったように3人が動き始めた。
ああ、アイドルだ。
一挙手一投足をかっこつけてくれる。最高にかっこいい。
リズムをとってるだけでかっこいい。
そのかっこいい立ち姿さえ歴戦の積み重ねで、ミラーの前で自分を見て、
自分の映像を見て研究してきた末の表現そのものなんだと思うと胸が苦しくなる。
本当に、ただステージにいるだけでこんなにかっこいい。
アイドルが立っているところが好きだ。歩いているところが好きだ。踊っているところが好きだ。
こんなにもかっこよくていてくれる。それが感じられるG4Yがめちゃくちゃに好き。

SUISAIのダンス、3人の時間差振り付けが多くて楽しかった。
ムビナナで「そこはヒキで見せてよ!」と思ってた部分がヒキで見れる。つま先まで見れる。頭のてっぺんまで見れる。
つなしさんの長い手足で緩急を感じるダンスが見れること、定点マルチアングルができること、シンメを感じるダンスが見れること、
天くんが二人のセンターにいる華やかさ、ビタッと揃った3人の立ち位置、大きな体を天くんと同じくらい屈ませてるところ、
「逆に天くんは屈みすぎない様にしてたりするのかな」が感じられるこのライブ感、G4Yは、最高。


ムビナナで何度も見たはずのデイブレさえ本当にかっこよくてとてもうれしい。ひれ伏したくなる。
二番のフリで3人が下手に移動する時、つなしさんが振り返って背面向きに移動しながら楽と笑い合う様な振りが好きすぎて「これだけでチケット代くらいの好きがあるな」と思っていた。
3人のフォーメーションがくるくると回るので意外と天くんがオペラグラスの丸い視界の中に入ってきてくれる。
基本的に視線はつなしさんから離せないが、つなしさんと感じの違うダンスが何となく視界の端で捉えられて
「ああ早く天くんと楽さんも見たい」という気持ちになっていた。
「自担以外を見るために当日円盤を買って帰ること」ができたムビナナ、やっぱりちょっとおかしかったよな。

 

 

 


デイブレが終わる、MCがはじまる。
正直な話、この後の出来事のことをしっかりと覚えていない。
公演自体の詳しい内容はおそらくTLに流れている各所のレポの方がうんと正確だろう。
きっとおそらくあれを泣かずに見ていられた人の感想の方が、ずっとずっと正確だと思う。
感じた感情だけが残っている。そして今、すでに薄れ始めている。


MC冒頭、会場共通挨拶のあと天くんが「今日はみんなにお願いがあります」と口火を切った。
MC中もずっとつなしさんを双眼鏡で見ていたので、その言葉に彼が「え?」という困惑した顔で天くんの方を振り返ったのが見えた。

その瞬間に全てがわかってしまった。

つなしさんだけ知らないことだ。つなしさんだけに秘密だったこと。
あのつなしさんがステージの上で本気の困惑を見せている。
少しもコミカルなところがない。少し眉を寄せて、怪訝とさえ言える様な微妙な顔でメンバーの方を見ていた。

うそ、という声が出た。理解した瞬間急速に涙が溢れてくる。
自分でも察しがよくて笑ってしまう。
でもたぶんあの瞬間、会場中の十担だけが泣き始めてたんじゃないかなと思っている。

「今日だけの特別なお願いだ」と楽の声がする。
つなしさんは「え?…ええ?」とずっと上擦った声を出していただ気がする。

「今日だけ」の言葉で確信してしまう。
察した会場から短い悲鳴が上がる。
うそ、ほんとに。本当にやるの?誕生日MC。まさかやるなんて正直少しも期待していなかった。
でもそんな、さっき昼公演から帰ってきた一織担はそんなこと全く顔に出ていなかった。顔に出やすそうな彼女は隠せさなさそうなのに。
入る前の天担と「あるかな?」という会話をしたとき、「ないでしょ」の理由を10以上並べていたくらいなのに。


「今日10月12日は、TRIGGERのメンバー 十龍之介の誕生日です!」


「むり」という声が出た。隣で天担が「え!?え!?」と驚いている。
会場から拍手が起こる。「おめでとー!」という声が一階席から聞こえた。

「会場にいるみんなで一緒に龍の誕生日をお祝いしてほしい」
「みんなでハッピーバースデーを歌いましょう」

天くんに背中を押されてつなしさんがセンターに立つ。
天くんの話始めからここまで、彼はずっと変わらず同じ困り顔をしていた気がする。
席が遠かったうえ、もう涙が止まらなくてよく見えていなかったが、
困惑の表情がずっと変わらず、戸惑いと驚嘆の声以外何も発さないことがあまりにリアルだった。


思わず嗚咽が口をついて出る。本当に本当に、誕生日回の特別MCだ。
つなしさんの誕生日だ。つなしさんの誕生日に彼に会えている。


二人の「せーの」に合わせて会場でハッピーバースデーの歌を歌いはじめた。
ここから本当に記憶が曖昧で、ただ本当に何年かぶりに人目も憚らず「うう〜っ」という声を出して泣いていた。
双眼鏡が構えていられなくなる。
何があっても絶対に双眼鏡を手放さない派の自分が、みんなが感動している時ほど「誰も見てない自担をこの目に焼き付けよう」と思ってフルシカトで自担を凝視しているタイプの自分が、レンズから目を離して顔を覆うしかなくなった。
双眼鏡を下ろした瞬間、会場中のペンライトが青くなっていたのが目に入る。


ああ、無理だ。


会場中がつなしさんを祝福している。
狭いセンチュリーホールの祝福が、何故だか世界中が彼を祝福している様に感じた。
思わず座席に座り込む私に気がついた天担が背中をそっと撫でてくれる。
天担が隣にいる。この空間で隣にいてくれる。

隣の見知らぬ2連悠担が「そうなるよね」とでもいう様な笑い声を漏らしていた。
その笑い方が妙に優しくてさらに泣けてしまう。
さっきまで白かった彼女たちの4本のペンライトが青い光に変わっていて、それさえ堪らなくなってしまう。

 

どうして、二次元なのにこんなに愛おしい。二次元なのにこんなに感動する。
生きてるよ。生きてないの?もう生きてるじゃん。たぶんもう生きてるんだと脳みそが錯覚している。

「実はツアー日程が出た時から天と2人でこっそり計画してたんだ」

天と楽のうれしそうな声が聞こえる。
背中をさする天担が「そうなのー!?」と、二人と同じくうれしそうに喜んでいる。
自分だって集中して見たいはずなのに、ずっと背中と肩に触れていてくれてるのが本当に優しくて、
この人と入れて自分は幸せだと思った。

天と楽が十さんの喜ぶ顔を想像しながら計画していたと思うと愛しさが溢れてくる。
彼の幸せを本気で優先する二人が大好きだ。
驚いてる彼を見てうれしそうに話す二人が大好きだ。TRIGGERのことが大好きだ。

 

この時の自分は本当に本当にアイドリッシュセブンが二次元コンテンツであることを1ミリだって覚えていなくて、
ただただ祝福される自担の姿がうれしかった。
自分が抱えるありったけのおめでとうが、一人で言っても高が知れているはずのおめでとうが、
こんな形で大きくなって本人に伝えられるなんて、なんてうれしいんだろう。
自担におめでとうと言えることが、なんでこんなに幸せなんだろう。
おめでとうって、こんなに幸せな言葉なんだ。


お礼を述べる十さんが涙ぐむ。
自分の涙もここが最高潮で、顔も見れていなければコメントも覚えていない。
本当に悔しいけど、本当に堪えることができなかった。
ライブで泣く人ってたぶんこんな気持ちなんだ。


十さんって、ステージの上で、泣けるんだ。

そんなに生身の自分を出せるんだ。そんなに心の底から喜べるんだ。
十龍之介でいられるんだ。よかったね。よかった。
あの時ステージを守ってよかったね。あの時一人で冷たいステージに立ったアイドルが、ステージの上で泣くほどの幸せを感じている。
大柄な彼の体が小さく見えるほどの大きな大きな祝福に圧倒されて、いっぱいいっぱいになって泣いている。
頑張ったね、よかったね、うれしいよ。かっこいい。
涙が少しも止まらない。おめでとう。
3部初見で泣けなかった分いまここで泣いてるんじゃないかと思うくらい、一人でステージに立った彼の姿を思い浮かべて泣いていた。

「きっとこれから龍の誕生日を迎える度、今日のことを思い出すと思う」

天くんのこの言葉、あまりに生きた人間の言葉すぎて怖い。
この瞬間、これから先の自分の毎年の10月12日の感情が決まってしまった様だった。

十さんがステージの上で祝われている。
世界が十さんに優しい。
世界が彼を愛してくれている。
彼がその足と歌声で守ったステージに立つ彼を、みんなが愛してくれている。
好きな人が幸せだと、人はこんなにうれしいんだ。

かっこいいよ。本当にステージにいてくれてありがとう。
好きでいいんだ。怖いぐらい大好きで時折切なくなるけど、でもこのまま好きでいいんだ。
アイドリッシュセブン、十龍之介のバースデー回をG4Y入れてくれてありがとう。
一人のメンバーとして彼を愛してくれてありがとう。彼のファンを想ってくれてありがとう。

 

「俺はめちゃくちゃ幸せ者です!」

「今日という日を一生忘れません!」

「お返しに、最高のライブを届けます!」

 


3人がスタンバイの位置につくとスタンドマイクが上がってくる。
まだ泣き続ける自分を介護してくれてた天担がそれを見て「え!?Treasure!?」となっていた。
「ごごごめん!」と言って手を離して双眼鏡を構える。
それでいいに決まってるだろ。気にかけてくれるのは本当にうれしいが、なにより集中して見てほしいよ。

「Treasure!」

曲が始まっても自分は双眼鏡を構えられないまま、タオルを取り出してモニターを見つめていた。
さっきまで泣いていた自担が最高にかっこいいパフォーマンスをはじめている。

自分への大きな祝福のうれしさで滲んだ目元を拭って、何百何千時間のダンスをする。
最高に練り上げられた“かっこいい”を見せてくれる。
そういうのが本当に好きだ。そういうアイドルが本当に好きなんだ。
普段はかっこつけてなさそうな生身の人間が、パフォーマンスの時に劇的にかっこよくなるのが大好きだ。
ほんとうに、本当にかっこいい。あのMCのあと踊るのがTreasureなの、ずるいでしょ。

曲が始まっても会場は青いペンライトで埋め尽くされていた。
少しまばらにはなっていたが、ほとんどが青のままだった。
2階席に入れて良かったと思った。この景色を見られて心底うれしいと思った。
祝ってくれてありがとう。お礼を言う側の立場ではないけれど、一緒に祝ってくれる全員を抱きしめたい気持ちになった。
この気持ちはなんだ。経験したことのない気持ちだ。
もとから感受性も感情も乏しい方ではないと思っていたのに、全く知らない感情に出会って困惑している。

 


この気持ちがわからない。十龍之介がただ好きだ。
幸せでいてほしいと心から思う。

どうしてだ、アイドリッシュセブン、どうしてこんなに感情が揺さぶられる。
アイドルが生きてることを突きつけてくる。彼らも人間なんだと見せつけてくる。
彼らも人間だけど、人間を推すことが怖い自分だけど、そんな自分でも彼らを推してもいいんだって教えてくれる。
幸せにできるのかもって教えてくれる。偽りのない裏側を教えてくれる。


最近、TRIGGERに対する感情を言葉にできない。
気持ちを言葉にすることが趣味なのに、今ここに抱えてる感情を言葉にすることができないでいる。
唯一無二で、感じたことがない、名前がつけられない感情だと感じている。
でもこの感情がTRIGGER担となら共有できることに気がついてしまってから、
名前はないのに確かな形として手触りを感じはじめている。

3人が3人で立ってるだけで気持ちが込み上げてくる。
かっこいい、美しい、有難い、どの言葉もしっくりくるし、どの言葉もしっくりこない。
感情の昂りの意味ではなく、崇高とか神聖とか、高潔とか畏いみたいな意味での「尊い」が一番近い気がしている。
近い気がするが、やはりこの気持ちを正確に表している気がしない。

でも同じ気持ちを抱えてる人がいると思っている。TRIGGERが好きな人ならわかるものなのかなとも思ってしまっている。
別に「TRIGGER担がTRIGGERに抱く気持ちが特別高尚」だとかそういうことでは全くなくて、
ただTRIGGERを好きになると、かなり特徴的で限定的な感情体験がそこにある、というだけの話だ。
きっとIDOLiSH7にも、Re:valeにもŹOOĻにも同じ様にそのユニット担だけにしかない感情体験がある。

TRIGGERへの感情は私にとっては未知のものだった。私は正直抱えきれている気がしない。
気持ちが大きすぎて心みたいな何かが削られてしまっている気がする。
同時に同じくらい「好きだ」という気持ちで満たしてくれる。
私より古参の人たちは私よりも何年も、あるいは何ヶ月も前からこの気持ちを抱いているんだと思うと気が遠くなりそうだ。
信じられない。削れすぎて心が残っていなかったりはしないのだろうか。

この言葉にできない独特な感情を、今まで出会ったことがないこの特別な感情を
他人と共有しているという体験が不思議でたまらない。楽しくて少し切ない。
この尊さを好きだと感じるその心が大好きになる。その感性が大好きになる。
自分のこの心が好きだから、同じ心を持ってる同ユニ担が言いようのないくらい大好きだ。
あなたもこれが好きな人間なんだね。これを受け取ったらこれを感じてこれが一番になる人なんだね。
こんな複雑な気持ち、無数の人と共有できるんだ。

私は本当に最近この気持ちを知った。知った瞬間抱えきれなくなった。
好きな気持ちに抗えない。好きな気持ちに理由が見つけられない。
TRIGGERという形を認識したときにはもう、TRIGGERというものに自然と「特別好きなもの」のタグがついていた。
人生史上一番言葉にできないこの感情を誰かと共有していることが、こんなに切実にうれしい。
名前のない感情すぎて受け止めるのに体力がいる。
これを何年も推してる人の感情、リアタイしてきた人の感情、いったいどうなってるんだろう。
シンプルに尊敬する。

こんなに心を使って推してしまうTRIGGERのこと、何年も推した先の自分がどうなってるのか想像ができない。

 

 

公演が終わる。TRIGGERの3人が挨拶をして捌けていった。
エンディング演出でキービジュアルのつなしさんが出てきてまた涙が溢れてくる。自分はこの顔に本当に弱い。
涙と疲労感で席に座り込む。
千とナギが送り出しのアナウンスをしてくれて、会場中が出口へと向かった。


自分は十さん色のタオルに顔を埋め、立ち上がれないでいた。
隣の悠担のお姉さんが「私も感動した」とつぶやく。
連番相手と話しているのか自分を見て言ってるのかわからないけど、正直なその言葉が無性にうれしくてこのお姉さんが隣でよかったなと思った。

4つ隣くらいに入ってたシンメ担のお姉さんは生きてるかな。
顔を上げて確認する余裕はないけど、この会場で今この感情を共有していると思うとなぜかお姉さんにも「おめでとう」の気持ちになった。

 

何十回と現場に入ってきた中で、初めて号泣した。
それは別に今までで一番感動したからとか、順位がついているわけではなく
きっとこれがアイドリッシュセブンというコンテンツの現場で、
十龍之介が担当だという環境が揃ったことで自分の中の条件が満ちて泣けたんだと思う。


アイドリッシュセブンは二次元のコンテンツだ、その事実は揺るがないし「生きてるじゃん」という気持ちを抱えながらも、生きてない彼らに安心感を抱いて推すことになる。
生きていないことにもどかしさを感じながらも、生きていないからこそ私たちは彼らを好きな様に推せる。
彼らが生きていては知ることができないことが知れる。

 

今までのライブで泣けなかったのは、「私には知らないことがある」という意識が少なからずあったからだったと思う。
生きてる彼らを見ている私たちは、彼らが日頃何を考え何を話し、どんな生き方をしているかリアルには知らない。
知らないことがあるという意識から、
自担が世界に祝福されていたとしてもそのうれしさに対してわたしは手触りを感じることができずにいた。んだと思う。
手触りを感じることができた今だからこう言える。

私が絶対に知ることができないこと、生きているアイドルの感情。生身の人間の姿。
彼らが現実に生きている人間である限りその全てに揺るがない“正解”があって、
その正解は彼ら以外絶対に知りようがないのだ。
どれだけ私が情報をかき集めても、距離が近くなっても、違う生きてる人間である限り憶測の域を超えない。
頭に浮かぶ憶測は全く違うものなのかもしれない。「見当違いなことを想像することは失礼なのかもしれない」という一抹の不安が、自分に“泣くほどの当事者意識”を持たせずにいた。
世界で一番幸せな傍観者でいさせてくれる、アイドルコンテンツを今も愛している。


だけど今、生きていないアイドルを推している。
今まで絶対に見ることができなかった、彼らのアイドルとしてではない生活する人間としての姿を今は見られている。
彼らの感情を推しはかることが、仮に間違っていても罪ではないと感じることができている。
解釈違い、作者の考え、舞台設定。もちろん正解不正解みたいなものがあるけど、それも含めて解釈することが許されるのがストーリーコンテンツだと思える。
描かれていない部分が描かれていないままの間は「読者に委ねられている」と感じることができる。
むしろ自分は、「生きてる他人の人生で」その推測をするのが生理的に無理だったのかもしれない。


今、思いっきり泣ける。思いっきり推せる。
新規のファン体験なんてほんのわずかで、諸先輩方に比べたら当事者の意識を持つことさえ生意気で図々しいことなんだと思う。
まあでも体験に人との比較なんて関係ないよね。
私は私が私自身に引け目を感じず、罪の意識を持たず後ろめたさを感じずに推せることが、このリミッターを外すことに必要だったんだと知った。

 


十龍之介が好きだ。
好きだという気持ちで身体が支配されることはこれまでも何度も経験してきたのに、好きだという気持ちで身体のコントロールを失ったり、「どこかで冷めた気持ち」を失ったことはなかった。
こんな気持ちにさせてくるアイドリッシュセブンが少し怖い。
こんな短期間で、こんなに大きな感情を持つことができるんだ。
この歳になって、今まで自分が出会ったことのない感情を持つことができるんだ。すでに出会った当初の冷静さはなくなってしまったように思う。
俯瞰の視点は薄れてきているように思う。
軽々しくTRIGGERの話ができなくなってしまった。こんなはずじゃなかったのに。

新規の熱量は特別なものじゃん、そこが一番アツアツで、そこから少しずつ落ち着いていくんじゃないの?自分の定位置が定まって生活に馴染んでいくんじゃないの?
なのにどうして最初よりずっと重たい感情を持ってしまってるんだ。
アイドリッシュセブンに出会って、TRIGGERに出会って、十龍之介に出会って、
簡単に人生を変えようとしている自分が怖い。

 

昼公演に入った一織担と連絡していると特別MCが夜公演のみだったという事実を知る。今日の全公演そうだとばかり思っていたので衝撃を受けた。
その日の最後公演のみって、そんなところまでリアルアイドルと一緒なんだ。

同時に、「見てない十担もいるんだ」という気持ちになる。
「入れた側」「入れなかった側」でいえば、私は「入れなかった側」の経験の方が圧倒的に多い。
感情のロックが外れた心で共感を得てしまい、ものすごくセンチメンタルになった。

ライブは素晴らしいものだけど、同じくらいつらい気持ちにもなるものだ。
だからこそ現場好きは現場に取り憑かれている。
現場厨をしていたころの自分を思い出す。
あまり意固地にならずに楽しめていたと思うが、全通している時の気持ちよさの大部分は
実は「見てない公演がない安心感」だったんじゃないかなと今は思っている。

 


十龍之介は生きていない。
それでもたしかにあの瞬間、涙が溢れ出した一瞬だけは心の底から彼が生きていていると脳みそが思い込んでいた。
全部を忘れる没入感があった。リアルアイドルで踏みとどまっていた夢中の世界があった。

これが楽しいかどうかは正直わからない。
「十龍之介に出会わなければこんな気持ちを抱えることはなかったのに」と思ったことは短い期間で1度や2度ではない。

とんでもないコンテンツだと思う。
一番触れられたくなかった罪の意識をコンテンツ化して訴求してくるのも、
人生最大の推しを提供してくるのも全く同じ一つのコンテンツであると言うことの自分の中での矛盾がすごい。

初めて出会う感情が多すぎて上手く捉えきれない。
言葉が出てこない。言葉にしておかないと忘れてしまうのに。

十数回一緒にライブに入ったあの子も、見ず知らずの隣のお姉さんも、
他ユニ現場でスタンド席から泣き崩れる姿が見えたアリーナ席のお姉さんも、
みんなこんな気持ちで泣いてたのかな。そうなのかもしれない。

 



言葉にならなかった感情については己の力不足を呪うとして、書けることは全部書いた、気がする。
記した様な膨大な感情の波を一気に感じてキャパオーバーで泣き崩れてしまったんだと思った。
ライブで泣く体験ってこんな感じなんだ。ドルオタとしての実績が解除された気分だ。

アイドリッシュセブン、これからはどんな感情に出会わせてくれるんだろう。
かなり怖くて、少し期待してしまっている。

 

 

そしてどうかお願いです。映像化してください。
一人でも多くの同担に見てほしい。一人でも多くの同担に十龍之介の幸せを見てほしい。
もっと大きな心を抱えてる同担に、きっとこの日のことが届いてほしい。
付き合いは短いけど、確かな信頼を感じ始めているアイドリッシュセブンなら収録してくれるって、信じてるよ。

ムビナナと駆けてきた100日の夏

 

 

推しは推せるときに推せとはよく言ったもので

 

 

 

推し環境を取り巻くさまざまなコンテクストを内包した、秀逸な言葉だ。

 

世は大・推し文化時代。“推し”という言葉の定義は千差万別。
人の数だけ人生があるように、オタクの数だけ推しへの想いがある。

それでもオタク誰しもに共通した認識として揺るがないのは、“推し”は愛情を注ぎ生活を潤す、かけがえのない大切な存在だということだ。
人は一度推しというものに触れてしまうと、もう2度と、推しのいる人生を知らなかった頃に戻ることができない。
仮にオタクを卒業することがあったとしても、あの頃のきらきらと輝く日々を思い出しては「そんなこともあったなあ」という気持ちになる他ない。
推しと出会ってしまった時点で「推しの存在しなかった人生」はとっくに途切れているのだ。

 

 

 

 

劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD


通称 ムビナナ。
私の生活に再び彩度を取り戻してくれた大切な映画となった。

本日大千秋楽。ライブオーラス。
溢れんばかりの感謝と気持ちを綴り、忘れたくないこの夏の思い出を密閉保存しようと思う。


Twitter(現X)アカウントがシャドウバンされるもんだから解除まで騒げなくってさ……どうしてこのタイミングなんだ……という行き場のない気持ちもぶつけます。これも思い出。ハ〜腹立つ。

 

 

 

 

 

 

忘れたくても一生忘れられない、100日前、ムビナナ初見。
急転直下で十龍之介に恋に落ちた。

 

これは特技なのだが、実は自分、映像記憶力がかなり良い方だ。と思う。
連れて行ってくれた先輩と待ち合わせたバルトまでの道とか、DAY1DAY2ハシゴの合間に買ったホットドックのこととか、そのあと暗くなるまで喋ったサンマルクのことを、今でもまだ脳内で再生できるくらい鮮明に覚えている。

それでももう、思い出せないことがある。

あの日の自分は、一体どんな気持ちでムビナナを見ていたんだろう。
衝撃的な雷に打たれたあの日の自分は、まだ彼らのことをなにも知らなかったあの日の自分は、どんな感情でスクリーンを見ていたんだろう。
今となっては見えるものが多すぎて、あの時の自分が何を見て何を感じていたか、実はあまり思い出せない。
思い出すには濃すぎる日々を過ごしてきた。

 

 

 

メインストーリーを読破した。

初見からすぐ、「この人たちの人となりを知りたい」と思ってメインストーリーを読んだ。
2日間かけて第3部まで一気に読んだ。その1週間後、4部まで読んだ。

そして私はメインストーリーを読めなくなった。

別に意識していたわけでもないし、感想を書くまで読まないと決めていたわけでもない。
それでもなぜか次に進む気になれなかった。私にとって3部と4部は、そういう話だった。

5部を読む決心をつけるのに2ヶ月かかった。それでも読んだ。無理やり読んだ。5部後の世界でムビナナが見たかったから。

見てよかった。見れてよかった。
そして5部と6部を読了した。

 

 

人生で初めて、ネタバレを踏みたくないと思った。

3部読了後、4部読了後、5部読了後、6部読了後、それぞれのタイミングでムビナナを見に行った。
これは確実に言えることだけど、いろんなムビナナの中でも、6部後のムビナナが1番好きだ。

人生初の応援上映、人生初の舞台挨拶、人生初のDolby Cinema、人生初の4DX、人生初のミッドナイト上映、人生初のツイートOK応援上映、人生初の楽器OK応援上映

朝8時台の映画を初めて見た。仕事帰りに映画を初めて見た。
気付けば劇場視聴回数はちょうど30回になった。
この先、人生でこんなに同じ映画を何度も見ることがあるんだろうか。
もしあるとしたら、それはムビナナ2になるんじゃないかな。

 

 

 

7月の頭にDAY1DAY2の本編Blu-rayを手に入れた。

購入してからというもの、毎日欠かさず美プレを見て過ごしている。
朝ベッドで目が覚めた時、起き上がるまでの間にBEAUTIFUL PRAYERを見て目を覚ますようになった。
美プレ、何度見てもいい。何度見ても目が覚めるし、1日のスタートを最高の気持ちで迎えられる。目が覚めたら美プレが見れると思うと明日が来るのも悪くない気がする。
落ち込んでる時に見るのもいい。4分で確実に気持ちがポジティブになる。
尊いコンテンツが万病に効くというような大袈裟オタクの構文があるが、あながち間違っていないのかもしれない。美プレは本当に何かに作用してる気がする。

 

コンテンツにハマってからというもの、今日までの間あまり寝ていないように思う。にも関わらず、以前より体の調子がいい。
原因不明の頭痛はあまり感じなくなったし、出掛けるようになったからか体重も少し落ちた。今まで真夏は全く家から出なかったというのに。
これが健康なのかどうかは分からないが、この歳になって身長が去年より1.8センチ伸びた。
ムビナナを摂取すると身長が伸びます。
この事象に対して友人が「担タレ?」と言ってきた時はさすがに笑いが堪えきれなかった。
無意識に体が憧れの十龍之介に近づこうとしている。

 

 

 

ムビナナを一緒に見に行く、いつものメンバーがいる。

私以外のメンバーは私がアイナナにハマる以前から何年も一緒にコンテンツを楽しんでおり、そこに私が加わった形だ。
4人いる。2人はもともとリアルの友人で、もう2人は友人の友人。
アイナナにハマる前はほとんど交流がなかったのに、この100日間で何度会ったんだろうか。

毎日欠かさずアイナナについてチャットした。
1週間会えないと変な心地がした。多い時は週5で会って遊んだ。

「次の予定立てようよ」

「大学生かよ」

50回はお互いを揶揄して言い合った。
まだ出会って数ヶ月しか経っていないのが信じられないくらい、旧友のような関係性を感じている。

 

 

 

一人の友人が主催してくれて、みんなでアイナナ合宿をした。

一泊二日、宿泊の用意を持ってムビナナを見て、そのまま泊まり込みでナナライの円盤鑑賞会をした。
自宅を提供してくれた友人が自前のスクリーンを作りプロジェクターをレンタルしてくれた時はさすがにびっくりして笑いが止まらなかった。
楽しい。アイナナがある生活、本当に楽しい。

 

 

 

ふらっと立ち寄った店でオーシャンブルーのものがよく目に入るようになった。

黒のキルティングをよく身につけるようになった。ドイエベなのにシルバーのアクセサリーをつけるようになった。
アクセサリーを自作するようになった。何を買うにも推しのことを考えるようになった。

 

 

 

自分にはあまり理解ができないと思ってたぬい文化に出会った。

ドンぬいモンぬいねんどろ、今自宅には合わせて5体のつなしさんがいる。ねんどろはぬいではないな。
推しの顔を身につける文化など自分には縁遠いと思っていたのに、缶バッチを買ってロゼットを作った。
アクスタを買った。ペンラを買った。100円ショップに寄ったら単4電池と硬質カードケースを大量に買うようになった。

 

 

 

仕事が変わった。外勤から内勤に変えた。

時間に融通が聞いてプライベートの時間が確保でき、満足いく待遇の仕事に転職した。

 

 

ルームシェアをやめた。

一人暮らしの方が存分にオタクできると思って、同居を解消して一人の部屋を手に入れた。

 

 

なにも分からずG4Yのチケットに申し込んだ。

人生で初めて3DCGライブを見た。
3Dに人は熱狂できる。下半期は全国へ飛ぶ。

 

 

人生で初めて、同人誌即売会に行った。
人生で初めて同人誌を手に取った。

自分の中での二次創作の意味と価値が変わった。
こんなに愛しているキャラクターを、こんなに愛して、こんな気持ちになれる。コンテンツというものの概念がガラッと変わった。

 

 

 

 

文章を書くことを再開した。

もう2度と自分が感じた何かの気持ちをこうして文章に起こすことはないと思っていた。
あの頃のように、書かなきゃいられない気持ちになるなんて思っていなかった。

 

 

好きなものについて文章を書くとき、心のそのままに全てを書いてしまう。裸のまま心の柔らかいところを、ほとんど丸ごと言葉にして残してしまう。“感想”で少しでも見栄を張ると、濁ってしまう気がして身動きがとれない。それでしか好きなものを語れない。もちろん傷がつきやすい。でもどうしてもその方が伝わる気がする。
こんなノーガード戦法の文章を、まさかもう一度誰かに発信したいと思う日が来るとは思わなかった。もう2度と書かないと思っていた。
我慢ができない。誰かに聞いてほしい。自分の好きなアイドルのことを、推しのことを。こんなに魅力的でこんなにかっこいいよって、人に伝わる形にしたい。それだけのために書く。

その昔、好きになったアイドルの知名度がまだ低かったことがある。「誰?」と言われたことがある。
絶対絶対絶対、絶対にかっこいいのに。「誰が好きなの?」と聞かれて答える幼い私は、なぜか少し恥ずかしい気持ちになった。
そして恥ずかしい気持ちになったことが悔しかった。こんなに好きな人のことを話して、何を恥ずかしいことがあろう。

それでもティーンで多感な自分には、時に半笑い、時に苦笑いで「知らないなあ」と言われるのが怖かった。
だからブログを書いた。自分がかっこいいと思うところを、持ちうる限りの語彙を使って必死で書き殴った。

たくさんの人に見られなくてもいい。自分が支持されなくていい。
ほとんどは思い出の記録として書いている。でも一つだけ違う気持ちを乗せているのだとすれば、それは今も昔も「一人でも多くの人に好きなアイドルのことを想ってほしい」という気持ちだった。
「わかる、そこがかっこいいよね」
「なるほどそこがかっこいいんだ」
そう思って欲しかった。
刺され。刺され。刺され!かっこいいって気付け。世界一かっこいいって、気づけ!

やっぱり自分はアイドルを好きになると、自分が見た“かっこいい”を言葉にすることがやめられない。
自分が目にした魅力的な存在が知れ渡っていくことが、元々好きだった人が再度共感の声を上げてくれることが、何よりうれしくてやめられない。

 

 

 

このままROM専になっていくんだなと思っていたSNSを再開した。
毎日何かの情報を得て、毎日何かを発信している。

自分が好きだったことを思い出すように、あの頃みたいにTLに常駐している。

 

 

 

何年ぶりかに絵を描いた。

趣味で描くもんかと思っていたのに、言葉で言い表せない感情がありすぎて、表現の手段を増やしたいと思った。

表現の手段が増やしたいなんて、もう思わないんだと思ってた。
表現のことなんて、この先考えないんだと思ってた。

 

 

 

 

次元の違うキャラクターという存在に、こんな気持ちを抱くことがある。
次元の違うキャラクターという存在を、こんなに好きになれる。

十龍之介のことが本当に大好きだ。それどころか日に日に好きになる。
どんどんかっこいいところが見つかる。メロメロのまま今日まで来た。

これ以上ないくらい衝撃的な落ち方をしたのに、まさか100日後にはさらに大きな気持ちを抱えているとは思わなかった。

 

 

 

趣味の友人を持つことはこんなにも楽しい。
そうだ、趣味の知り合いがSNSで徐々に増えていく感じ、昔は確かに楽しかった。

新しい出会いがあった。大人になっても、仕事以外でも気の合う人と出会うことはある。
映画館にいくと会える人がいる。TLで会える人がいる。初対面なのに最初から意気投合できる人がいる。
テキストコミュニケーションじゃ足りなくて、夜な夜な通話する人がいる。

前からいる人、戻ってきた人、これから知る人、一方的に知ってる人、一方的に知られてる人、いろんな人がいて、みんなアイナナが好きなんだと思うとめちゃくちゃ楽しいよ。

コンテンツにハマるって、自分にとってこういうことだったわ。

 

 

 

アイナナに出会わなければ気が付かなかったことがたくさんある。
アイナナに出会わなければ2度と触れることはないと思ってたことがたくさんある。

彩度の落ちた生活の中で、それでも毎日は楽しいし、きっと大人になるってこういうことなんだと思い続けて暮らしていったんだと思う。
心の底から納得してたし、幸せだと思って過ごしていた。

今、朝目が覚めた瞬間からアイナナのことを考えている。夜寝るその瞬間までアイナナのことを考えている。

生活に余白がなくなった。代わりに溢れんばかりの感情を手に入れた。それがこんなにも楽しい。

 

あの日ムビナナを見に行ったことが、自分の人生の分岐点すぎる。

 

 

ムビナナという存在、十龍之介という存在、アイドリッシュセブンという存在が、自分の中であまりに大きい。あまりに素敵で大切だ。

 

 

 

 

ムビナナを見て、感動するようになった。

アイドルに対する抗えない好きの気持ちと、この夏の思い出に対する気持ちが混在する。言葉にできない思いを感じる。90分でいつも違う気持ちを抱かせてくれる。
応援上映もドルシネも4DXも、会場や入ってる人で思い出が全部違う。

ペンラを振る日、振れない日。友人と入る日、一人で入る日。元気な応援上映、朝イチで眠い応援上映。今日なんか泣けた。今日なんかかっこよかった。今日はちょっと眠かった。

特典がもらえるとうれしい。なんと特典がもらえなくても楽しい。

初めていく映画館、すっかり行き慣れた映画館。お気に入りの映画館、なぜかチケットが取りやすい映画館。

アイドリッシュセブンとアイドルに対する気持ちだけではなくて、100日間の思い出も内包されて降りかかってくる。

ムビナナが好きだ。ムビナナとの思い出が大好きだ。

 

 



すっかり変わってしまったムビナナの体験が、時々切なくなる時がある。
たった100日でこんなに変わってしまった。あの時の自分の気持ちを思い出せない。

自分をこんなに変えてしまうコンテンツとの出会いは、さぞ鮮明で、さぞ強烈で、さぞときめきがあったことだろう。

 

アイドリッシュセブンというコンテンツ、ときどき心が苦しくなることがある。

コンテンツメッセージが複雑で、こちらも複雑に受け取る必要がある。
そんな時、初見のあのときを思い出したくなる。

教えてほしい。思い出したい。

こんなに人を狂わせた十龍之介に恋したあのときの気持ちを、もう一度思い出したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、思ったところに初見感想、置いておきます。

 

 

senobiiii.hatenablog.com

 

 

これ見たらちょっと思い出せるから、やっぱり感想を形に残しておくのはいい。みんなもやろ、そして見せて。

 

 

残しておくのはいいなと思ったので、この100日のことも書いておくことにした。

ありがとう、ムビナナ。ありがとう、友人たち。ありがとう、十龍之介。

 

 

 

「推しは推せるときに推せ」

 

それはひとえに、推しがいなくなってしまうことを危惧するだけの言葉ではない。

今この時、この瞬間の自分の熱量を大切にしたい人のための言葉でもある。

周りを大切にしたい人のための言葉でもある。

 

 

 

 

すっかり宵は涼しくなってきた今日この頃だけど、この夏のことをきっと何年先も思い出すんだろうな。

一生忘れないよ。

 

 

 

 

 

ムビナナ大千秋楽、本当にありがとうございました!

 

 

アイドリッシュセブンにハマったので人生で初めての同人誌即売会に行ってきたら幸せを手に入れた

 

フットワークが鬼のように重い。アイドルの現場に関して以外。

 

 

人見知りで出不精、おうち大好き。
初めましてが苦手、初めて行く場所はもっと苦手。

自分の知らないルールのある場所にいくと思うと居心地が悪くなって消えたくなる。
立食パーティーのような、見知らぬ誰かが入り乱れる場所がこの世で一番こわい。

 

これは自己紹介だ。いい歳こいた大人がまじでこんなマインドで毎日一生懸命暮らしている。そんなまあまあ引きこもり体質の人間がさ、同人イベントなどという人々が集まるイベントに軽々と行けると思う?

もちろん行けない。
20年近くインターネットの同人文化自体には触れてきていたが、同人イベントとは無縁の人生を歩んできた。
二次創作を眺めては感謝の気持ちで咽び泣き、イベント頒布のサンプルを見てはよだれを垂らしながらハンカチを噛み締める人生を歩んできた。

 

同人誌即売会に、行ったことがない。
そんな同人イベント茶の間が急に思い立って同人誌即売会に参戦してきた話をする。

 

結論から言うけど、めちゃくちゃすっっっっごく楽しかった。行ってよかった。ほんとに。

自分のように出不精で場所見知りで躊躇してるオタク、もしもいたら次は行ってみよう?後悔しないと思うよ。責任は取れないけど。
初めて即売会に赴く人間が遭遇した体験を記すことで、誰かの勇気になったらいいなという祈りを込めて書く。

 

▼目次

 

 

なんで急に行く気になったわけ?

イベントに行きたかった理由は正直「どうしてもほしい本があった」だけだった。
「目当ての本が買えればそれでよい」という大目的があった。

およそ3ヶ月前からアイドリッシュセブンという最高ウルトラ至福コンテンツにはまっているのだが、なんかもう生活がめちゃくちゃになるくらい傾倒している。

あのね、その本が欲しいの。

まじでコンテンツ新規のパワーってすごいね。10年以上頑なに「自分は行かない」と決め込んでいた場所に、こうもやすやすと「行こう」という気にさせるんだから。

アイドリッシュセブンというコンテンツの素晴らしさ、過去の履修をさせてくれないほどの現在供給量でありながら、それでいてオタクが解釈する余地を無限に残してくれる。
私はこのジャンルに出会って“二次創作”たるものに対する自分の中での本当の価値と意味合いを知ったよ。

アイドリッシュセブンは今年でサービス開始から8周年を迎えます。
私は明日でアイドリッシュセブンにハマってから100日を迎えます。

なあ、私がアイナナに出会ってなかった過去7年余分の二次創作、どこいった?

一度インターネットに放流した情報は消えない?*1馬鹿言ってんじゃねえ。じゃあどうして私は最近こんなに打ちひしがれてるんだ。
過去の公式の素晴らしい供給を見るたびに、コンテンツ古参から当時の話を聞くたびに、存在さえ知ることの出来ない神二次創作に想いを馳せては枕を濡らす日々が続いていた。

仕方がないね。新規だもんね。新規ってそういうことだもんね。
すでにコンテンツの歴史が積み上がった中でハマる後発勢は、ハマってすぐ自分のペースで多大なる情報を取り込めるという利点はあれど、「当時」というものをリアルタイムで体験し直すことは未来永劫絶対にできないのだ。

知ってるよ。過去を見るより今を大切にしよう。今二次創作を描いてくれている創作神たちに最大の感謝を捧げて楽しませてもらおう。

その神々ね、今度本出すらしい。

イベントがあるんだな〜ということはふんわりわかっていた。見るからにみんな原稿中なんだもん。
でも長年この身に染み付いた「同人誌・イベントは自分には関係ない」という当たり前の思考が"イベントに関する情報"を自ずとスルーさせていた。

通販で買ってみようかな…。

私は通販でも同人誌を買ったことがなかった。
家族に重度のオタクであることを隠している。実家を出てからもルームシェア相手にオタクであることをバラしていなかったということもあり、現物を手にいれることにハードルがあった。

ごめん、そんなことどうでもいい。
絶対にほしい、絶対に。

過去7年間への悔しい気持ちだけでも失恋のように心が切ないのに、今、nowの神創作も逃すのか?絶対に無理。
買ってみようかな。とらのあなのアカウントもないけど……。

 

 

 

「通販分売り切れました」
「イベント後余った分を通販に回す予定です」

 

 

 

 

行こう、きっとこれは行くしかない、現地へ。

 

 

 

 

一緒に行く友達がいない

ありがたいことに普段は何人かの友人とコンテンツを楽しんでいるのだが、なにせイベントに行こうと思ったのが当日まで2週間を切ったあたりで。
目ぼしいメンバーはすでに全員予定があった。

そうか、だったら一人で行こう。それしかない。
冒頭でも書いたが、自分は結構なレベルの場所見知りだ。
おそらく普段の自分を見ている人からしたら「めちゃくちゃ珍しいことしてるじゃん」と驚かれることだろう。
そうだよ。一大決心だよ。自分が一番驚いてるよ。
行ったことないイベントに誰に誘われるともなく自ら行くなど。ましてや一人で出向くなど。
でも、行きたい。

周りの友人には昔サークル参加したこともある人物もいた。ので、とりあえず心構えやするべきことを聞いてみた。

・朝は早く行ったほうがいい
・しかし早朝はNG
・人気のものは速攻売り切れるので優先的に行く
・でもたくさん刷ってくれるサークルさんは大丈夫
・ジャンルの盛り上がりとかも加味して
・キャラクター人気とかも加味して
・そんなこと
・素人には
・無理

なるほどね。ちょっと難しそうだな。少なくとも朝から行かないと目当ての本は買えなそう。

 

 

自分「とりあえず明日は朝何時に行ったらいいですか?どうしても欲しい本3冊買えたらそれでいいです」
先輩①「開場くらいがいいんじゃない?」
自分「わかった」
先輩①「ほんとに一人で行くの?」
自分「新規は元気だから、いく」
先輩②「………えっと……明日ですよね?よかったらご一緒しましょうか?」

 

 

こちらの先輩②、なんとこの日(というか昨日)が初対面である。
イベント前日である昨日はアイナナオタクのオフ会的なものがあり、引っ張っていかれた人見知りはそこに集まった即売会猛者立ちに指南を受けていたはずだったのだが。

「人の人生初同人誌即売会に立ち会えるの面白そうすぎ」

ということで昨日の今日、数時間前に初めて出会った異様にコンテンツにのめり込んでる女に朝から付き合ってくれるというのだ。

先輩①&②「絶対に欲しい本があるなら、手分けは必須です」

そうなの?即売会、怖。

 

前日準備

なんだよ結局一人で行くんじゃねーじゃん。そうだね、ごめん。
本人の努力なくラッキーを手にいれる話が地雷の人はここまでにしておいてほしい。以降ゲインの話になる。

 

用意した持ち物

  • 欲しいものリスト
    • 欲しいサークルの位置をマップにマーク
      • 先輩に開場同時に向かってもらうサークル+その後お願いしたい4〜5サークルを共有
      • 今回は買いたいものが集中しているスペースは自分でローラーし、少し離れたスペースのものを先輩にお願いすることにした
    • ざっくり金額も計算
  •  現金(上で計算した金額+1万円)
    • 千円札たくさん
    • 小銭たくさん
      • コンビニで明日の飲み物を買う時万冊を崩した
  • 飲み物
    • 会場近くで買うのは難しいかなと思って
  • 丈夫なかばん
    • 買えるなら20冊くらい買う予定だったのでそれなりのものを

会場最寄駅までの切符も現金で買ってお金崩したりした。
5年ぶりとかに紙の切符買った。

 

いざビッグサイト

ビッグサイト、仕事関係の展示会でしか来たことないよ。
あのホールがどうなってるのかどきどきだな……

先輩との合流は少し手前の乗り換え駅で行った。
会場付近での待ち合わせは避けたほうがベターとのこと。
驚くほどスムーズな合流を果たし、会場へ向かう。

 

 

先輩「着いたら開場待機並びながら購入分担ルート構築しましょう」
自分「ルート構築……」

 

 

結局我々は開場30分前の10:00頃に現地に到着した。
入場待機列に合流してその時を待つ。ここにいる人たち、みんなオタクなんだ……。
ムビナナやG4Yとはまた違った趣がある。ライブ現場で見るオタクたちはアイドルオタクの雰囲気を感じていたが、ここにいる者どもはみな、ほとんどが同人誌を見ている層なんだ……最高だな……

待機列の目の前に並んでいた少年のリュックに十龍之介の缶バッチ×3と7周年きらどるぬい、天と楽のちびモンぬいが付いてたので眺めながら待機していた。
めちゃくちゃ待機中のクオリティが上がった。ありがとう少年。

マップを眺めながら、先輩が回るルートと自分が回るルートの効率を整理していた。
並ぶ時と購入報告をLINEで入れ合うことを約束し、買い終わった時や合流したい時の場所を決めた。
我々は中心になるサークルが奥の方だったので入り口から遠い方の壁側「だいたいここらへん」を決めていた。

 

 

自分「あの、何サークルか相互さんが参加されてるんですけど、ご挨拶とかってしないと失礼ですかね…?」
先輩「せのびさんはしたいですか?」
自分「え、いや、緊張します……」
先輩「じゃあ後ほどリプとかDMでご挨拶でもいいと思いますよ」
自分「そうします……後日感想と一緒に送っても引かれないですか?」
先輩「引かれません」

先輩「あ、もしご挨拶したくなっても購入のときは避けた方がいいですよ。落ち着いてきたお昼過ぎくらいからにしましょう」
自分「先輩、頼りになりすぎ…………」

 

 

本当に人見知りなので全くご挨拶できなかったけど、先輩との出会いみたいな素敵な出会いが存在するのなら、やっぱりいつかはご挨拶してみたいなとも思ったりした。
人見知り壁打ち修行僧のマインドを変えるコンテンツ、アイドリッシュセブン

 

 

イベントスタート

入場と同時にスペースへ歩いていく。人、めっちゃ多い。
全然歩けない。「この通路、入ったら最後出てこれないだろうな…」という列もたくさんあった。
今回はTOP OF THE STAGE 35というイベントに参加したのだが、同じホール内で別ジャンルのイベントがたくさん実施されていた。
わお、こんな感じなんだ。同人誌だけではなくグッズもたくさん頒布されている。

すごい……グッズは全部可愛いし、同人誌もめちゃくちゃきれいだ……
なにも知らないジャンルでもこんなわくわくきらきらした気持ちになるのに、アイドリッシュセブンのスペースに行ったらどうなってしまうんだ?

アイナナエリア、めちゃくちゃ混んでる。

たまたまかもしれないが、他のエリアに比べても混んでいたように見えた。
開場すぐなのにもう長蛇の列が出来始めているだと……?すごい、並んでるオタクたち、みんな新刊サンプルのツイートにいいねつけてた人たち?私も私も。

しかしスペース番号がわかりづらい。
ポスターを貼ってくれてるサークルがありがたい。机の表示よりポスターを頼りに現在地を把握していた。

わあ、最後尾札だ…!すごいこれが噂に聞く最後尾札!ずっと上げてるの大変そう!

「この辺ですね。じゃ、一旦解散で!」

目当てスペースに到着して即解散。先輩本当にありがとう……そのサークルの新刊既刊、めちゃくちゃ読みたいです。よろしくお願いします。先輩にお願いしてたサークル、なんかもうすでに最後尾札上がってた気がするけど気のせいだよね?

 

 

 

 

人生で初めて、同人誌を買う

では、引きこもりオタクを同人イベントに引っ張り出した本を、手中に収めに行くぞ。
絶対混雑してると思ったのに幸いあまり並んでおらず、無事に購入することができそうだった。

いや、これどうなっとん。
喉から手が出るほど欲しい本が積まれた机の向こう、描いた本人が座っとる。
なにこの図。私が育てました(ご本人登場)か?
描いた人が目の前にいる本買うの初めてだけど。
え、待って、なんかすっごく気恥ずかしいんだけど……!
開場後すぐ来て、描いた本人に対して「ください」って言うの、これなんて愛の告白?
いや、誇張とかじゃなくて確かにそれくらいの愛はあるんだけど。あるんだけど。
だってこの本のために人生でやらないって決めてたこと覆してきてるんだもん。
そりゃ告白くらいの感情はあるよ。絶対に欲しかったんですあなたの本。

次いつ出してくれるかわからないじゃないですか。この先出してくれるかもわからないじゃないですか。てか先のこととかどうでもいいんです。
今作ったあなたの本がどうしても欲しいんです。
あなたの創作のおかげで推しのことがもっと好きになりました。あなたの解釈のおかげで気づけなかった自分の感情に気がつけました。
たくさん時間をかけて本を出してくれて本当にありがとうございます。企業じゃない個人が、愛で手間暇をかけてこだわりを持って作ったこの本、今ここにあるのが奇跡の様です。

「10部ください」と言いたい気持ちをぐっと堪えて声を絞り出した。1部ください。
「ありがとうございます」といいながら本を手渡してくれる。どう考えたってありがとうはこっちのセリフだ。ありがとうございます。本当にありがとうございます。
この人が描いてるの?すごすぎ、生きてる。人間だ。まぶしい。
その右手で描いたんですよね?その頭からこのキャラ解釈が出てきたんですよね?
ほんと?え、普通にきれいなお姉さんなんだけど。うそ、声可憐。うそ、この人の作品みたい。え、なに、え?なにこの体験?

すごい、即売会、すごい。なんだこれは。

 

夢心地のような体験をしながら、少し泣きそうになりながらもトレジャーハントは続いていく。
あ、待って、私そこのサークルの本欲しいです。あれ?でもその机の前に長蛇の列が……あれ?あれ?辿り着けない。どうしたらいいの。
え、どうしよう。人見知り「ちょっとすみません」の一言が言えない。
で、でも、あの本は絶対に絶対に欲しい…!
「ちょっとすみません」して買いました。はあ、緊張した。

ところで創作主たちってなんでみんな美人なわけ?

 

 

「新刊一部ください」
「一冊ずつ全部ください」
「最後尾変わります」

 

これ、自分が言うことになるとは思わなかったな……。
なんだろう、「ここからここまで全部ください」って言うセレブになったような気分だ。
実際は成人向けの同人誌を買っている。草。
イベントに来ないつもりだった時代は「R18の本を本人の前で買うとか恥ずかしくて自分にはできないわ…」とか思ってたけどその概念全部忘れてた。そんなもんはいらん。

絶対に欲しい優先すべき本たちは概ね買うことができた。
先輩も最初にお願いしていた本は購入完了していた様で、目を疑うほどの長蛇を作ってる人気サークルに「ここやばそうなので並んでおきますね!」と並んでくれていた。神か。

神が並んでくれている間に少し離れたエリアの「もし行けたらぜひほしいものたち」の散策に向かう。この頃にはさらに人混みがすごくて、汗だくになりながら次第に重くなる鞄に幸せを感じていた。

買ったものをまとめている鞄を少し覗く。すごい。全部好きだ。
可愛い装丁が身を寄せ合って並んでいる。
なんだこの感覚……。

 

完売って、するんだ

少し離れた場所の御本を探しにいく。
あの辺だな〜と思って近づこうとするが、人混みがすごくてなかなか近づけない。
もう少しで辿り着く…!というタイミングで、私は見てしまった。
イーゼルに立てかけられる小さなポップ。
あ、もしかして、そんな、あれは…………

 

新刊 完売しました

 

▼人生で初めての同人誌完売に遭遇して初対面の先輩にタメ口かます新規 真似しないでね



 

長蛇を勝ち抜いた先輩と合流して戦利品整理のため人ごみを避ける。その途中、平積み絵の表紙に目が吸い寄せられて足を止めてしまった。

あの表紙、あまりにてんてんだ────。

「よかったら試し読みどうぞ」
勧められると断れない。導かれるまま冊子をパラパラとめくり、美しい紙面にめまいを感じながら一部注文していた。

 

「ありがとうございます。どうぞ」
「ヒエ!?」

 

表紙の天くんがいる!?コスプレ写真集、実際の被写体さんから本手渡されるのやばすぎ。

先輩「人の人生初"目が吸い寄せられる瞬間から購入まで"を間近で見られて最高の気分^^」

 

これは「戦利品」だ

先輩から分担してもらったものを受け取り、他の本と合わせてバッグの中に詰め込んだ。

リザルト、合計22冊。
目当てのものは9割型買えた。ハピネス。

全部装丁が凝ってて可愛い。まじで、最高。
この鞄の中に入ってる同人誌だけで、総制作時間は何十時間何百時間になるんだろう。
ああなんと言うことだ、まじ、同人誌ってこんなに愛おしいの?
なんか泣きそう。

同人誌を抱きしめながらこの日ここに来ることを決めた自分に大きな感謝を感じていた。そして先輩、たぶん先輩がいなければこの人混みに圧倒されて2〜3冊買って帰ってたと思う。先輩のバフ効果で10倍買えました。やっぱパーティは強いユニットが一人いれば勝てるんやね。

 

このイベント楽しすぎるだろ

会場内邪魔にならないところで少し会場を眺めていると、明らかにさっきまでよりレイヤーさんが増えている。
というかさっきまでは必死だったのでレイヤーさんの存在に気が付かなかった。

でも今は見える。

おいおいおい、十龍之介とすれ違うなんてそんなの歩けなくなるに決まってるだろ。まじ、え、うそ、その衣装着てくれるんですか?ってか顔ちっさ!てか顔が良。
ちょっと見てられないわ、と思って目を逸らすとその目線の先にRe:valeいる。うそじゃん、あのRe:vale、Re:valeじゃん。喋ってる姿もまんまRe:valeじゃん。Re:valeって即売会来るんだ。
向こうからめっちゃ背の高いロージーブラウン歩いてくるじゃん!?と思ったら御堂虎於だったので逃げました。

もうみんな衣装が最高、スタイルが最高、顔も最高。うそ、アイドルがその辺闊歩してるんだけど。なにこの異様な光景。即売会やば。

欲しい本を買うイベントだと思ってたのに、いろんな楽しいことありすぎてまじただの「現場」だったわ。今度からうちわ持ちたい。

並ぶ完売の札を眺めながら社会科見学していると、どこからともなくオタクたちの会話が聞こえてくる。

「ここらへん全部逆(CP)だわ!」

うお〜即売会っぽい〜!

 

幸せだった

非常に、非常に楽しかった。

そして帰ってきてから少しだけ御本を読んだ。さらに最高になった。作品とキャラのことがもっともっとさらに好きになる。
大袈裟だけどなんかこう、今日で人生変わっちゃったんだなと思った。
こんなに大好きな趣味の形が、今後さらに素晴らしいものになってしまう。
まじで人生始まってる。アイドリッシュセブンにハマってから本当に知らなかった素晴らしい世界に出会ってばっかりだよ。

家庭の事情により御本は半分ほどしか読めてないので、明日からもまた最高になろうと思います。

 

次回への反省

今回、ジャンルハマりたて(しかもネタバレ回避してたので二次創作は直近3週間くらいしか見てない)且つイベント参加を決めたのが直前だったということもあり、
字書きさんのサークルのチェックがかなり手薄で数サークルしか購入できなかった。
絶対に次回はそんなことがないように日頃からTwitterには張り付いていようと思う。

 

先輩がお知り合いにご挨拶されているのを見て、今までの人生ずっと人見知りぼっちしてきたけどなんだかこういうの素敵だなあ……と思って見ていた。
副次的に先輩のお知り合いの方とお話しが発生したのだが、それだけでも新たなうれしい出会いがあったりして……出会いって苦手だったけど、でもなんか……いいな、こういうのも……
1〜2年後とかには挨拶のできる自分になれる様にいっぱいイベント行こ。

 

小銭と年齢確認の出しやすい財布を用意する。
あとでグーグル先生に聞いてみよう。

 

 

おわりに

 

出会って2日のどこぞの馬の骨とも知らない新規の無鉄砲な即売会初体験に付き合ってくれて、
あまつさえそのあと8時間くらいぶっ続けでアイナナの話をしてくれたれーじさん、本当に本当にありがとうございました。

れーじさんと引き合わせてくれたぺぺさん、毎日感謝してるけど今日もありがとう。

 

アイドリッシュセブン、最高の生活をくれて最高だ。

 

 

*1:とはいえデジタルタトゥーには気をつけようね

ダンスマカブルを見た人の日記

※このブログはフィクション・パロディです。
※歴史とかの部分は整合性を確かめずわりと適当に書いているので適当に読んで

 

 

 

 

前から見たいと思っていた、ダンスマカブルというやつを見た。

 

 

 

 

 

個人的にいろいろと考えることや思うことがあったので、整理の意味も込めて備忘録を書き留めておこうと思う。
アイドルがこの話を演じてくれたことが、どれくらい自分にとって衝撃のあるものだったか、しっかり書き残しておこうと思う。

 

 

 

 

 

ダンスマカブル。フランス語で、死の舞踏。

 

「死の舞踏」といえば、15世紀ヨーロッパ美術で流行した終末観あるいは宗教批判のテーマとして馴染み深い。個人的には。

 

死の舞踏というテーマについて、私が知っていることは二つくらいだ。
一つ、ヨーロッパの歴史を代表する疫病、黒死病が流行った時代。
神にも縋れずなす術もなかった民衆が何かの拍子に突如踊り狂い始める。
狂乱は群衆をなし、多くの人がそのまま死ぬまで踊り続けたという逸話。

その時代、医師は神の思し召しで人々を救う職業だった。聖職者もまた神の意志によって民衆を救う存在であり、健康と幸福と信仰は近しいものであった。
病に倒れるのは信仰心が足りないからだ。という考えが当たり前にあった時代だった。

しかし黒死病が蔓延することでその神話は崩れる。
死を前にして人は皆平等だ。貴族も神官も平等に病に倒れた。

神に縋ることができないなら踊るしかねえなってことだったのかもしれない。
怖くないよ、死は踊るようなものだよ、メメント=モリじゃん。踊るように死を想おうよ、ということだったのかもしれない。
人々はその魅力的な狂乱を壁画やフレスコ画に残した。踊り狂う人々の中に、骸骨がいる。骸骨になってもなお踊る姿は、もう誰が生きていて誰が死んでいるのかわからない当時の状況を表現していたのかもしれない。

 

二つ目、黒死病の収束からしばらくして、ヨーロッパでは踊りながら生者をあの世へ誘う死者を描いた美術が流行した。それら共通するテーマを持った作品はまとめて「死の舞踏」と呼ばれる。
一つ目に挙げた狂乱のようなダンスではなく、骸骨たちはもっと自然に生ける者を踊りへと誘っていた。

描かれる生者の多くは、聖職者や身分の高い者だった。信心深かろうと偉かろうと、死は平等に訪れる。
教会の言うことを聞いていればよかった時代は終わった。信じていたものなどなにもなかった。人は皆、人だったのだ。

信仰さえあればよかった時代の終焉。
自分は世界史には詳しくないので、この時代のことをどう括るのが適切なのかわからないが、美術においてはまさに「ゴシック美術」時代であると言えるだろう。

死の舞踏は、宗教や宗教観に対する皮肉を込めた風刺画としての側面があった。

 

 

 

こんなものをテーマにアイドルがドラマをやるの?と思った。
まあ実際そこまでこの歴史背景に関係するような話じゃないんだろうな、と思っていた。
てっきり語感のよい「ダンスマカブル」というワードをタイトルに冠しているだけなんじゃないか。そう思っていた。

舐めてた。ダンスマカブル、あまりにしっかりとダンスマカブルしていた。
そしてこれを演じているのが16人のアイドルだということ、それが、面白すぎる。
このドラマを組んでくれたスタッフ、演じてくれたアイドルたちに最大級の感謝を感じながら今これを書いている。

 

 

 

 

ゴシック美術では、宗教画を描く時の暗黙のルールがあった。
聖人たちを「人間らしく」描いてはいけない。
少しでも人間らしさを感じるように描いてはいけない。聖人は私たち人間には到底理解できない存在であり「普通」に見えてはいけなかったのだ。
興味があれば一度『ゴシック美術』で検索してみてほしい。美しいステンドグラスと、驚くほど表情の固い、のっぺりとした絵画が出てくるだろう。

そんなゴシック美術の中で突如として「人間らしさという美しさ」を描く画家が現れるのだが…そこまで書き始めると主題から大きく外れてしまうのでここでは割愛する。

ちなみに、人間らしく描くことが解禁されてからの美術界の反動は凄まじく、ここで始まるのが大ルネサンス美術の時代である。
ヴィーナスの誕生アダムの創造……びっくりするほど肉体美。肉感的、美しいエロス。

現代でのルネサンス美術の人気からも分かる通り、人は人間らしい美しさに強くひかれるものだ。かく言う自分もルネサンス美術が大好きだ。

 

人間らしいということの美しさ。
均整のとれたシンメトリーなものではなく、有機的で意思を感じるものの美しさ。

 

 

 

地上に降りたアルムは、そんな美しさを目にしていたのかもしれない。

 

 

 

死と隣り合わせで生きるからこそ、「生きたい」という意思がある。
アルムはそれに触れたことがなかった。
誰しもに平等に訪れる死の舞踏さえ、彼の目には魅力的に映ったのかもしれない。

彼自身が、人間らしく描かれることを禁止された聖人そのものであり、のちに人間らしい美しさを手にいれるその人だというのが、なんとも複雑だ。

 

 

突然だが、あなたはある日突然「砂が主食だ」と言われて素直に「そうですか」と頷くことができるだろうか。
あるいは『ありがとう』という言葉は最上級の侮辱なので、金輪際言ってはいけない、と言われ、すぐに切り替えることができるだろうか。

がりがりと砂を噛む不快感や、感謝の念が湧いたときほぼ無意識に出る言葉を無視することは、とても難しい。

生まれた日から今日まで、骨の髄まで染みついた当たり前を覆すことは、苦痛とはまた違った苦しみがある。

生きてきたこれまで全てを否定されるような気持ち、あるいは、恥ずかしさ。
親を失うような悲しみ、胸のどこかにぽっかりと穴が空いたような喪失感。

人から強制される方がまだマシなのかもしれない。「お前はおかしいよ」と怒鳴られて気がつく方が諦めがつくのかもしれない。

 

「あ、これ、いらなかったんだ。」

 

自分で真実に辿り着くのが、一番苦しい。
そして、一番清々しい。

 

クヴァル、物語の中で神を失った軍人。
私は彼のことが、愛おしくて仕方がない。

 

信仰を失った彼が次に見つけた神が友情だということ。
そしてその友の一番には自分はなれないということ。
運命を共にすることさえ選べないということ。

なんてかわいそうで、いじらしいんだろう。

アルムが永劫の命を選択した世界で、クヴァルがアルムに看取られる瞬間に想いを馳せては、ダンスマカブルに出会えてよかったと思っている。

 

「……いずれ来る、君との別れを、悲しもう。
 ……友達だからこそだ。」

 

劇中で一番好きなセリフだった。

クヴァル役の十龍之介、こういう役もできるんだ。
普段ラブロマンスに出演している姿ばかり見ていたから知らなかった。
こんな倒錯的で人間的で、一途で優しい役ができるんだ。
エリート軍人の名に恥じぬ体躯、声量があって迫力のある発狂、
そして優しいシーンで魅せる、怖いほどに底抜けの優しい表情。
元来優しい顔の作りをしていると思っていたのに、なるほどよくよく見るとかなり男らしくて強い顔立ちをしている。
自分はアイドルというものを甘く見ていたかもしれない。

 

 

信心深く人間らしさのない信者から、現代的な人間らしさを手に入れたクヴァルと対をなすような登場人物がいた。

リーベル
物語が進むごと、まるで段々と天に昇っていくかのように、人ならざるもののようになっていった。

自由への意志、大義。序盤の彼の原動力は熱く人間らしいものだった。
突き動かされているというより、いっとう強い意志という印象を受けていた。

彼はアルムに魅入られた。アルムの人間離れした無垢さに魅入られ、
ナーヴではないが、アルムを対象とする信仰を手に入れた。

物語終盤、ただの人間になろうとするアルムに「人々の希望のために偶像になってくれ」とはっきり告げる。アルムをもう一度神にしようとする。
そしてリーベルは新しい神のためにその命を賭して戦う。
これを信心深いと言わずなんと言おうか。

アルムが永遠の命を選択するエンディングで、永劫の時を過ごしたアルムがリーベルに問いかける

 

「……後悔していないか?」

「してないよ、アルム。」

 

その問答のあと、リーベルはあろうことか「ふふふ……」と笑うのだ。
私にはそれがたまらなく神秘的に見えた。アルムの笑顔と自由が絶対で、それが彼の中での神に、光になったんだと感じた。

魅力的なキャラクター造形だ。自分は、感情移入していた主人公に最後に置いていかれるファンタジーが大好きだ。
実は有名な血統の持ち主だったり、何かの生まれ変わりだったり、力に目覚めたり。
少年漫画で育ってきたからか、主人公がそんな遠い存在になって幕引きを迎える物語の寂寥感が大好きだ。

 

アルム、奥深い登場人物だった。
彼のことをどう見るかで物語の結末に対する解釈が変わりそうだ。
自分の目には、どちらのエンディングもメリーバッドエンドに見えたハッピーエンド……
に見えて、アルムのことをよく考えるとやっぱりメリバだったんだと受け取った。

自由というものに憧れ、自由に対する責任にすら焦がれる。
自由という概念を知った次の瞬間に彼が出会ったものが「人のためにありたい」という願いだった。
お飾りじゃなく、本当の意味で人のためにありたい。
空っぽの胃の中に入る最初の自由だった。生まれたての彼にとって自由とは「できるだけ多くの人のため」という形をしていたんだと思う。

彼の最初の友人、リーベルは「お前のために戦う」という自由を持っていた。
「お前が新しい世界を作る」という思想を持っていた。くしくもアルムが初めて知った自由の形と一致してしまっていた。
彼の中で完全に他の選択肢が排除された瞬間だった。
「お前のために戦う」というリーベルの自由が、アルムを不自由にしていく。
「君のために負けない」という新たな呪いにかかっていく。
そしてアルムは、友人の喪失、または永遠の苦しみと対峙することになるのだ。

亥清悠、生意気なキャラクターのタレントというイメージだったのに、目を見張るほどの芝居を見せてくれた。
一見呪いのように見えるこのリーベルとの関係を、「自分が心の底から望むものだ」と表情で見せてくれた。
世間知らずに見えて、お茶目で、気が強く、しっかりと神秘をまとった少年を演じていた。
何も知らないアルムが、何もかもを知ってそれでも自分で選んだことを尊び「私の世界だ」と微笑む表情に、幸せのようなものを感じる演技だった。ハッピーエンドかはわからない。

 

 

死の舞踏。

“リズムに合わせて身体を動かすこと”に快感が伴うよう、私たち人間の体はプログラムされているみたいだ。夜な夜なクラブに通う若者も、アーティストのライブに足繁く通う私もみな、リズムを感じて気分がよくなって帰路に着く。
踊る快感と酸素の足りない脳みそは人を半狂乱状態にしてくれるらしい。

踊りとはよく、祭事に使われる。
朦朧とする意識と快感の中で、普通ではないその状態の中で、人は人智を超えた何かを見出してきたのかもしれない。
ラクラでクタクタの状態に反して勝手に体が動くことに、あるいは混乱の中に見える幻覚に、人は神秘的な何かを感じてきたのかもしれない。

ダンスマカブルの中でのダンスは、やはり戦いだったのだろうか。終わらない命懸けのダンスの中で、それぞれが自分だけの神秘を見出して、自分の意思で選択していく。

 

 

リーベル、名前が好きだ。

ローマ神話においての生産と豊穣の神。禁忌からの解放者とされる。
liberty の語源をとなるラテン語liber。その名は「自由なもの」という意味だ。
別名をバッカス。こちらはブドウと酒の神とされている。
酒は人を熱狂させる。フーガもその影響を受けた一人だったのかもしれない。

リーベル、一番人間らしく見えて、一番神様っぽくて、一番残酷なヒーローだった。
リーベル役の八乙女楽、「八乙女楽っぽい役」ばかりするアイドルだと思っていた。
華のある見た目で画作りには最適なタレントだが、そこまで芝居として力のある人物ではないと思っていた。
圧巻だった。普段から八乙女楽自身が一本木な性格なんだろうと勘づいてしまうほどのまっすぐな眼差しと、突飛なことを言っているのに本人には全く悪気がない、危なげな雰囲気。浮世離れした見た目が相まって怖さすらあった。

八乙女楽、きっとリーベルのような男なのだろう。
自分のファンから狂信を向けられる彼だからこそ、群衆の希望であることに違和感がなく、希望の星もまた何かに魅入られることがある、ということに説得力があるのかもしれない。
八乙女楽というアイドルがこの役を演じていることの、深みが計り知れない。

そんな話だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

っていう、アイナナ世界のオタクのブログありそうだよねという話。

 

 

 

 

普通の感想じゃなくてまじでごめん、普通の感想も今書いてるから許して。
ダンマカがあまりにあまりに面白すぎて、つい勢いで書いてしまった。たのしかったです。

アイドリッシュセブンとドルオタと、心の分離と理想のアイドル【アイナナ本編3部初見感想】

アイドリッシュセブンアプリ メインストーリー1〜3部のネタバレを含みます
※すべて個人の感想です

 

 

 

 

 

 

 

 


「3部を見るときは気持ちを明るくして インターネットから離れて見てね」

 

 

 

 

 

 

 


というアドバイス(意訳)を、ムビナナ初見感想を世に放った時に目にした。
ここまでTwitterでストーリー履修の実況をしてこなかったのはこの助言を参考にしていたからだ。

そして、その意味がよくわかる3部だった。
ありがとう。これを読んでくれているかわからないけど、あなたのツイートです。


これ以上そのことについて直接触れることはしないと思うけど、
なるほど確かに、これは十龍之介というキャラクターをアイドルとして推すにあたっては非常に噛みごたえのある、複雑な内容だと思った。

 

 

※3部履修時になってようやく「気になったところはスクショとればいいんじゃん!」となったので今回からスクショがある。

 

ちなみになんでこんなに感想を書くのが遅いかというと、暇さえあればムビナナを見にいってしまっているからである。

いつの間にか2ヶ月でDAY24になっていた。ムビナナ、何回見ても本当に良い。

 

 

 

▲3部読み終わってから見るこの2部のエンドカード

 

▼目次

例に漏れず今回も長い、ごめん。

 

 

 

前提

今回は前提は短いよ。

3部のあらすじ

感想に入っていく前に、先に3部のストーリーのおさらいを置いていこうと思う。
おそらく履修済みの人の中には「3部ってどこからどこまでの話だっけ…?」となっている人も多いと思うので。

 



■3部メインストーリーざっくり内容

・大和の秘密、三月との喧嘩
・ŹOOĻ登場
・十龍之介とセクシーセレブキャラ
・月雲了登場
・Re:valeのマジ喧嘩
・Friends DAY、合宿
・花巻スミレとのスキャンダル
・TRIGGER誘拐事件、八乙女プロダクションとインディーズ
・チャリティテレソン Friends Day
・「あなたをコントロールさせてください」事件
・Re:valeベランダ事件
・MOP


 

その他にも陸の「訴求力すごすぎて吹奏楽流行っちゃう事件」とか壮五の「曲作ってみたい事件」とかたくさんたくさんいろんなことがあった。
なんかこうやって振り返ってみるとめちゃくちゃ内容濃いな…濃いっていうか、多い…

前回エントリで宣言した通り、時系列で感想まとめるのをやめようと思う。
3部からはいよいよ群像劇らしく登場人物もエピソードも入り組んできていて
パラレルな展開が目白押しなのでそれぞれ全てに感想を書いていたらきっと10回学位がもらえるくらいの卒業論文が書けてしまう。
書きたい内容を掻い摘んで書くね。

 

 

 

3部を読むまでの話

3部、たぶんフラットに見たら物語コンテンツとしてアイドリッシュセブンが真価を発揮してきた頃のめちゃくちゃおもしろ展開なんだと思う。
同時多発的に様々なことが起こったり繋がったり対比があったり、
群像劇として熱い展開なんだと思う。思うよ。

でもまあ、ムビナナで愚かなまでに十龍之介というキャラクター沼にダイブした自分が、
これをフラットに見られたかというと……

………………見られたと思う??

 

↓あれから愚かなまでにメロメロになっている十龍之介との出会い

senobiiii.hatenablog.com

 

ムビナナ初見感想に対する反響然り、周りの先輩たちの反応然り、
3部で十さんに何かネガティブなことが起こると言うのは明らかだった。

▼ムビナナ初見直後の先輩とのLINE



誰が楽しくて、愛おしくて仕方がない存在が傷つき苦しむ姿を進んで見られようか。
そんな気持ちがありながらも、その実、ムビナナであんなに華麗にBEAUTIFUL PRAYERを踊るTRIGGERの姿を見ているんだ、ハッピーエンドがわかってんなら大丈夫でしょ、と、どこかで高を括っている自分がいた。愚かだ。

全記事1・2部感想エントリにも書いた通り、
次の日に2回目のムビナナを控えていた私は足早に3部のストーリー履修を進めていった。

 

▼一つ前のメインストーリー感想

senobiiii.hatenablog.com

 

あなたは、たとえば愛しいペットや宝物が目の前で石をぶつけられ傷付く様を、平常心で見ていられるタイプだろうか。
「確実に元気になるから」と言われていたとしても、怪我をして這いつくばっている姿を想像して、普段通りの自分の感覚でいられるだろうか。

みんなムビナナ初見感想のとき「こいつ今からあのストーリー読むんだな〜」って思いながら読んでたってこと……?おっそろしいんだけど。もう何も信じられない。

そちら側は楽しいか?愉悦か?

 

 

 

 

まず二階堂大和の話をさせてくれ

ほどほど、演技派、客観的、クールな見た目のお兄さん

先に二階堂大和の話してもいい?いいよ。

3部の前半は彼の秘密を知ることができるパートだった。
前回1・2部感想の時点で「二階堂大和の闇、知りたいような知りたくないようなだ」と言っていた矢先の展開だった。

大和関連で頻出する「復讐」の内容は、「身内が殺された」とかそういう王道の話では全くなかった。
愛妻家で有名な大御所俳優の隠し子なんだって。確かにそれはIDOLiSH7に被害被る背景だわ。

IDOLiSH7を愛しているほど言い出せない。大和のいじらしさと臆病さがよくわかる展開。読み手としてはめちゃくちゃ熱い。おい、この物語、めちゃくちゃ面白くなってきたな?

一人っ子大和くん、三月お兄ちゃんに全然相談しない。相談しなさい、お兄ちゃんに。
心のオーブントースター・六弥ナギの効果も大和融解には効かず。
大和の秘密に壁を作ってるのは「IDOLiSH7を守る」という正義なので、大正義六弥節も今の大和には響かなかった。

六弥セラピーも効かないとなると、誰がこのアイナナの年長一人っ子を攻略するんだ。
オレ(紡)か?と思っていところに、ミラクル魅惑のお兄さん16人中最年長の千センパイが登場した。
これは2部で後輩たちにしっかりフォローされてしまったRe:vale先輩のスーパー尊先*1ムーブくるか?

 


アイナナ年上組大和三月の喧嘩、めちゃくちゃよかった。

 

 

「あんたが犯罪者だったとしても、今さら、嫌いになんてなってやるかよ!」
「あんたにしてもらったこと忘れるもんか!」

 

 

号泣。

 

三月、その見た目でそんな男前なんだ。そんでアイドルが大好きでアイドルに憧れてたんだ。まじでめっちゃいいキャラしてるな。

今現在、ムビナナのIDOLiSH7パートではオレンジと緑のペンライトを振ってる。
アイナナの推しは大和さんなんだけど、どうしてもオレンジのペンライトが振りたくて。

年上コンビの喧嘩におろおろする年下組がかわいい。
年下組が「あの二人大丈夫かな…?」心配する中しれっと収録の仕事をこなしながら喧嘩を続ける大和と三月がすっごく良かった。
「仕事に支障は出さない」という正義感のある喧嘩が成熟したメンタルとして表現されてる気がする。1・2部でフォーカスが当たりがちだった年下組との対比感じて気持ちいい。

あとそんなお兄ちゃん二人が冷戦繰り広げるなか「僕が未成年のみんなを守ってらないと、しっかりしないと」って頑張る壮五、めちゃくちゃいいやつ。大好き。

真ん中っ子壮五くん、一見聞き分けがよくて素直なように見せかけてクレイジーなところも、
いざというときには自分がお兄ちゃんになろうとするところもマジで中間子の働きだ。いい子。MEZZO”は二人ともすごくいい子だ〜。

アイナナは本当に兄弟で家族って感じがする。
アイナナにまつわるストーリー進行、特に"愛"って感じで気を抜くとすぐに泣けてしまう。

 

 


突然、谷底に突き落とされる

『めちゃくちゃ好きなキャラ造形だな二階堂大和』と思って二階堂バレーの崖の下を覗いていたところに、

ドンと背中を押されて谷底に突き落とされる事件が起きた。


大和が三月と喧嘩をして寮を家出する。
そして撮影現場で一緒だった千の家に居候をし始めた。
自分の痛いところをざくざく抉る千の言葉に耐えかねた大和が掴みかかった後のことだった

 

 

 

 

 

 

 






 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

ごめん、何してる?

 

え、これ、何してる?
なにしてるこれ?

ちょっと待って、大和さんメンタル追い込まれるとそんな感じになるの?
お芝居と自分の境界が曖昧になってるってやつ?役が抜けないとかそういうやつ?

そういうの、
すっっっっごい好きなんだけど・・・・・!?

 


いや、それはそうとして、まじでこのシーンの状況が理解できずに会話ログを開いて何度も読み直した。
わからない。掴みかかった後どうやって千を黙らせたのかも、
なんで大和がこんなに倒錯しているのかも全くわからない。

一番わからないのは千さん、あなたなんでこんなことが起こっても取り乱さずいつもの落ち着いたテンションでいられるんだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 




びっっっっっっっっっくりした。


よかった。本当にびっくりした。
私は能動的には腐ってないんだけど*2「まさかキ、キスで黙らせた……!?」と思わずにはいられなかった。
え、思うよね?みんなちょっとは思うよね?

そんなBL展開があるわけないとは思ってたので「手で口塞いだとかだよね…!?」とは思ってたけどさ。……ね!?

先述の項で「アイナナ大人組の大和三月の喧嘩、めちゃくちゃよい。」とか冷静に書いてるけど、
実はそのシーンはこのふたつのシーンの間にあったので当時は到底頭に入ってこなかった。
いやいやいや、首絞めてるってネタバラシせずに放り出さないでよ……こっちはめっちゃ心臓バクバク言ってたんだからさ……

 

 

 

………………いや、首絞めてる!?

 

 

 

 

ま、待って、大和さん千の首……絞めたの!?

 

 

おい、二階堂大和、急にぶん殴ってくるな。

執着・じめじめ・ヤンデレ属性好き、クリティカルヒット

やれやれ系お兄さんがワッと頭がいっぱいになって衝動で首絞めしてしまうなんて、
しかも自分の役柄と自分を倒錯するという(アン)ハッピーセットで、
その上その相手がミステリアスセクシーな銀髪細身に泣きぼくろの色男……?

アイドリッシュセブン3部、とんでも無い爆弾落としてきやがった。
ズガン!って自分が叩き落される音がした。同時に千にも落ちた。

千はRe:memberから入ってたから精神的に不安定なイメージがあったんだけど、
この巻き込まれ方、この自体を悪化させない黙り方。

首まで絞められた相手に「大丈夫」「頑張ったね」「安心させてあげな」って言える年上ムーブ。
う、好き………………………………。

あの高校生のダウナー系クソガキだった男が、休日に家から出るのに一大決心がいるインドア男が、
レインボーアリーナであんなに激しく踊って、っていうか振り入れをして立ち位置覚えて、王子様みたいな衣装に着替えてるって……最っ高じゃん……
やばいムビナナ見たい。今無性にRe-raise が見たい。

大和と千、好きっすね………。

 


旧Re:valeよ…

事務員、お前……

で、大和の話が一段落しそうな頃、万理と千が邂逅していた。

 


う、千と話す万理、めちゃくちゃ””良い””な……?

キミ、諦観抱える意地悪なお兄さんじゃん………
声色も普段と全然違うじゃん。声ひっく。
アイナナに出会う前、散々周りに「お前はたぶん万理のこと好きだよ」って言われてたけど、
ここに来てやっとその意味がわかった。これは、好きだね……。

なあアイドリッシュセブン、好きキャラのフルコースか?
次から次へと性癖スイッチを押してくるんじゃない。性癖スイッチってそんな簡単に押して良いものじゃない。このままだとアイナナの無い人生に戻れなくなるだろうが。

 


日常回っていいよね

キラキラ陽キャ運動部


運動部のにこにこ仲良し感、めちゃくちゃ好き。
爽やか陽キャボーイの眩しさ、他者を愛することが当たり前みたいな優しさがあって最高。
でも心が健康で自分が満たされてるから思ったよりドライで誰も依存させてくれないんでしょ、最高〜!
運動部好き。アイナナは好きな組み合わせが多すぎてすごいね。

とか思ってたら、ここでもちっちゃい爆弾落とされた。

 

 



この非常に何気ない読み飛ばしそうになったシーンで"ひらめいた"ので、後でその話するね。

 

 

 

頼むからお前らもう一生合宿してろ

日常ほのぼの回で言えば合宿とかいう夢の展開もあった。
12人が同じ釜の飯を食べてわちゃわちゃしてる姿には至高の幸せがあった。

ずーっとこういうことしててくれ〜と思ってたら陸がNANAばりの
「でもそんな幸せな時間は長くは続かなくて……」みたいなモノローグ始めたから
心臓縮み上がっちゃったな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

偶像

 

 

で、なごやかな話はここまでにして、TRIGGERの話をしよう。
ŹOOĻの話はTRIGGERのあとにするわ。

 

 

アイドルとプロデュース

 

アイドルは職業だ。

歌って踊り、芸能活動をし、商業を動かす専門職だ。

加えて、アイドルとはメディアだ。と思ってる。個人的には。
壮大なプロデュースチームの作品が乗っかるアウトプットとして、媒体として存在している。そんな側面がある。と思ってる。

 

おそらく、”アイドル”とは、そこにいる人間そのものを指す言葉ではない。

タレントマネジメントを行う芸能事務所があり、マネジメント実務を行うマネージャーがおり、
コミュニケーションを設計するプロデューサーと、マーケティングチームと、アイドルを整える現場スタッフと・・・
その全てが集まって最終的に私たちに見えている”アイドル”を作り出している。

そういう側面があるのにも関わらず、アイドル本人もアイドルという言葉が指すのは自分自身だけだと思ってしまう。だからアイドルは世間のイメージと自分自身のギャップに苦しむし、
苦しむという前例があってもキャラ付けを行う。
でもそれはネガティブなことばかりではない、プロデュースは人を楽しませるエンタメだ。
誰しも経験したことのある「人によろこんでもらうことの気持ちよさ」もあるし、それが多くの人に受け入れられれば自分やチームの夢と希望がかなっていく。

 

アイドルはメディアだけど、媒体だけど、ハリボテじゃない。

私たちは彼らを通して「プロデュースチームの作品」を見ているけれど、
応援したくなるその気持ちの矛先はいつだってそこにいる、職業アイドルに従事している彼ら本人だ。
まったく同じプロデューサーがついたって、ましてや全く同じアイドルユニットに在籍していたって、
私たちファンは彼ら本人の佇まいを見て、発言を見て、生き様のようなストーリーを見て好きになる。

それが本人自身が持っていたものなのか、プロデュースされた作品なのかは誰にもわからない。
そこをはっきりさせることにあまり意味はなく、ただ我々ファンは「“十龍之介という人間”を応援したい」と思う。
最初っから“アイドルの後ろにいるプロデュースチームも含めて”好きになる人は少数派だろう。存在するとは思うけど、何十万人といるアイドルオタクの大抵は前者だ。

だから「アイドル本人の役を担っている個人」が重要なのだ。
プロデュースチームの力とアイドル本人の力は掛け算のようなもので、本人が魅力的であるほどパワーは大きくなるし、本人が1に満たなければ威力は減少する。もちろんこれは裏方チームにも同じことが言える。

そう、プロデュースとタレント本人、両方あってのアイドルだ。“アイドル”としての結果は、アイドルその人個人では動かせないこともある。
それでも本人たちは「自分がダメなんだ」「自分がすごいんだ」と思ってしまう。自分の顔、自分の名前、自分の人生を切り売りして生きてるから。

一方で、自分の名前を呼んでくれるファンたちが自己像とあまりにかけ離れた偶像に熱狂する姿を見ると、自分自身の持つ素地が、努力が虚しいのではないか、プロデュースだけでいいんじゃないかと想ってしまう。

 

▼戸惑いながらもプライドを持ってステージに立ってるところ、まじで最高。そのプライドと戸惑いがセクシーです。



 

 

ファンは“アイドル本人”を見て好きになり、そのファンにまた“プロデュースチームの作品”を訴求する。
そしてファンはまた”アイドル本人”を好きになる。
商業的には噛み合っていても、人間の気持ちや認識としてはやや噛み合ってなかったりする。
それがアイドルの面白くて味わい深いところでもあるけど、
時に「世間と自分のギャップ」としてそのアイドルの気持ちに皺寄せを寄越す。

…という、アイドル商業文化の一部要素にフォーカスを当てるストーリーなんだと思った。アイドリッシュセブン3部というコンテンツは。

 


アイドリッシュセブンのメインストーリー、「プロデュースする大人」や紡が出てくることで、この「アイドルとプロデュース」の構造をシンプルに表現している。
物語の焦点はアイドルの彼らだけにあてていても、大人がトラブルを持ってくることで
うまくこの媒体構造の歪みを本筋に落とし込んでいるな と感じながら3部を読んでいた。

 

 

「こういうアイドルが1番好き」っていうタイプのアイドルがいる。

"自分のファンのために精一杯格好つけてくれるアイドル"だ。
普段格好つけなさそうな、あまり自分のことを格好いいと思ってなさそうな人柄のアイドルが、パフォーマンスとしてしっかり自分を魅せる姿が大好きだ。
たぶんアイドルをしていなければそんなことしてなさそうな人が、アイドルという選択をしたばかりに、自分のファンが喜んでくれるばかりに、ステージの上で歌い踊り表情を作る姿が大好きだ。ミラーの前で自分の立ち姿を、四肢の角度を研究し馴染ませてると思うと堪らなくなる。自分が撮影されたものを見て自分自身の魅力的な見え方を考えてると思うと、胸がいっぱいになる。

ファンのために格好よくしてくれてありがとう。その想いが最っ高にかっこいい。

 

 

ゴシップ

ゴシップネタが入ってくるなんて思わなかった。しかも自担と置いたキャラクターに。まじかよ。自分の最も苦手とする話題じゃん。

花巻スミレとのあれそれは、ゲームユーザー視点ではすべてを知った上でストーリーを追っていく。でも私の感情はどちらかというと「アイナナ世界のTRIGGERファン」に近かった。

何も語られないまま事態だけがこじれていく。好きなアイドルのゴシップって、話題性が大きいほどやるせないような、なぜだか恥ずかしさに似た気持ちになる。
「最近話題のあれ、好きだったよね、ファンから見てどう思うの?」なんて、これまで100回は聞かれてきた。

自担を信じたい。でも自担は大抵、何も言わない。
そう、何も言わない方がいい。
私はこういう時に「何も言わないでくれ」と思うパターンのオタクだった。普段より公式以外からの情報をシャットアウトするタイプだったので、週刊誌がすっぱ抜こうとリークがあろうと「ふーん」という態度を貫き「まあ、非公式情報は無いもの同然」と唱えるタイプだった。だから公式になにかコメントを出されてしまうとその理論が崩れてしまう。
「非公式情報は関係ない」と割り切るのは、推しアイドルを信じるという気持ち以外の何者でもない。それを崩さないでいてほしい。

なにも言わないTRIGGERに安心した。
安心したと同時に、完全に「なにも言わない自担を信じたい」というTRIGGER担の気持ちになっていた。
ゲーム上は全部知っているはずなのに『真実については何も知らず、ただこれまで自分が見てきた自担のパーソナルが虚像ではないことだけを切に願って世間が彼のゴシップに飽きるのを待っている』ファンの気持ちになっていた。

 

これ、全然フィクションとして捉えられなくてつらい。物語としてつらいというより、変な形で感情移入していてつらい気持ちだ。
TRIGGERファン、アイドルの十龍之介ファンとしてつらい。
完全に作品と自分の境界が曖昧になっている。

 

…ということで、私はここで一度リアル休憩をした。
朝からぶっ続けで読んでいたアプリを一旦閉じ、ゲーム実況を見ながらお昼ごはんを食べて気を紛らわせていた。

アイドリッシュセブンのストーリー、やべえ〜。

 

ノンフィクションフィクション

お昼ごはんを食べていたら少し冷静になってきていた。
いや、なにをフィクションに感情持っていかれそうになってんねん。
「これ心がいたーい!たのしー!^^」ってやれる内容ならまだしも、マジ心痛めコンテンツはちょっときついわ。

冷静になると、私が「知ってるな」と思うアイドルの世界と大きく違う点が一つあった。
芸能界がシンプルなところだ。特に交友関係がシンプル且つ狭い。
アイドリッシュセブンというコンテンツはとにかく16人のアイドルとその周辺の業界内人物に人間関係が閉じているように感じる。

16人の地元の友達さえ出てこない徹底ぶり。物語の本筋に関わってこないのであれば当人たちの肉親の顔さえ出てこない。

そこが違う。私は芸能界にはさして…というか1ミリも詳しくない一般人だが、それでもアイドルオタクをやっていると知ること、推察できることはたくさんある。
その中でも交友関係という点においてはかなりデフォルメされ、クリーンでイノセントな感じになっていると思った。

……ということを、強く念頭に置いてこの続きを読もう。
私の知ってる芸能界ではない。大丈夫。

 

なんとか半分くらい気持ちを切り替え再び読み進めていくと、幸いなことに超フィクションな展開が待ち受けていた。

 

TRIGGER、誘拐された。

 

こんな展開ありぃ?アイドリッシュセブンってアイドル見守りゲームですよね??
超サスペンスでちょっとおもしろくなってきた。
さっきとは種類の違うハラハラ感。嫌なハラハラではなくドラマを見てるようなドキドキがある。いい感じだ。どんどん現実から離れてくれ。
TRIGGERには申し訳ないが、ドラマチックになればなるほど返って平常心で見られる気がしていた。

 

 

 

 

 

“願いはShine On The Sea”

 

 

 

 

 

 

ごめんやっぱ、無理かも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行くな。

 

 

 

 

 

え、嫌だ。やめてくれ。ほんとにやめてほしい。

待ってこんなの、テレビの前のTRIGGER担の私はどうやって自担を見たらいいわけ。
胸が八つ裂きにされそう。
自担への心無い言葉なんて自分への誹謗中傷より聞きたくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おい!!!運営!!
てめえ!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プレイしながら「ハァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜??」って声出た。
スクショも忘れるくらい動揺した。(上のは感想エントリのために撮り直した)
なんちゅう演出だよ。おい、まじで。これはなんつー演出だ。

 

 

ドルオタの筋肉、ログアウト。

 

あまりの受け入れ難さに感受性的な何かがシャットダウンし、「なにこの憎い演出〜!」と錯乱めいた感想だけが残った。

こんなシーンに立ってるのが自担だなんて、普通に考えて耐えられるわけないだろ。
こっちはレインボーアリーナで10年ぶりの担降りしてんだぞ。
絵に描いたような恥ずかしいまでのぞっこんめろめろで、心の全部使って推してんだぞ。
生活投げ打ってんだぞ、生きてもいない存在に本気で幸せになってほしいって思ってんだぞ。
布教してきた友人にさえ「ごめんこんなにハマると思わなくてちょっと引いてる」って言われてんだぞ。

この演出考えた人出てきな〜?どんな会議してこの演出決めたの?ねえ。

俺たちが能動的にアクションしないと進めないストーリーライブとかいう機能でプレーヤーを物語の中の存在にするのやめろ!
傍観者でいさせろよ。ゲーム作るの上手かよ。ゲーム体験として二重丸だわこんなん。

そんで歌がうめえんだわ十龍之介よ。しっかり高らかにいい声で歌い上げんな。いや歌い上げろ。

これこの曲のレコーディングのとき佐藤さんはどんな気持ちでどんなこと考えて音入れしたわけ?
オタクはだいぶ噛み砕くのにハードル要ってるわけだけど、そこんとこどうだったの?
もう声優さんとかのメタ的存在に考えを馳せてないとやってらんねえよ。

そんでまた曲がいいんだよなあ〜〜?(キレ)
ストーリーと曲をリンクさせてくるの本当に……現実のアイドルではもちろん今までのゲーム体験の中でも感じたことない気持ちにさせられるから毎度攻撃力が高え。
でもストーリーライブやりながらだと歌詞に集中できないからもどかしい。

 

 

 

泣かせにくるのやめて。

 



次の事件出すのやめて!?

 

早すぎんだろ、ストーリー進行がよ。
まだ飲み込めてねえんだわ。
さっきの一人オンステージで世間がTRIGGERに対してどう思ったとか、今後のTRIGGERがどうなるかとか、そもそもŹOOĻってこのままヒールで進んでいくわけ?とか、全部宙ぶらりんのまま次のトピック放り込むのやめて?

ずーっと崖上の平均台の上に立たされてる。なーんも安心できない。
ぜーんぜん一息つけない。
自担がどうなったか気になって気になって、待ち望んだナギの過去話題っぽいのにほとんど話が頭に入ってこない。

群像劇楽しいなァ??

 

 

 

「ああTRIGGERって、たぶんこの物語においての気高さと再生の象徴なんだろうな、最初からこうなる前提で作り出された存在なんだ」と、メタ的な認知をせざるを得なかった。
群像劇の中でどの物語軸を背負ったパーツになってるか……これがこのキャラクターたちの役割なんだ、というつまらん思考に脳みそが支配されていく。

キャラクターが配置される記号であり物語を動かすためのパーツなのは全然問題ない。むしろいい。おもしろいよね。それがこういう作品の良さってやつだよね。

キャラクターは伝えたいことの記号でいい。人間性がしっかり確保されていて、あたかも生きてるかのように一人ひとりをとても丁寧に描いてくれてる、すばらしく良質な群像劇だと思う。人間讃歌、大好きだ。

自担じゃなければね。

 

ドルオタの筋肉、再びログイン。

 

TRIGGERのデビューは知らないし、彼らがどんな努力をしてきたかもわからない。
でもきっと、それこそ血の滲むような努力と惜しみない感謝と考え抜いた戦略で寸分の狂いもなくアイドルを貫いてきた彼らの、
TRIGGERという作品に二度と落とせない土がついたことがやるせなくて悲しくて仕方がなかった。
ショック、という言葉がピッタリかもしれない。

受け入れ難すぎたのか、涙腺ゆるゆる人間のくせに一連の流れの中で少しの涙も出てこなかった。なんかこう、実感が湧かない。
「群像劇としておもしろいよね」っていう気持ちと「自担のこんなの見てられっか」という気持ちの悪いとこ取りをしてる。
つまり、あんまりストーリーとしての面白さの享受も、どっぷり感情移入してだばだばに泣くということもできてなかった。心が防衛本能働かせてる。活字の上を目が滑る。

3部、思った100倍難しい。

 

 

2008〜2015年頃のアイドルブーム以降、アイドルはストーリーコンテンツだということは今では国民の周知に至るところであると思うのだが、例に漏れず私ももちろんアイドルたちの紡ぐストーリーや歩む人生を愛していた。

特に、見方によっては悲劇的なストーリーを背負っているようなユニットを応援してきていたことがある。その悲劇に惚れた訳ではなく、たまたま好きになった人がストーリーを背負っていただけなのだけれど。

悲劇がアイドルに何をもたらしたのか。そこで彼らは何を考えたのか。そこから這い上がるために何をして、何を捨てたのか。あの時があったから今がある。逆に、あの時がなかったら今頃どうなっていたんだろう。どこまで行っていたんだろう。

そんなストーリーを追って心を使って考えに耽って尊さを噛み締める、そんな応援をしてきていたし、なんだかんだそれが好きだったんだと思う。で、これが転じて今では「もう戻れないあの頃」という響きにグッとくる性癖をしている。

 

でも自分は、”ストーリーを背負わず”ステージに立つアイドルの姿が1番好きだ。

どんなストーリーを背負っていても、ステージに立つ時には悲しいそれは袖に置いていく。胸にしまっておく。

ファンに自分たちの姿を見て心を痛めて泣いてほしいわけでも、「だから私たちが支えなきゃ」と思わせたいわけでも、「頑張ったね」を引き出したいわけでもない。
「かっこいい自分たち」「キラキラアイドルをする自分たち」を見て喜んでくれ!と溌剌とした顔で、きめきめの顔でスポットライトを浴びる姿が好きだ。

「”ドラマチックを演出しない”ドラマチックさ」を選択してくれる。そういう演出が、選択が憎らしいほどメチャクチャに好きだ。

活動再開のシングルに、フルスイングではなくチャンカパーナを選んだ彼らが本当に本当に本当に、本当に大好きだった。

 

TRIGGER、言い訳をしないアイドル。

途方もないストーリーを背負った彼らが、その文脈の一切をかなぐり捨ててレインボーアリーナでBEAUTIFUL PRAYERを歌い踊ってるんだと思うと、

待って、めっちゃ、大好きかも。

 

まさかこんなアイドルだとは思わなかった。まさかこんなに自分に刺さるアイドルだとは思わなかった。つなしさんのただイケてるパフォーマンスにやられただけだったはずなのに。

 

TRIGGER、胸が苦しくなるくらい好きだ。

ただただひたすらに格好つけてて、ストーリーなんて一切なくて、「これが俺たちのブランディングですけど」みたいな顔をされたら、それはもう自分にとって理想のアイドルすぎて戻って来れなくなるかもしれない。たぶん戻って来れなくなってる。

ああでも、繰り返しになってしまうが、それでももし、TRIGGERに土がついてなかったらどうなってたんだろう。
最初からシナリオは決まってるし、現実よりあり得ない「もしあの時がなかったら今頃どうなれていたんだろう」なのに、そんなことを思わずにはいられない。

 

結局、こういうアイドルに惹かれるんだな、自分……………………。

アイドリッシュセブン、どこまでも彼らが本当にいるアイドルかの様に錯覚させてくる。手強いゲームだ

 

 

終わらないアイドル

「スポットライトを浴びている僕らが好きだったファン」

個人的に、アイドルはできるだけ遠くにいてほしいと思うタイプだった。

「同じ生きてる人間」ということに気がついてしまうと、その一人の生きている人間が悩む時、苦しめているのは他でもない我々ファンがいるからだ、と気がついてしまうので。

だからそれに気がつかないくらい、アイドルには遠くにいてほしいと思うタイプだった。
自分個人に向けたファンサはいらないし、認知もいらないし、目撃情報もいらないし、ただ広いステージの上で尊ばれていてほしい。

事務所から独立したTRIGGERが再始動するシーン。雨の中でIn the meantimeを歌って踊るシーンで、どうしようもないくらいキツい気持ちになった。

ああ、私は、この時期のTRIGGERのことを推すことはきっとできないんだろうな。

私はきっと、雨の中で踊るTRIGGERを見ることができない。
ライブハウスで踊るTRIGGERのことを見ることができないファンだったと思う。

「まだ歌ってほしい」「まだ踊ってほしい」という気持ちはあっても、きっと、『本人たちが望まない形で』煌びやかなステージより自分の近くに来ることになった推しアイドルを見ることができない。あきらかにキャパの合わない会場でライブをするアイドルを本気で追いかけることは、きっとできない。

CDは買うだろう、インタビューは見るだろう。それでも、事務所から独立した直後の現場には、きっといけないファンだったと思う。
現場に行ける他のユニットを推し始めてるかもしれない。想像に容易い。

自分のファン心理の残酷さを見せつけられてるみたいで、きついわ。デビュー組好きの業をまざまざと見せつけられた。

たぶんムビナナから入ってなかったらこの辺りのしばらくはストーリーを見るのが嫌だったと思う…たぶん。
負けずに立ち上がらんとするTRIGGERはかっこいいけど、それよりもファンの残酷さが胸に突き刺さる。

ゲームのアイドリッシュセブンファンとしても、TRIGGER十龍之介担としても、ムビナナ出の新規で良かったよ。

 

 

 

 

このシーンのつなしさん、めちゃくちゃ家長性が出てて好き。
「ごめんなさい」と謝れることは素晴らしいことだけど、何度も謝ることが必ずしも正義ではない。行き過ぎた謝罪は返って「許してほしい」という保身の意味も滲んできてしまう。
許されないこともある。許されないことが結果的に一番良い形なこともある。

1〜2部感想でも書いたが、ジャッジする人であり「許す/許さない」を繰り返してきたつなしさんにとって、過度な謝罪で足を止めることは何よりも悪だ。
おそらく二十歳そこそこまで実家にいた彼がどの様な家庭環境にいたかは明らかにされていないが、きっと小さな家長として「ただ謝り続ける」だけで問題が解決してきたことは一切なかったんだと思う。
そんな感じのことが読み取れるシーンでめちゃくちゃ大好き。

3部、十龍之介のいいところが最高に悪い形で物語に絡んできてるな という内容だった。
正直それが一番しんどかったんだけど、でもこの一言で救われた気がした。
キャラ造形が丁寧で命が助かった。同時に、キャラ造形が丁寧すぎて、キャラクターを一人の人間として愛しすぎてしまって命が何個あっても足りない。
作者のペンひとつで心がころされてしまう。

 

 



八乙女楽、どうしてそんなことが言えるんだ。
小さい頃からステージに立つべく育てられて、トップアイドルやって、七光だなんだを努力と実力で跳ね飛ばしてきて、それが瓦解して、親と離別までして、どうしてその気概でいられるんだ。
君を形成する何が君をそんな素敵な性格たらしめている?1万字インタビューを読ませてくれ。Wi●k Upソロ表紙回を読ませてくれ。アナザースカイに出てくれ。頼むよ。

自分がアイナナ世界のドルオタだったとしてもTRIGGERのステージを見てしまったらきっと十担になっていたと思うけど、たぶん八乙女楽のインタビューばっかり集める十担になってたと思う。副担というか……推しているというよりは人生をトレースして浸りたい対象として。
Jオタしてるとたまにそういう存在いないか。この身とお金を捧げるのは他でもない自担だけど、それとは別に生き様をインストールしたい担当、みたいな。
自分は相葉担だったけど櫻井さんのインタビューばっかり集めてたし、丸山担だったけど大倉さんのインタビューを好んで読んでた。

八乙女楽、自分に自信があってその根拠もあって、「俺は格好いいだろ」と信じて疑わないのに、もう一度下積みすることを格好悪いと思わない。なんだよその気骨、なんなんだその出来すぎた美意識。
格好良すぎるだろ。

八乙女楽、格好良すぎるよ。

 

 

 

 

 

 

 

理想のアイドル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、アイドリッシュセブン、インストールしてよかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分以外の存在からこんな言葉が聞けるなんて思わなかった。そこが肯定されるなんて思わなかった。

どれだけ傷つこうと、どれだけ読むのがしんどかろうと、このシーンだけでこの作品が素晴らしい作品だと言える。やってよかったと言える。

姉鷺カオル、今後ずーっと、あなたを信じる。

 

 

 

 

 

 

 

アイドルの終わり

 

笑っていいとも!という国民的バラエティ番組を覚えているだろうか。
その最終回で、中居くんが言ってたコメントを今でもたまに思い出す。

「バラエティの終わりは寂しいですよね。ライブツアーとかドラマとか、他のお仕事は終わりがあって、評判が良かろうが悪かろうがゴールがあります。そして終わったら必ずおめでとう!となる。でもバラエティは違う。ゴールのない中で終わらなければならないので……こんなに残酷なことがあるのかなって思います」

(うろ覚えなのでいろいろ間違ってたら申し訳ない)

バラエティもアイドルも、一度はじまったら終わることが恐ろしいことになってしまう。それでも終わってしまうんだけど。

群像劇とはいえ、物語の軸でありそうなこの二人のコンビがこういう話をしているということは、それはつまりこの物語のメインテーマなんだなと受け取った。

 

 

 

 

自分の意志でTRIGGERをしている

クールに見えて誰よりも優しくて、肝心なところで信じられないくらい口下手な天が、TRIGGERであるために九条鷹匡を説得する尊さたるや。

天が何を思ってあの日七瀬家を出て行ったのか、何を思ってアイドルになると決めたのかは、作中ではまだしっかりと描かれてないが、きっと最初はそこに仲間なんて存在はなかったように思う。

事実きっと彼には仲間は必ずしも不可欠ではなくて、一人でもアイドルとして立っていられる才を持っている。ユニットである方が選択肢は広くても、今回のようなことが起こっては彼にとって仲間はリスクでしかないのかもしれない。

でもその彼が、二人と一緒にいるために一生懸命養父を説得する姿は胸が苦しくなるような誇らしさとうれしさがあった。

天だけではなく、楽も、龍も、
父親に認めてもらいたかった場所から仲間と作り出す世界へ、
家族を養うための出稼ぎから誇れる自分になるため、それぞれ自分の運命のハンドルを切っていく。

何度でも言うが拙者「もう戻れない」という要素が大好き侍、3人が自分の運命を自分の人生に刻み込んでいく姿に胸の高鳴りが止まらなかった。

加えて、もとからストイックだからこそあまり変化がなさそうに見えて、且つ環境として最も摩擦の多い天の運命のとどめを、まさか楽が刺しにいくとは思わなかった。
いつもあんなに言い合ってるのに、九条鷹匡に「あいつの人生はお前のものじゃない、TRIGGERのものだ」って言いにいくんだ。

あんなにいがみ合ってるのに、その運命の責任、お前が持つのか。
いや別に啖呵きったからって楽が全責任を負うってことではないし、天だってそんなことこれっぽっちも望んでないと思うけど、それでも直接言いに行くって少なくとも楽本人の心の中じゃそれだけの責任を背負うつもりで行ってるってことじゃん。
すげえよ。熱いわ。
それだけ天がTRIGGERに必要で、自分に必要で、3人である必要に駆られてるってことだと受け取った。

漢気。最高。楽大好き。

 

 

 

進むためのOnly my love

※騎士とか歴史に詳しい分けではないので、個人の解釈としてふわっと読んでほしい。あとこの辺の歴史に詳しいニキネキは刺さないで。ファンタジーの話をしています。

 

一人でステージに立つ十龍之介、なんだか騎士の様な人だなと思った。
ステージを守っている。TRIGGERを守っている。

そもそもTRIGGERというグループ自体が騎士の様なキャラクター造形してるなという印象があった。グループ名とか近年の衣装とかにミリタリーさを感じるからかもしれないけど。

ソロでの願いはShine On The Seaくらいまでは、信仰心の厚い騎士みたいだと思って見ていた。
ファンへの信頼というものに対する絶対の信仰を持つ騎士団長・天と、その双璧のような。

3人とも想いや価値観はバラバラだけど信仰への気持ちは確かで、清い身で誠実でストイックに自分を高める騎士のよう。
"主に叙任された存在"という意味でも、プロダクションという大きな力に「集められた」という点では近しいものを感じた。(世襲的な血縁関係まであるし)清廉潔白、誇り高き神聖騎士団という印象だった。

事務所から独立してからの野良TRIGGER、変わらず騎士のイメージに近いが、いわゆるわかりやすい魔法ファンタジー世界の「王に仕える」騎士ではなく、中世後期あたりのリアル貴族騎士という感じがした。
貴族騎士という言葉の雰囲気からお飾りの騎士っぽさがあるが実はその逆で、中世後期あたりの騎士はまさに「自分の意志で」王を守る騎士道の原点だ。

 



 

フランス百年戦争以前の国境の明確な定めのない社会の中で、「自分は○○人だ」という国家への帰属意識のない中で、ただ己の意思でのみ、自由意志で『オレがオレでいられる』ために「この人だ」と決めた人を守る。

日本の武士システムに馴染み深い私たちからすると少しイメージがしにくいのだが、「王様が偉い」から代わりに戦うのではなく、この時代のヨーロッパ騎士たちはむしろ王様と限りなく対等な存在だ。
騎士という職業(?)はなく、貴族はもれなく全員騎士で、騎士はもれなく全員貴族。王との間に契約関係はなく、そこにはお互いの「お前を守りたい」という“意思”だけが介在している。
叙任があったとしても契約書があるわけでもない。王が不義理を働けば騎士の方から離れることも歯向かうこともできる。中央集権国家が主となる前の時代なので、王都王宮に集まってる訳でもない。本当に自由と責任、自分の意思と誇りだけで成り立っているのが当時の騎士道だったらしい。

「権力に付き従わなくていいし守られなくていい自律した力」を持ちながら、それでも自分の価値観や信念、時には恩義に従って「なんかあった時は守るよ、そして守ってくれ」という背中合わせの関係性。

事務所⇔TRIGGERの叙任から、TRIGGER⇔TRIGGERの叙任へ。

誰にも縛られない、契約もしない。自分の信念のためにTRIGGERをやってる。

 

 

TRIGGERは3人が3人、対等な関係性だ。ドメスティックで守護者庇護者のはっきりした家族愛のIDOLiSH7との対比を感じる。背中を預けあって、バランスよく立っている。
3という数字そのものも古から均衡やバランスの象徴みたいな扱いを受けてるし、三位一体ってそういうことだし、TRIGGERを3人グループにしたの誰?巧みすぎて憎らしい。

清くあろう、TRIGGERらしくあろうという気高き姿勢はもはやノブレス・オブリージュ*3そのものに見える。彼らにとって、勇敢に立つことはきっと義務なのだ。

 


逃げること、卑しくあることは、平民には許される。しかし貴族である騎士にとっては御法度中の御法度だった。騎士にとって最も重要なのは誇り、栄誉、誉れ。

騎士であり続けるならば高潔に。
TRIGGERであり続けるならば勇敢に。気高く。堂々と。
中途半端なパフォーマンスは見せられない。

一切の穢れなく誇れる自分、そして自分以上に誇れる仲間。
自分ひとりでストイックにできる騎士は、むしろ他者という存在の重要さを知っている。
「心に決めたものを守りぬく自分を誇ること」で更なるパワーが溢れてくることを知っている。自分の力で立てるはずの騎士道物語が、なぜ判子を押した様にわざわざ主人を頂き貴婦人を崇め捧げるのか。
自分以外のものに剣を捧げることが、自分の活力になり、限界を超えるパワーとなることを知っているからだ。人間とはそういうものだと知っているからだ。
一番星を見つけて見上げて、そうすることで思いもよらぬパワーが溢れ、挫けそうな時にも上を見ることができる。神話も、英雄譚も、宗教観も、アイドルもそういう心の構造のもと出来上がっている。

なぜ天が、一人で立つのではなくTRIGGER3人でやることを選んだのか。

 

そう、つまりあの夜、俺たちはTRIGGERに恋をしたってわけ………

 

すみません、上手いこと言えた気がするのでこの話題はここまでにして黙ります。

 

 

 

TRIGGER、こんなに中世ヨーロッパの騎士道を往くのに、3人とも絵に描いたような日本男児なのが好きすぎて胸が苦しい。
八乙女社長まで含めた全員が「そう来たか」「洒落てるな」と思わせる粋で侠な日本のエンターテインメントを愛していて、竹を割ったような潔さと気持ちよさがある。「俺が矢面に立つ」って本気で思ってる。全員。

そりゃ楽屋にも「冴」っていう謎の書道があるよね。納得するよ。せんわ。

 

ああまじで、めっちゃ好き、クソデカ感情ってやつが、今、ここにある。


この感想文、ここからただのTRIGGERオタクの感想シリーズになる気がします。ごめん。

 

 

 

アイドルが「本当はアイドルなんてやりたくなくて、引っ込みがつかないからやってるだけなんじゃないか」って言う気持ちが拭えないオタク、
こんなことを言われたらもう、心の全部で好きになってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

3部の十龍之介

兄ちゃんに任しとけ

十さん、よく人からおせっかいって言われない?
いわゆる”面倒ごと”に自分から首突っ込んでいく姿勢、尊敬する。長男すぎて笑っちゃう。好。

全部の行動に「自分がやらなきゃ」を感じる。弟たちのお世話をしてきて、それこそが己の正義で、存在理由だったんだと思う。
自己満足とか、変な責任感とかじゃなく、「そうやって生きてきた人」みたいなトーンを感じる。壮五や環への言動に、正義意外の心の動きを感じない。
ひたすらまっすぐ、呼吸をするように、己の思う正しさを机の上に出してる気がする。

あとさ、本当によく「未成年」って表現をする。そこは少し不思議だった。
島育ちで自営業、近所付き合いの距離も近そうで都会の文化もあまり明るくない彼が、そんなに未成年を気にするだろうか?
自営業の生活の中では子供も貴重な労働力だ。中学生くらいの年齢になれば大抵大人と同じような仕事ができる。
彼は漁師の息子なので一緒に漁に出ることはできなくても、性格的にも手伝いくらいはしていただろう。

だとすると彼はきっとおそらく、未成年を庇護する存在としているのではなく、「弟みたい」な年下を1人の人間として認められないのではないだろうか。守るべき庇護対象という意味で。
心理学に詳しいわけではないので聞き齧った知識だが、きょうだいの先に生まれた人間は大抵、後から生まれたきょうだいを一生「一人の成熟した人格を持った人間」として見ることができないらしい。
そんな馬鹿な話があるか、と聞いた当時は思ったものだが、確かに中年になろうと壮年になろうと妹を猫可愛がりする兄はいるし、「あいつのことはしらねえけど、どうせふらふらしてんだろ」と仲が悪いのに知った口を聞くきょうだいもどちらも一人の大人としては認めていないのかもしれない。

十さんのこれは、それに近いのかもなと思った。
加えて島育ちの十さん、身内判定が広そう。兄弟じゃなくても、メンバーじゃなくても弟みたいな存在☺️ってしそう。(それ女の子にもやってないよね?一気に重罪だが)

長子属性として非常に包容力があり大人びているようにみえて、年下の誰に対してもそう接してしまうのは23歳としての彼の未熟さなのかもしれない。

普段はふわふわと笑って柔和なお兄さんをしているのに、信じられないくらい頑固。まじ長男。自分のものさし。ガンとして譲らない。そのギャップ馬鹿みたいに好き。ありがとう。

そのギャップで周りが困惑するのも、呆れるのも、いつもは朗らかで優しくて恩のある彼に急に突っぱねられると強く出られないのも、なんならちょっと怖いときがあるのも、全部美味しいです。ほんとありがとう。

 

1・2部感想にも書いたが、天にもその気はある。
もっとも、天が「一人の成熟した人格を持った人」としてなかなか見れないのは今のところ陸のみだけど。
陸の話になると急に「天にぃのわからずや!」になって、どれでも「陸は可愛い弟だよ」になる。うわあ、引くほどお兄ちゃん。
これもしかして今後天がその「一人の人格を持った人間として」陸を見られるようになるまでの葛藤描写きたりする?

天、十さんに掴み掛かった環くん連れ出すところまじでお兄ちゃんすぎて惚れたよ、こんなに見た目が可憐なのに、中身はしっかり芯の強い男の子でかっこいい。
でも未成年ってことはいまだに納得いってない。

 

八乙女楽、天と龍と比較して、誰のことも一人の人格者として見ることができる男。
だからこそ筋の通ってないことが許せない。天が未成年だろうと譲らない。
俺の意見は俺の意見、お前の意見はお前の意見。大事なのは筋が通ってるか、それだけ。逆ジャイアニズム
楽が一人っ子でよかった。
楽がこういう一人っ子ムーブをしてくれるから、TRIGGERは行き過ぎずにいられる場面がたくさんあるんじゃないかな。

 

 

このかっこよさを言葉にできる気がしない

月雲了と十さんが対峙するシーン、好きが詰まってた。好きが詰まりすぎて頭おかしくなるかと思った。

まず目の敵を目の前にしても冷静でいられるところが好きだ。心の中身は野生児で勝負師で戦闘民族なのに、肉食獣みたいに普段はどっしりと構えてチャカついてないところが最高にかっこいい。

で、大切な人、大切な先輩であり友人の百の話になってブチギレて語気を荒げて我を忘れて掴みかかるところ、さらに好き。普段落ち着いてる強者の男が仲間のためにものすごい剣幕になってるところ嫌いな人、いる?

 

 

極め付けはこちら

 

 

 

 

 

そんなずるいところまで持ってるんですか───?

 

 

 

頭おかしくなる。どこまで性癖をセンターに入れてスイッチしてきたら気が済むわけ。
人畜無害そうな顔してその実は天然正義漢で危うくて、

でも自分のこと客観的に見て許され騙せることを知ってる。
普段は絶対人を騙したりしないのに、大事な人を守るためなら騙せてしまう。
笑えてしまう。

 

 

十龍之介、てんこ盛りすぎるでしょ。
ひとり性癖満漢全席するのやめてくれる?

 

どこまで人を狂わせたら気が済むんだろう、ほんと、こいつ。

 

 

 

 

 

 

余談:さが【性・相】 ── 生まれつきの性質、もちまえ

オタクっぽく言うと、性癖。

人の葛藤フェチ、執着フェチ、心の闇フェチ、病みフェチ。

つなしさんが今後、アイドルとしてライトを浴びるとき、心のどこか片隅で1ミリでも罪の意識を抱えながらパフォーマンスをすると思うと、

ごめん、ものすごく興奮する。

 

その心の痒さ、どこかでじりっとした気持ちを掠めながらするパフォーマンス、
もしくはスイッチが入れば忘れてしまう心疾しさ、でも決して消えるわけではない過去の出来事。

それを抱えながら、なお完璧に甘美な表情を作って扇状的なパフォーマンスをするの、その事実こそが最高にセクシーだよな?

しかも十龍之介、そのパフォーマンスの全ては頭で考えて演出している。
「こうしたらみんなが喜ぶかな」という理性的な脳みその動きで弾き出している。
ほんの少しも自分に酔うわけではなく、恍惚に入るわけでもなく、
客席の反応を見ながら醸している。

自分自身の肉体が、一挙手一投足が、相手をよろこばせる道具でありながらまるで傍観者のようにクリアな思考で全てを掌握している。

客席と本人の温度差がたまらん。客席がヒートアップするほど本人は純粋で涼しい「よかった、みんなよろこんでくれてる」という朗らかな気持ちでいる。心の中だけ。
見た目は傾国の色男をしているというのに。

ああ、コントロールされてる俺たちオタク。弄ばれてるオタク。「こういうのかな?」「こんな感じかな?」に殴られてノックアウト。なすすべなし。五体投地、「最高にエロいです………………」合掌。
「こういうのが好きなんでしょ?」じゃないところがまたよい。挑発的ではなく、冷静な真心でものすごい大人向けなものを差し出されている。
本人としては「バスケットボールをしている」くらいの感覚なのかもしれない。その類の興奮は一切ないところが、最高に堪らない。

最高に堪らないけど、本人の自覚のない心の奥底深くで興奮してくれてたりしたら更に堪らない。
バチバチのダンスナンバーのあと、酸素の足りない頭と黄色い声援と眩しいライトと大好きなメンバーが隣にいる高揚感で無意識に気持ちよくなってくれていたりしないか。自然と目が細まって緩んだ顔で色気たっぷりのため息をついてくれないか。

「俺はいつも冷静だよ、全部作品なんだ」とか思いながらライブに脳みそを支配されていてほしい。
そういうアンコントローラブルで無自覚なところに、じめっとしたふしだらで妄りがましい魅力を感じる。

あ、でも待って、自覚しててもいい。それはそれでつなしさんらしい気もする。
「ああ俺今興奮してるんだ」って自分の中の「嘘じゃない」気持ちに触れて気持ちよくなっててくれても非常に、味わい深い。

 

ごめん私いま、すごくセンシティブな話してる^^まあライブってセンシティブな場だし^^
この辺にしときます^^

 

 

 

さらに余談

私はこういうのに興奮してしまう性質だ。
少しじめっとした心の動きとそれを抱えながらのパフォーマンスに鮮烈な色気を感じてしまう。ということに、自覚を持ってしまってから、三次元のアイドルにうまく色めき立つことができなくなってしまった。

なんと言うか、この喜びをはっきりと認知してしまうと、その感情を生きてる人間に向けることにすごく抵抗を感じるようになってしまった。

彼らの深い心の傷を消費しているような気がする。

あれだけ一緒に傷ついたというのに、そこに引っ掛けて熱中していることに言いようのない気持ち悪さを感じてしまうようになった。

それからというもの、物語を冷静に物語として楽しめるところまでコンテンツから離れるようになった。
それがドルオタの卒業時期だった。

それがどうだろう、二次元はあまり気にしなくていい!
そんな背徳的な嗜好も受け止めてくれる。自分の心が痛いことさえときには気持ちいい。
そうやって物語を咀嚼することも受容してくれるコンテンツ。あ〜、癒される。精神の安寧がすごい。

自分自身の最低な性質との対峙と、欲求を満たす最高の場所、同時に手に入れました。

 

 

 

左右の Braver

唐突にシンメの話していい?いいよ。

Jオタはシンメが大好き。例に漏れず私もシンメが大好き。
ちなみに私は語源である「シンメトリー=ダンスフォーメーションで立ち位置や振り付けが対称になる二人組」という意味でシンメという言葉を使っている。
仲良しコンビや正反対の性格の二人という意味で使われることもあると聞いたが、古のJオタなので「立ち位置シンメ」に熱烈な感情を抱いている。

これはアイドリッシュセブンではなくJの話なのだが(興味ない人は次の太字まで飛ばして)、シンメはの二人はデビュー前からセットで仕事をすることが多い。
むしろ私が追いかけていた世代はデビュー以前の関係性を指して「シンメ」と呼ぶことがほとんどだった。

シンメは、上に挙げた通りダンスのフォーメーションで対象ないしコンビを組まされる。
Jは人気や演出家(振付師)の采配によてダンスの立ち位置が前に出たり後ろに下げられたりするのだが、シンメは基本的に一緒に上げ下げされる。
立ち位置というのは結構シビアなシステムであり、人によっては非常に心を消耗する要素の一つだ。
シンメはある日突然組まされる。「君たちシンメね」と言われることもあれば、大抵の場合は「なんかいつもこいつと組まされるなー」みたいな感じでその歴史が始まる。
容姿、ダンス、キャラクター、年齢、いろんな要素で「この二人が同じ左右の立ち位置で踊れば美しい」と思われるペアが組まされる。
ダンスだけではなかった。バラエティでの受け答え、レッスン中の態度、交友関係、いろんな要素が混ざり合って偶然もしくは誰かの差配で運命共同体がスタートするのだ。

そんな感じで始まるので、シンメって別に仲良しではない。
たまたま仕事で同じになることが多いだけ。
でも同じタイミングで振り入れをしたり、相手の立ち位置を気にしたり、「あ、そんな感じで踊るならこうしよっかな」と影響を受けたり、ライバルだったり、相棒だったり、でも時に一番の理解者だったりする。昇るときも落ちる時も一緒だからね。

シンメ、いいでしょう。みんな好きでしょう。リアルアイドルのデビュー組だとこんな感じの二人が何十年と一緒にいる様をずっと楽しむことができます。

まあ、青天の霹靂で解体される物語もシンメの内なんだけど。

 


この世の中には脳みそを揺さぶってくる素晴らしいシンメがたくさん存在するんだが、
その中でも私が特に好きなのは“趣味が合わないが何故か気が合うオールフラット付かず離れずコンビ”だ。

基本的に趣味が合わない(嗜好が合わないではなくまじで娯楽アクティビティが被らないの意)から
休日にそこまで頻繁に遊びに行ったりはしない。なんなら趣味の合う友達は他のグループにいたりする。
インタビューを見るとその「他のグループの人と遊びに行った話」ばっかりトピックで出てくるんだけど、
しれっと「そういえばこの間アイツとごはん行ったときに」みたいな感じで名前が出てくる相手、それがシンメだったりすると、ほんと、あの、大好きなんですよね……。
シンメとご飯に行くことはもはや日常なのでわざわざ口に出さないくらいのやつ。

シンメの関係性を表す言葉としてよく「背中合わせ」「向かい合わせ」「横並び」というのが使われるのだが、私は割とどれも好き。
それよりも、肩肘張らずサラッと素でいられる関係性が好きだ。

「なんかアイツ最近あの辺と仲良くしてるっぽいですよね、俺はあんまりそういうのやらないんでわかんないんですけど」みたいな顔で”自分ではない趣味の合う友人たち”と交流してる相方を、別にジェラシーするわけでもなく、お互い「それがアイツの世界」って相手のソーシャルとして受け入れて、でも仕事終わりのサクめしはなんやかんや一番一緒にいく、みたいな……。

「結局すごしやすいのはこいつといるときなんですよね。長年立ち位置合わせてセットでやってきたから仕方ないのかも」みたいな……。
他の人と接してるときの顔はお互い知らないけど、真顔無言で穏やかにいられるのはお互いの前だけ、みたいな。

でも青年期を一緒に過ごしてきたからか、話が盛り上がると男子高校生に戻っちゃう。お互い一番キャラが剥がれて、真面目な話もふざけた話も等身大でできてしまう。
そんなシンメが…………

 

 

いた。

楽よ、趣味の合う友人と過ごす龍の姿は想像ができないか。そうだよな。
自分が絶対に参加しない趣味を楽しそうに遊ぶ相方は別のコミュニティの人に見えるか?

でもいつも朗らかニコニコしてる龍が、”人と過ごしてるのに”真顔で本を読むのは、お前の前だけだったりしないか。
誰の前でも全自動でお兄ちゃんキャラになる龍が、23歳の顔で世間話をするのはお前の前が一番多かったりしないか。
青年期を一緒には過ごしてないけど、二人が唐突に男子高校生になっておいかけっこする姿、あまりに容易に想像できる。実際そんなラビチャを見た。男子高校生になっちゃうコンビ本当に本当に本当に大好き。Jでもそんなコンビばっかり推してた。

天に対して「競争」と「受容」という真逆の姿勢を取ってる二人が、お互いに対して向き合ったときの姿勢を思うと夜も眠れなくなる。
憧れでもなく、敵対でもなく、同質化でもなく、差別化でもない。その明文化できない信頼関係が好きだ。
パフォーマンス中、視界の端や視界の外で相手の立ち位置を感じて合わせたり、ときにわがままに合わせてもらったり、「きっとあいつはこうするから俺はこう」がだんだん自分自身の個性になってきたり。
パフォーマンス中に言葉なしで意思の疎通をはかってきたシンメが好きだ。
かと思えば一番フラットな相手として真面目な話も心底ふざけた話もできる。言葉でのコミュニケーションが取れるシンメが好きだ。


今生でシンメに特別な感情を抱くことなんてもう無いと思ってたのに、まさかこんな形で、違う次元で出会うことになるとは思わなかった。

 

自分がこんなにシンメに熱を上げてるの、Jオタの文脈意外にも理由がある。
普段いる二次元ジャンルの影響で、祭るべき中心の人物を守護する双璧という構図に肚の底から沸き立ってしまう。赤と緑の騎士ではなくグレーとブルーの騎士だけど。
だからTRIGGERの3人が兵士っぽい軍人っぽい格好をしてると超興奮する。
TRIGGERはそういう衣装が多くて本当に最高。本当にありがとう。本当に性癖。
だが首元の開いてる衣装は気になって仕方がない。見た目としては好きだけどソワソワしてしまう。気をつけて、そこは人間の急所だよ。

 

 

 

 

森羅万象に神

十さんが八百万の神を信じてるところ、めちゃくちゃいい。
縋る神ではなく畏れる神。
どれだけ準備をしても気まぐれに天候を変えてくる未知なる存在に想いを馳せて、少しの諦観達観と覚悟を常に持ってる感じ。
「自分にはどうしようもないこともある」という俯瞰した強さを持ちながら「でもできることをする、しなければ立ち向かえない」という裸一貫の男らしさを感じる。

身体も器も大きな男性が、自分よりずっと大きな存在を思って質量のない虚空を想っている。バチが当たるとか、縁起が悪いとか、日頃の行いとか、そういう星のもとに生まれてるとか言いそうで好きだ。

神様に願うって、言葉尻だけ拾うと人間の弱い側面のように思えてもおかしくないのに、その主語がつなしさんだと思うと急に力強さに変わるのはなぜだろう。
許す/許さないのジャッジを繰り返す彼が、同じく許す/許さないのメッセージに使われる神様を思うこの構造の複雑さはなんだろう。
自分の中に確かな芯があって、どっしりしっかり頑固に構えてる男が、急に科学的な理論の外にある神様の存在に思考が飛躍することの、この変な気持ちよさはなんなんだろう。

 

十さん、どうしてあなたは神様に想いを馳せているだけでセクシーなんだ?
セクシーキャラはアイドル戦略のための作られたキャラクターだったはずだろ。
なのにどうして……どうして素でこんなに色っぽいんだ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ŹOOĻの話

しようか。

 

 

 

 

 

何を書いたらいいかわからん

 

 

十さんと御堂さんが邂逅した。

 

御堂さん、16人の中で見た目が一番好きだ。

ムビナナでもかなり気になっていた。とにかく見た目が好きだから。
MCを聞く限りも結構好きなキャラをしてそう。
闇を抱えた軟派なキャラが好きで、二次元の長身軟派キャラは大抵闇持ちなので。
本能が「たぶんこいつのこと好きだな」と思っていた。
まあ初見はトウマさんに釘付けだったわけなんだが…

この二人絡みあるのか、うれしいな。
長身で男らしい見た目のキャラクター大好きだからな。

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は?

 

 

ちょっと待て、ヒールなのかよ。
は?ムビナナ出てたよな?おい、ŹOOĻ全員ヒールかよ。
え、この4人がŹOOĻだよな?

待て待て待て、TRIGGER凋落させんの、よりによってŹOOĻかよ

 

 

 

ムビナナでTRIGGERとŹOOĻを推す♡とか呑気に言ってたやつ誰だ?俺だよ。

 

まじで何この展開。予想外すぎる展開なんだけど。
TRIGGERに胸痛めるのと同じくらい「ŹOOĻ、この後どうするんだ?」っていうハラハラが生まれてしまう。
これ、どう落とし前つけるんだ?どうしていくんだ?ここまで憎まれるようなエピソード差し込んで、どうやってあのムビナナに持っていくんだよ……

読み進めても3部の中には大した救済措置はなかった。
ガッツリ悪事に加担してた。動機は結構しっかりしてそうだけど、あまりにしっかりと悪役している。
勧善懲悪クールジャパンで育ってきた自分には、ここまでしっかりアクションしてしまっている彼らをいい感じに「こっち側」にするには犯した罪の2倍くらいの苦しみ味合わないと無理じゃないか?という思考でぐるぐるしていた。

いやでも、だからって少しもŹOOĻに酷い目にあってほしいとは思わないじゃん。好きなアイドルなんだから。
でもそうでもしないと物語的に主人公側のラインに乗ってこないよね?心から「このキャラクター好きです!」って言えないよね?
あんなにムビナナで対等な16人のメンバーになれないよね?

なに、これどう受け取ったらいい?

 

 

だからアイドルは公式情報以外いらねえって言ってんだよ。

はあ、すみません、取り乱しました。
自分の意志でスマホを手にとって読んでるので大丈夫です。思わず出てしまっただけです…………。

ステージの上でキラキラと輝く大好きなアイドルが、普通に良い感情も負の感情も持っている。自分がどうしても許すことができないことをしている世界線は、絶対にある。
その事実目の前にしたとき、自分の心を使ってた期間が一気に悲しいものになってしまう。自分の人生の中で一番好きだった時間が、容易く意味も形も変わってしまう。簡単に変わってしまうものとしては、あまりに私はアイドルを応援する人生が好きすぎる。

だから保身のために心に決めている。私が推してるのは東京都在住20代男性の人間じゃなくて、アイドルなんだ。メディアでいいんだ、作られた情報たちから人間像を想像して、偶像をちゅるちゅると吸うだけでいいんだ。これは自分のためのポリシーだ。
だから公式情報以外はシャットアウトするんだ。

 

だからアイドルの裏側は苦手なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

狗丸トウマよ、

ステージのことを真っ直ぐ直球で好きなアイドルが好きだ。

歌うことが大好きで、歌しか要らなくて、歌うことに命かけてるアイドルのことが好きだ。
そういうアイドル、いつも担当にはできないけど、いつも特別な気持ちを持っていた。担当なのかってくらい好きなときもあった。ライブで「このままぶっ倒れるんじゃないか」って勢いで歌う姿を見て胸が張り裂けそうな時もあった。
双眼鏡で自担ロックオンタイプの自分が、「この人が歌う姿を"今"目に焼き付けなければ」と肉眼を凝らしていたことがあった。

なんで担当にできないかって、みんなアイドルをやめてしまいそうな不安定さがあったから。歌が好きなんだもん。アイドルじゃなくていいんだよね。

 

狗丸トウマ、一回アイドルやめて戻って来たんだって。

人気あったのに、TRIGGERに勝てなくて解散したんだって。

で、ŹOOĻとして戻ってきたんだって。

 

私がアイナナ世界のオタクだったら、ステージに戻ってきたトウマを見てたぶんもう一生トウマのオタクじゃなかった世界に戻れなくなってると思う。

NO_MADがどんな解散の仕方をしたかしらないけど、トウマがどんなコメントを残して一度メディアから消えたのかわからないけど、
大きなプロダクションから、またステージに立ってマイクに向かって歌う姿を見たら、たぶん絶対にもう狗丸トウマのいない生活に戻れないと思う。

NO_MADがどんなグループだったか知らないけど、犬みたいな笑顔で歌ってたトウマがフード被ってギャングみたいな風体して「え、トウマそういうのが好きだった感じ?」って思うかもしれないけど。あの頃のまま、マイク食べちゃいそうなくらい大きな口開けて歌うあの歌声を聴いたら「やっぱりトウマだわ……」ってなってもう何も考えずCD買ってると思う。

再デビューが大きなプロダクションというのがいい。
「ああやっぱりトウマはたくさんのファンの前で歌いたいんだな」って思わせられるのがめちゃくちゃ、いい。
自分にとって理想的な「アイドルをやめないアイドル」すぎる。
キャラ変してもそこにいたいんだねと思う。メンバーが変わってもそこにいたいんだねと思う。

 

突然だけど、小説の一節を3つ見てほしい。
全て同じ「閃光スクランブル」という加藤シゲアキの著作からの引用だ。
まあまあ、興味がなくても一旦目を通してみてくれ。

アイドルにとっての”ライブ”と言う景色がどんなもんなのか、その片鱗が見えるので。

初めてのライブは圧巻だった。あのとき夢見た星が眼下にいくつも輝いていた。これがいつまでも続けばいいと思った。未来は確約されていて、それは絶対に素晴らしいものだと信じていた。

それでも、欲望はいつしか肥大する。もっとたくさんの星が見たい、自分もより輝く星になりたい。もっともっと人気者になりたい。

瞳に飛び込んできたのは、まるで数えきれない星が辺り一面に敷き詰められたような景色だった。観客がいっせいにペンライトを点けたのだ。カラフルで目映い光が亜希子の周囲を取り囲んでいた。

「おかしな話だな。応援してる奴のせいで狂うなんて」
「そういう世界です。そこで生きられるのはよっぽどの天才か、鈍感な人間だけなんです」
===中略===
「やめればよかったのに」
「誰だってやめられませんよ、ステージからの景色を見たら」

 

現役のアイドル兼小説家が描くステージから見た景色の描写だ。
勝手に自分の心の栞をはさんでいる。(素敵な本だから、気になったら読んでみてね)

我々ファンが絶対に見ることができなくて、でも我々ファンが一番この力を信じている。「ライブが楽しい」「ライブが好き」というアイドルのために、来る現場来る現場でペンライトを振る。

 

 



狗丸トウマ、なんでそこにいるわけ?

徹頭徹尾いいやつそうなキャラ造形で悪役側にいるんじゃねえよ。

 

 

トウマに関して、完全にリアルアイドルと同じ感情を抱いてしまった。
つまりどういうことかというと、キャラクターとして消費できなくなってしまった。
歌い踊る姿を見てると自分の古傷が痒くなって癒やされていく感じがする。
ZONE OF OVERLAPの「求めてんだ human nature」の腰ダンスで黄色い悲鳴を上げられなくなってしまった。「エロい〜!かっこいい〜!」ではなく、「ああ、惜しげもなくオタクが喜ぶパフォーマンスをしてくれて、ありがとう……」と胸が詰まる思いがします。Jの現場に入ってた頃と同じ気持ちだ。
脳みそが生きてる人間だと思ってしまってるので、性的な目で見られなくなってしまった。性的な目って響きやばくない?

 

 

まじかー……
これ、TRIGGERの仇かあ。

 

 

まじかあ〜……

 

 

ŹOOĻ、一人一人の印象については拮抗のクオーターと4部の感想の時に書くことにする。
3部時点ではなんかもう言葉にするのも割と避けたい感じだった。
顛末見てからじゃないとコメントしづらすぎるでしょ。

 

 

 

 

余談

今までもずっと妄想まがいの感想なんだけど、このパートは更に完全に妄想なので苦手な人は読み飛ばしてほしい。

 

 

狗丸トウマ、ムビナナのパフォーマンスを見る限り本当にステージを愛してファンを愛してるように見える。
少しも照れがなく、軽く流してるところがなく、キャラを作らず可愛こぶらず、自分の素のままの生身で、出来うる最高のパフォーマンスをしてる。ように見える。
アイドルっていうか、ステージを何よりも愛してるパフォーマーみたいな身の振り方をする。

でも溢れてる人間性はファンを心から愛してるアイドルそのもので、客席への誠実感がビシビシ肌に伝わってくる。

その二つを両立してる人に私は出会ったことがなかった。脳みそがこんがらがる。

狗丸トウマ、アイドルでいいのか。キミはアイドルでいいのか。
歌を歌うことだけに時間を捧げなくてもいい?

セリフを覚えるお芝居の仕事は煩わしくない?バラエティは嫌じゃない?自分の見た目に声援を送られるのは?

3部で狗丸トウマに会ってから見るムビナナで、ZONE OF OVERLAPの「どんな傷でも必要だって思えるように」のパートを歌う姿を見て、ライブでクソ長シャウトしてそのままぶちっと糸が切れたようにステージの上にぶっ倒れるトウマの姿を幻視してしまった。

ステージの上が本当の生き場所で、ステージの上だけで痛烈に昂るトウマを夢見てしまった。

あくまで個人的なイメージで、何のソースもないしほぼ二次創作みたいな妄想だ。
でもそんな彼が「メンバーを大切にしたい」と想って、『自分の意思で』アイドルをしてることが、本当に、「欲しかったけど手に入らなかったアイドル」すぎて眩暈がする。

 

 

 

vs IDOLiSH7

アイナナの冠にŹOOĻが来たシーン含め、対ŹOOĻ用特攻兵器(というか御堂虎雄用特攻兵器)逢坂壮五めっちゃ好き。
環くんが「なんか知らねえ人みたい」って言ってる顔の壮五がめっちゃ好きだよお姉さんは…ごめんけどもうちょっと見せて……。

「一度頭を下げた相手を忘れませんから^^」とか「逢坂の一族の結束は強い」とか、強キャラ感満載で非常に美味しい。

 

vs TRIGGER

3部、軽くメモとりながら読んでたんだが、ŹOOĻとTRIGGERが事件後の局の廊下ですれ違うシーンのメモにこれだけ書いてあった。

 

・レスバ最強TRIGGER

 

草。

ぼこぼこにされるŹOOĻちょっと可哀想だったしTRIGGERはなんでそんなに口喧嘩強いんだよ。

でもこのシーン、十さんだけレスバしてないなあと思っていた。十さんだけレスバしてない理由は4部で明らかになるので、その疑問は正しい。

 

 

vs Re:vale

今をときめくヤンチャボーイズŹOOĻも、圧倒的業経験値の前では敗北する。
Re:vale兄貴まじかっこいい。

アイドルの膝にペン突き刺して炎上しない百ちゃんはどうやって好感度コントロールしてるの?絶対夜の六本木で目撃情報あるタイプなのに、どうやってんのまじ。
百ちゃん、相変わらずアイドルレベルが一人だけ段違いでこわいよかっこいいよ…

 

千、お前が本気出したら世界を獲れる。一緒に目指さないか、世界。

 

vs メンバー

だからお前は、なんでそっち側にいるんだよ。

 

狗丸トウマ、メンバーのこと大切にしたいの?
ねえなんで?どうして?ブログ書いてるなら読むよ、月額払うよ、見せてくれよ。
どうしてそんなにメンバーに対して並々ならぬ想いを抱いてんだよ。
頼む、教えてくれ、頼むよ……………。

 

狗丸トウマが好きなこと、めちゃくちゃ苦しい。

 

 

 

 

 

 

はあ、可愛い十さんでも見て落ち着こ。

 

 

めっちゃ好〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 


Re:vale兄貴

 

 

 

太陽のEsperanza

 

り、り、Re:valeの兄貴〜〜〜〜〜〜( ;  ; )( ;  ; )

 

TRIGGERバックダンサーに仕込むのあまりにかっこよすぎでしょ。
日本で一番かっこいいアーティストじゃん。マジでかっこいい。すごい。

ねえ、Re:valeっていつもこんな感じなの?
いつもこんなとっぴなことしてくれるの?
ってアイナナ世界のRe:vale担に聞いてみたくなる。

アイナナ世界のRe:vale担、超肝座ってそう。
2部の旧Re:vale騒動の時は「Re:vale担……強く生きて……」って思ってたけど、これはたぶん言われなくても強く生きてるわ。
最強に担タレ*4しててほしい。

 

Re:valeベランダ事件

Re:valeさ、なんか常に劇場版してない?

Re:memberの話といい、ベランダ事件といい、太陽のEsperanzaといい、月雲了との因縁といい、ちょっと全部振りかぶりが大きいと思わない?

そして愛が情熱的でまた劇場版なんだよ、愛憎渦巻くってこういうことをいうんだねっていうのを見せてもらいました。

これがかの有名なベランダ事件かあ…………

 

 

 

 

 

 

 

結局、本音なんて到底わからない

MOP

IDOLiSH7が負けるパターンもあるんだ。
3部は本当にTRIGGERの章だったんだな。

 

あーTRIGGERの表題章のテーマが、これ、なんだね…………。
…………つらい道を選んでしまった感じがあるが。そこんとこどう思う?

 

正直、生粋のJオタなのであんまり賞レースの勝ち負けが得意ではない、自ユニが勝っても負けても居心地が悪い。

ただでさえストレス食べさせられてるアイドルに、勝ち負けっていう負荷かけたくない。まだそこにドラマチックさを見出せてない。

 

 

 

綺麗に見えて、ひたすらにリアルで残酷なところに落ちる章だった。

「二度と泣かせない」「二度と悲しい想いをさせない」
割と聞いてきた言葉だ。何度も。
何も考えず、額面通りに受け取れるような言葉ではなかった。
たぶん私たちファンが言う「一生好き」みたいな言葉なんだと思ってる。

その気持ちの大きさは、真剣さは嘘ではないってわかってるけど「いつかはなくなる」と思っていた方が安心感がある。
作中のTRIGGERが本気で醒めない夢を約束しようとしていることはわかっていても、ファンにはその真意はわからない。この言葉でアイナナ世界のTRIGGER担にはどこまで伝わるんだろう。

 

ゴシップが出たとき、天が何度も「ファンは迷ってるんだ、僕たちを応援していいのか、信じて良いのか」「ファンに僕たちを応援していたことを後悔させたくない」みたいなことを言っていた。
天、好きだなあと思った。そう言ってくれるアイドル、信頼しかないな。
でも結局ファンには多くを語らない。TRIGGERは言い訳しない人たちなので。

……そんなところまでリアルにしなくてよくない?

アイドルって、本当にこういうとき多くを語らないんだよ。リアルアイドルも。
こんなに日々私たちに心と言葉を割いてくれてるのに、そういうときは絶対に、何も言わない。それが正解だから。

ねえ、アイドリッシュセブンはフィクションなんだからさ「ファンに全部伝えて、不思議な力で永遠にアイドルやりましたー!〜𝐇𝐚𝐩𝐩𝐲 𝐄𝐍𝐃〜」でよくない?

よくないね。いつか終わりがあるかもしれなくて、「今しかない」というテーマを主題に置いてるからアイドリッシュセブンはいいコンテンツなんだもんね。

最高の名曲Pieces of The worldでも"僕らはひとときに過ぎない存在 でも"ってうたってるからね。(ここのパートで比較的長い距離移動してるつなしさん、ファンサしながら移動しててまじでかっこよくて好き)

 

 

すごい切ないテーマで描いてくれてるけど、これ今後の展開どうなるんだろう。

 

4部以降のTRIGGERの心理描写が怖い、怖いけど読みたくもある。
直接書いてくれなくてもいい、推察させてくれるだけでもいい。
でもどうか、どうか丁寧に描いてくれ頼む。

なぜTRIGGERがこの物語の中で土をつけられる存在だったのか、
絶望と再生の役割を担う存在だったのか、
それは全てこれ以降のTRIGGERのストーリーにかかってると思うから。

 

 

 

 

その他いろいろ

こういうのは泣けちゃうんだよな

TRIGGERのターンは防衛本能でメタ思考が働いちゃって泣けないのに、アイドリッシュセブンの話は泣けるんだよな。

壮五の音楽関連の話、なぜこんなに泣ける。
環に「作曲がしてみたい」と打ち明けるところ、なぜかわからないけどものすごく泣けた。
MEZZO"のエピソードに涙腺弱いな、自分……。

 

 

 

訴求力

 

なるほど、アイドリッシュセブン、はじまったな(n回目)

この二人、危なっかしくてしょうがないんだけど、このまま二人で落ちていったりしない?大丈夫?アイナナはお兄ちゃんがたくさんいるから大丈夫かな。

ちなみに、自分の好みとしては一織だけ落ちていってほしいんだけど…そこんとこどう?

 

 

アイドリッシュセブンというストーリー

ステージから降りられない一番星

アイドルを推すことと信仰は似ている。

オカルティックな話をしたいわけではない。
もう少し根本の、「人が何かを信じるとき」という話だ。

憧れという感情は人を強くする。憧れが強くなれば崇拝となり、ルールが伴えば信仰となる。
強く信じる対象は私たちに「行動する意味」をくれる。

人は理由とか信じるものがあるときに本来の力が発揮されるんだって。だからどんな文明にも神話があるし物語があるらしい。

私が見上げるのはアイドルだった。
一番星を信じてまた明日も頑張れる。
もう昔のことだが、アイドル好きが高じて進路を決めたし、アイドル好きが高じて自分の将来やりたいことを見つけた。

ありがとう一番星、一生手の届かないところで輝いていてくれ。

でもアイドルは手が届くし生きてた。
東京都在住20代男性は存在して、寝て起きて食べて悩んでいる。

アイドルの人間味に喜びながら、実際はアイドルに生きててほしくないと思ってたとき、
同じ人間でいてほしくないと考えてることに気がついたとき、私は普通に自分が嫌な人間だなと強く思った。

 

「アイドルを苦しめるのは、いつだって、好きの感情なんだよ」に引き続き、百がこういうセリフを言うのは彼が元々アイドルのファン側だったからこそなのかな。

銀紙くっつけて頑張ってる。スターじゃない。
でも必死にスターに見えるように頑張ってる。がっかりされたくないから。

 

きっつー…

 

まじでずっと、自分の罪を突きつけられてるみたいなストーリー。
私が15年間言語化せずに暗黙知にしていたことを綺麗に物語にパッケージしてお皿に出してくる。

アイドリッシュセブン、アイドル一人一人がまるで生きてるみたいな描写をしてきて、且つ、こんな心のやらかい場所をざくざくしてくる。

血みどろ超依存境界性皆無モンスターオタクでも製造したいんか?

 

 

自分の身体を失うみたいに、その歌が聴けなくなるのが切ないんだ

 

このセリフ、刺さった人100万人いるでしょ。

アイドリッシュセブン、何気ないシーンの何気ない会話の中で急に心臓刺してくる。

ティーンの時に聞いてた曲を聞くと当時の甘酸っぱい気持ちが蘇ってくるみたいに、就活の時に聞いてた曲がしばらく聴けなくなるみたいに、好きな人の着信にしてた曲を聴くと胸が高鳴ったりするみたいに、自分の物語がその歌にある。あるよね。マジであるあるだと思う。

アイドルがアイドルじゃなくなるとき何が悲しいって、もう大好きなあの曲のステージが見れないのが一番悲しい。
二度とメンバーと絡みが見れないのも悲しい。会いにいけないのも悲しい。
でもメンバーとの絡みはアイドルじゃなくなってからも意外と見れることがあるし、芸能活動さえしてくれていれば会いにはいける。
でも、あの頃の歌は歌えない。自分の中で輝いてた大好きな曲はもう二度とあの歌声で聴けない。大好きなダンスはもう二度と見れない。それに胸を引き裂かれる想いがある。

私はもう一度、ロマネが聞きたい、ヘブンリーが聞きたい、愛言葉が聞きたい、フルスイングが聞きたい、あの日のU R not aloneが、west sideが聞きたいよ。

新録じゃなくて、あの時のまま、聞きたい。

 

 

改めて感じる、ムビナナのミステリー
そういう意味でも、十さんとトウマさんはあまり不安定さを感じなくて推せる。
次元が変わってもこの嗅覚が当たっているのかどうかは今週末のお楽しみ。
(ムビナナ初見感想抜粋)

当たってたよ、よかったね。
結果的にどちらも「絶対にステージに戻ってくるアイドル」だった。

これ、自分の嗅覚というよりムビナナの表現力とキャラ造形が信じられないくらい高次元みたいな話なんじゃないか。
まあ6部まで読んでないのでまだわかんないけどさ。
仮に推しがこのまま安心して推せる推しだったとして、支払った心の代償もまあまあ大きいよ。

 

 

アイドリッシュセブン、何がなんでも己の人生に欠かせない一大コンテンツにしてやるからな。絶対にしてやる。
こんなに情緒かき混ぜてきて、ただのいちコンテンツで終わらせるなんて死んでもしてやんねえ。

終わらないアイドルが理想のアイドルだと言い切ってくれるアイドリッシュセブンが好きで、
大切にしまってた心の傷を美しいエンタメに昇華してしまうアイドリッシュセブンがめっちゃくちゃ、憎い。

 

 

おわりに

本当はもっと書きたいことがいっぱいあった。
Friends Dayのこととか、MEZZO"の「君の代わりに僕が怒るよ」とか、
ゲームで出会う若かりし旧Re:valeとか、
万理が音晴に「優しい君が得意としてた仕事だよ」っていうシーンとか、
千の言う「君の情熱は君を不幸にする」とか
TRIGGERの同居とか
SECRET NIGHTのこととか
桜春樹とかいうこれまた突き抜けて自分好みそうな男のこととか。

全然書ききれなかったんだけど、現時点でボリュームがやばいのでこの辺にしとくわ。

 

前後編とかに分ければよかった。書ききれなかったところはTwitter(X)とかに流すかな。

 

 

ちなみに、これだけ長々と3部感想書いておいてなんだけど、
個人的には4部のほうがキツかった。

▼4部履修中のツイート

 

3部だけはしっかり書かなきゃという謎の使命感で書き切ったけど、4部からの感想はもっとライトにする予定です。よかったら読んでね。
すっかり月間連載なのでペース上げたい。

 

とりあえず、バケモンユニットTRIGGER、4部以降も己の人生にしっかり刻み込むわ。

 





 

 

 

 

 

 

 

 

以上、

 

アイドリッシュセブンとドルオタと、心の分離と理想のアイドル

 

 

 

 

 

 

 

副題:ステージと星、アイドルの本音、まじめっちゃキツいわこの物語

 

 

 

 

 

 

*1:尊先…尊敬している先輩の略:J用語

*2:二次元の二次創作なら見るのは好き、自分の発言は基本的にA+B、ナマモノは完全にCP思想なし(自己紹介)(一応ね)

*3:ノブレス・オブリージュ…身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観。もとはフランスのことわざで「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞いをしなければならぬ」の意。

*4:担タレ…担当しているとファンがどんどんそのタレントに似ていくこと

アイドリッシュセブンとドルオタと、ムビナナ出の新規が体験すること【アイナナ本編1・2部初見感想】

 

アイドリッシュセブンアプリ メインストーリー1〜3部のネタバレを含みます

 

アイドリッシュセブンのメインストーリー1〜4部を読み終わった。

 

物語的にキリがいいのではないかと思い、ここで一旦初見感想をアウトプットする。書きたいこと全部書いたら馬鹿みたいに長くなってしまったので、今回は2部までの感想を。


なぜ今更アイナナのメインストーリーを読むことになったかという経緯については下記エントリをご覧いただけると話が早い。
恐れながら、気になってくれた方にはご覧いただけたらうれしく思う。

▼ アイナナのことをほとんど知らない状態で見た初見感想のエントリ

senobiiii.hatenablog.com

 

つまり遡ること30日余り前、友人に連れられたムビナナで唐突に十龍之介さんの沼に突き落とされた。
あれから仕事の合間を縫ってはシアターに通い、今日までに8回ほどムビナナを見た。浴びた。

 

世のマネージャーたちは既に何十回とシアターに通っているらしく、
なんか私の近くにもDay40くらいの先輩がおり、
そんな猛者たちに比べたらなんてことない回数なのだが。
人生で同じ映画を2回と見たことのない自分にとっては、間違いなく少し異常なひと月を過ごしていた。
冷静に考えてほしい。週に2回同じ映画を見てるんだ。こんなこと、あの日の落雷がなければこのさき一生なかったと思うんだわ。

ムビナナというコンテンツ、単体でも人の人生を狂わせるほどの力を持っているということはこの身を持って証明できているとは思うのだが、
おそらくもっと深い魅力の本質は“バックグラウンドストーリー”にある、ということは知っていた。
何よりもムビナナの劇中に散りばめられたキャラクターデザインと仕掛け、先輩マネージャーたちの発言からもそれは明白だった。

 

 

このエントリを書こうと思ってから、Twitterではあまりストーリーの感想やキャラクター内面の話をしてこなかった。
なんかこう、文字数等の制限なく自分の意見をアウトプットできるまで、中途半端に言及する気になれなかった。
いやTwitterが中途半端なアウトプットと言いたいわけではなくてね。

昔はブログにする前からいろんな感想を小出しで呟けていたんだけど、いつからか短い文章で言いたいことをまとめることがへたくそになったし、その時間も取れなくなってしまったなあ。

そんなこともあり、TLではもっぱら十さん初め16人の見た目の話やアイドルとしてのガワの話ばかり垂れ流していた…ら、マシュマロ等で「十さんは内面も素敵なのでもっと内面も見てくれ」というコメントをいくつか貰ってしまった。
ご、ごめん。いや、一応ちゃんとストーリーも内面も見てるよ…。ほんとだって。
スーパー面食いだと思われててちょっとだけ笑ってしまった。みんな…ありがと…優しく諭してくれて…。
まあ、あの、面食いって間違ってはいないんだけど……

 


先輩マネたち曰く、メインストーリーは展開がかなり重めということなので、心の余裕がある休日にまとめ読みをすることにした。
残念ながら平日は仕事で心をすり減らしている悲しき社会人なので。

結論、まとめ読みしたことを少し後悔している。
というのも、(土日休み族が故)まとめ読みをしていたのが土曜日だったのだが、
次の日の日曜にムビナナ2回目を予定していたこともあり、
3部読み終わりを映画に間に合わせるためにかなり超特急で読むことになってしまったからだ。
時間制約のある中でこんなヘビーストーリーの履修はするもんじゃないなと痛感した。


もしも、この4部までの本編感想をひとことで表すのだとしたら、
「こんなに向き合い方の難しい作品は初めてだ」
という一言に尽きると思う。


曲がりなりにもストーリーコンテンツ好きを20年やってきたというのに、過去、こんなにも感想が複雑に入り組んだことはない。
読み進めるにつれ、物語を受け取る自分の心の持ち方が次々と変わっていく。正直今も自分の気持ちについていけてない。
3部以降の感想も書くつもりではあるが、きっとこのエントリとは全く違う視点で見た感想を書くことになるのだと思う。うーん、ちゃんと言語化できるのかな。

取り急ぎ今回は
「ムビナナで十さんに落ちたオタクがストーリーで改めて十龍之介という男に出会う」
ということと
「ムビナナからアイナナにハマるということ」の二つがが大テーマだ。
大丈夫。まだ2部までの話だよ。きっと明るい。

さて、実際の感想に入る前に少し前提として書き手の当時の状況を置いておこうと思う。
興味のない人は感想部分まで飛ばしてほしい。

 

▼意味があるのかわからない目次

ごめん、長くて…

 

前提

本編履修前のアイナナとの関わり

趣味の合う友人先輩らに
「絶対にハマると思うから」
「どうせ群像劇好きなんだろ」
と教えてもらったアイドリッシュセブンアプリを、1部12章までぼんやりと進めたのがおよそ1年と少し前のことだった。
(ムビナナ初見感想では10〜15章と記したが、ちゃんと振り返って確認をした。12章読み終わりまでだった)

ムビナナ初見感想エントリにも書いた通り、それはもう、刺さらなかった。
自分のドルオタ経験が「アイドルの裏側」を拒否してしまうからだった。

 

 

実のところ当時、そもそもソシャゲ自体に「ハマれない」という結構深刻な先入観を持っていた。
過去にいくつかのソシャゲアプリをDLしたはよいものの、1週間と継続してプレイできたことはなく、いつからか敬遠するようになった。
もとよりコンシューマーゲームの畑にいた者なので、フルプライス特有の「ゲーム体験」みたいなものを無意識に求めていたのもあるんだと思う。期待していた楽しみと違っただけだ。

ちなみに(別ジャンルの話なのでここでは詳細は控えるが)今年の2月に推しゲーム実況者の影響で他のソシャゲアプリにハマり、今では無事ソシャゲへの苦手感は払拭されている。
オタクとしてまた箔がついてしまった。みんなが楽しそうにしているものを横目で見ているより、一緒にハマれる方が何百倍も楽しい。

 


そんなソシャゲハマれない事情も相まって、アイナナメンストの本当の初見は流し読みも流し読みだった。キャラの顔と名前も誰一人一致しないくらいの雑な進め方をしてしまっていた。もったいねえ。

念の為1部12章がどのあたりかというと、
IDOLiSH7がようやくデビューに漕ぎ着けてレギュラー番組が決まると思ったのに、スポンサーNGで降板になった」
あたりだ。
先輩に「この辺のストーリーで止まってます」と言ったら口を揃えて「どこだそれ?」って言われた。
1部12章時点ではまだアイナナの醍醐味部分に全く到達していないんだな、ということだけは理解できた。

 

書き手の話

個人的な視点でアイナナを楽しむにあたって、
切っても切り離せないジャニヲタとしての話と、二次元オタクとしての属性を書いておこうと思った。のだが、それを書き始めるとなんだか蛇足になりそうだったのでそのうち別エントリにメモとしてアップしておくことにする。

 

ストーリー感想

ムビナナ出の新規が読む、ということ

せっかくなので1部1章1話から改めて読むことにした。
しかし読み始めてすぐあることに気が付く。
これ、もしすると、少し変わった体験をしているのではないだろうか。

まだアイドルとしてデビューもしていないIDOLiSH7。序盤の彼らのストーリーを見る自分は、既にレインボーアリーナに立つ最新の彼らを見てしまっている。道中の色々は置いておいて、全てのオチがわかっている。
つまりどういうことか。
クライマックスシーンを冒頭に持ってきて、物語の行先を見せてから時系列の初めに戻り、順を追って冒頭のシーンまで出来事をなぞらせるストーリーのような、そんな体験になっているのだ。
大体の人がわからない例えをすると、ファイアーエムブレム覚醒だ。えーと、もっとたくさんの人がわかる作品だと…火垂るの墓か?

1部2部で巻き起こる騒動も喜びも、全ては彼らの“過去”の話として入ってくる。
アイドリッシュセブンの本来の構造としてはそのような作りではないのに、
それとは全く違う構成でコンテンツに向き合うことになっていると感じた。

 

 

これはこれで面白い。ムビナナから入った新規にしか経験できない体験だ。
しかしもどかしくもあった。私のような新規勢は、コンテンツを支えてきた先輩マネージャーたちと「同じストーリー体験」はもう絶対にできない。ひっくり返っても同じ楽しみ方をすることはできないんだなと、寂しく感じた。

そんなの、コンテンツの新規にはよくあることだ。よくあることだが、コンテンツの軸となるメインストーリーでも……というか二次元のジャンルでそれを感じることになるとは思ってなかったじゃん。



アイドリッシュセブンを作っているチームが(こういう場合運営って言うの?)、ユーザーひとりひとりの"その時の体験"をこれでもかと大切にしていることも大きい。
俺は新規だからよくわかんねえんだけどこのコンテンツさ、「ユーザー体験」みたいなことをど真ん中において、ファン全員を全員違った主人公にしようとしてくれる気がしねえか?そんなんだから余計に”体験の違い”を見つけてしまう。

私が知ってる二次元は、なんというかもっとライトだった。ジャンルとオタクが違う次元にあって、ユーザー体験はそれぞれのオタク側が作っていくようなイメージだった。
だからこそ何年も前に連載が終わった漫画に唐突にハマり出したり、自分が生まれる前のゲームで延々と創作活動をしたりする。

二次元というのはそういうものとして捉えていた。
だから、こっちの界隈で新規とか古参とかを感じることなんて、ほとんどないと思っていた。

しかしどうだ。「アイナナの歴史」は、「コンテンツの歴史」であり「ユーザー体験の歴史」だと思う。
私が慣れ親しんだ言葉で言えば「リアタイ勢」ってやつが存在する。

まあ、アイナナだけが二次元リアタイ勢を作り出してる訳ではないと思うのだが、とにかく私が今まで触れてきた二次元ジャンルの中ではないタイプの体験だった。
ことこの種類の体験に関してだけ言えば、まんま三次元ジャンルと同じ感覚だよ。

ユーザー体験を大切にしてるということは、リアタイ勢を大切にしてるということ。
リアタイ勢を大切にしているということは、「リアタイ勢のための」メッセージが多いということ。

新規の自分はそれらを後から見て「おもしれー」とは思えても、リアタイ勢と同じ感動を感じることはできないのだ。それが新規ってもんだからね。

だからって別に「新規が」「古参が」という話ではなく、それこそ、
「このジャンルにいるオタクみんなのこと"みんな"って言っちゃうけど、本当は一人ひとり違うユーザー体験の持ち主なんだよね」という話だ。
自分の体験は自分の体験、人の体験は人の体験。よそはよそ、うちはうち。

 

 

しかし、寂しくても悲しむことはない。はずだ。
まずアイドリッシュセブンというコンテンツに出会えたことが幸せだろ。
何を悲しむことがあろうか。

せっかくならこの体験を心から大切にしていきたい。ありのままの感想を書くよ。わかることわからないこと全部感じたまま書く。
私が古参の体験ができないように、ムビナナの出の新規の体験も我々にしかできないのだ。
ストーリーを何も知らない状態で、ただ目の前に差し出されたモーションキャプチャーのダンスパフォーマンスに沸き立ち、震えながらストーリーを追い、
3部読了後のムビナナ、4部読了後のムビナナ、5部、6部……と、
めくるめくムビナナの七変化を体験することができるのも、それこそムビナナ出の新規にしかできない体験よ。

先人たちの気持ちを「分かったふり」はしたくない。自分だけの体験を上書きしたくない。
先輩たちの言ってることが肌ではわからなくても、
わからないことがわかってもらえなくても、
これこそがムビナナから入った己とアイドリッシュセブンというコンテンツとの間にある体験だ。
…ま、いろいろ言ってるけど寂しいことに変わりはないんだけどね!?ただこの新規の寂しささえ、久しぶりに新規してるなーと言う感じがしてちょっと楽しい。
これは既に痛いほどわかっていることなのだが、私は産まれなおしてもきっとムビナナのタイミングでしかアイナナにハマれなかったはずなので、甘受してこの先を楽しむことにするとしよう。


16人のアイドルがあまりにも眩しくアイドルをしていた、
レインボーアリーナのあの日に向かって、彼らの「過去の話」を読み進めていく体験の感想だ。


諸事情により左手の小指が痛いのだけど、頑張って書いていくね。
平置きプレイは移動中にはできないのよ。音ゲー初心者は無駄に力むわけよ。キーボードでAとかW打つと痛え〜。

 

 

序盤の話

ムビナナで一人ひとりのメンバーのことを認識してから見る物語は、
初見の時とは全く別物と言って良いほど魅入るストーリーだった。
(別に初見でも大変素敵なストーリーだとは思う。ムッと思った人はまじでごめんけど初見のエントリの最初の方だけでも読んでくれすまん)

否が応でも全員のことを好きになってしまう。まじで大好きになる。
ムビナナ初見の時は「アイナナちゃん人数多いな〜」とか思っていたのに、今では7人全員が最高に愛おしい。
特に、初見のムビナナではあまり自分の目に入らなかった三月やナギの魅力が爆発する。

一度の履修で時系列順に覚えていられなかったので、印象に残っていることについてバラバラと感想を述べていくことにする。
ソシャゲ、ストーリー読み返しのハードルが高いのがちょっと辛い。
メモをとりながら読み進めたかったが、ゲームアプリを開いているとテキストアプリも起動できない。スピード優先で履修してるいると手書きメモも複数デバイスもままならない。
いろいろ間違ってるところがあったらごめんな。

そう言えばアイナナちゃんの中に兄弟がいたなーということや、
2人だけ先にデビューしたんだったなーという最序盤のことは一年前に初見を終えてしまっているので割愛する。



ミューフェス事件

ミューフェスで歌を飛ばした一織さんの件から。
この件は物語序盤の中では大きな事件だったように思う。
7人で積み上げてきたものを自分で壊してしまう重み。

きっとかなり心にくる場面なのだろうけど、
私はBEYOND THE PERiODのTOMORROW EViDENCEで
「色褪せない GENERATiON」と軽やかに歌い踊る一織さんを知っている。
だからか辛さはあまり感じられなかった。
序盤からガラスのプライドを持った堅物っぽいキャラ付けをされているが、
Welcome, Future World!!!でファンに対して女神の笑顔を向けていることを知っている

全ての壁を乗り越えた彼が辿り着く先の、あのパフォーマンスとあの慈愛に満ちた表情を知っているからこそ、
むしろ「この事件を超えて今の彼がある」という味わいさえ感じた。

彼が2部以降で過去を振り返った時に「あの時自分がしてしまったこと」という心の傷として思い返すことなのかもしれないと思うと、
それを知れたことに興奮さえする。

私は人の葛藤フェチだ。
ハッピーエンド前提で見せてくれる心の傷、もう戻れない過去、自分を変えてしまった出来事、大好物だ。

 

あのレインボーアリーナに舞う女神が出来上がるまでに、こんなにも胸を痛め、それをメンバーに受け入れられていたという事実がある。
一織さん、NiGHTFALLでも最高の歌い出しを披露してくれたのに、ストーリーでも最序盤に最高の背景を背負ってくれるではないか。

 

デビュー曲盗難事件

まさかモンジェネにそんな悲しいストーリーがあったなんて誰も教えてくれなかったんだけど。
アイナナも悲しいしTRIGGERもやるせなさすぎて、え、もしかしてこんな気持ち抱えてみんなモンジェネ見てた?

「盗作」というシンプルなエピソードの中に、悲しさと切なさと、歌われなくなった最高の楽曲『NATSU☆しようぜ』。いろいろありすぎる要素が絶妙なバランスで含まれている。

いや、なんでこんなエピソードが思いつくわけ?そしてなんて2部の終わりであんな風に回収できるわけ?
これを書いてるシナリオライターは何食べて生きてるわけ?
お願いだからいっぺんプロットを見せてほしい。本当にどうやって物語書いてるんだろう。

悲しくてやるせなくて美しくて、ユニット間の複雑な絆を作るエピソード。これ以上のものはなくないか。

2部終盤で「だって2人がこの曲を好きだって言ってたから」という天さん、好きの塊すぎた。
TRIGGER、3人がそれぞれの漢気で他の2人のことを思い遣り合っていて、なんというかすごいユニットだな。
十さんがいるとかそういうことを抜きにしても、TRIGGERのことを2部でめちゃくちゃ好きになってしまった。はあ、TRIGGERについてはあとでゆっくり語らせてほしい。



JIMA新人賞

Jヲタ、賞レースに詳しくない。
J事務所は「所属ユニットに優劣をつけたくない」という方針をとっていたが故、賞レースに参加することがほとんどなかった(最近の事情は知らない)

この頃の自分はまだアイドルオタクとしてアイナナというコンテンツを楽しんでいたので、1部終盤のJIMAでのTRIGGERとの争いは「なるほどね〜」以上の感想が持てなかった。
今ならストーリーコンテンツとして見て、アイナナちゃんの痛快なサクセスストーリーだわ…と思えるんだが。
ごめん、もうちょっと待ってほしい、2部も後半は比較的ストーリーを楽しんでるから。
この時点ではただのドルオタなんだよ。ストーリーを享受する筋肉の準備が整ってないんだ。

ストーリー中の十さんへの所感は後ほどまとめて記そうと思うのだが、一旦これだけはここで伝えさせてほしい。
推し、ずーっと喧嘩仲裁してる。もしかしておまわりさんなのかな?

 

 

この辺からたしか2部

RESTART POiNTER

IDOLiSH7のセンター交代劇の話をしよう。

エピソード順番がバラバラな気がするがどうか頼む許して読んでほしい。読み直す時間がない。
この感想をアウトプットしないと他の人の感想が解釈が見れないんだ。人の感想を読むと引っ張られてしまう性分なもので。

アイドリッシュセブンというコンテンツが楽しすぎて
毎日常にインプットとアウトプットに追われている。誰か助けてくれ。どうしてもこの沼から抜けられないんだ。

センター交代劇のあれそれは、一織と陸の二人の関係性あれこれよりも先に「アイドル本人の口からセンター事情の話をしてくれるの、誠実だな」と思ってしまった。

あまりセンターがはっきりしているユニットを推したことがないのでこれと言って芯食った体験談は話せないのだが。

「自分の言葉でファンに伝えた方がいい」と言って実際にアイドル本人の言葉で話せるだけのことを話させるの、
めちゃくちゃ誠実だよ。誠実というか、表現の自由がある。
アイドルって、言える言葉より言えない言葉の方がずっと多いんじゃないかなと思う時がある。アイドルになったことなんてないのでわからないのだが。
アイドルが口から発する言葉は全てコンテンツでブランドで商品だ。迂闊に変なことは言えない。
そんな環境の中で、一織さんと陸さんが自分の言葉で話すことができる。アイナナ世界のアイナナファンが少し羨ましいと言う気持ちが芽生えた。

しかしその後の事務所でのスタッフのやり取りの中で、「映像回してなかった〜」みたいな会話があって笑ってしまった。一瞬で入れなかったファンの気持ちになってやや心がそわそわ。
いや、活動初期のMCを円盤にして何十年も残してほしいとは思わないけど…「なんでそれ映像化してないわけ(泣)」みたいな思い出ってって切ないよね。。

一織さんと陸さんのコンビ、かなり好きなのだが、3部以降の方が話したいことがたくさんあるので一旦ここでは割愛しておく。
「七瀬陸のセンターを世界で1番望んでる男」が代わりのセンターになるの、まじちょっと性癖に来たわ、とだけ記しておく。

 

Re:valeの登場

Re:vale、2部まで全く登場しないキャラクターだったのか。

それなのにムビナナで全く初見感を感じなかったのはRe:vale推しの先輩と別ジャンルTLにさえ流れてくる二次創作のおかげだったのだろう。
この二人、見た目が特徴的で印象に残りやすいよね。

え、Re:valeってお兄さんポジションなの!?
ムビナナでユキが年長感を出してるのはDAY2のMCでなんとなくわかってたけど…こんなにお兄さんポジだったなんて聞いてないわ。
頼れる年上キャラ、大好きなんだが。

実は、本編履修前にRe:memberを読了していた。
Re:member自体は単品でとても面白くズビズビ泣くほど感動していたのだが、
本編前に読んでしまったことが、個人的には意図しない経験になった気がしている。

 

ここで言い訳をさせてほしい。実は私、ムビナナ前に「2部まで読んだ」と知り合いマネージャーに嘘を言ってしまっていたのだ。
これはもう本当に致命的な勘違いで、実際は冒頭の通り1部12章だったわけなのだが…… そんな訳で、「2部くらいで読んどいた方がいいものあります!?教えてください!」みたいな感じで履修キットをもらってね…その中に大好きな有菜先生の漫画があったから…手を出しちゃったんだ……。
「これ今読んだらダメなやつか?」と思わなかった訳ではなかったんだが、ホラこんなに流れが大切なコンテンツだと思わなかったからさあ、、

後から事実が判明して、私なんかより先輩がそれはもうめちゃくちゃショックを受けてた……本当に申し訳ない。
「後悔してる」って今でも言ってくれるんだけど、誤ったのは自分なのでな…むしろ我慢できなかった自分を怒ってくれ…。


でも今はぶっちゃけこの出会いのことなんて普段忘れてるくらいRe:valeのことめちゃくちゃRe:valeだと思っちゃってる。

最終的に出会いとか関係ないって知った。好きなキャラのことは遅かれ早かれどのみち好きになる。
(言い訳終了)

 

事情を知った上で出会うストーリー上のRe:valeは、私側の変な解像度が高すぎてしまったようだ。
展開上の「この二人はIDOLiSH7の支援者なのか?そうではないのか?」という演出や
「千は本当は百のことをどう考えているのか?」というモヤモヤ感を味わうことがさっぱりできなかった。最初からいいやつ。最初から仲良し。

そしてなにより、駆け出しだった頃の彼らから入ってしまっているので、
「お兄さん感」を感じづらくなってしまっていた、と思う。これはこの時点では非常に由々しき問題であった。
繰り返すが、自分は年上属性をよく好むのだ。

 

ドルオタの筋肉と、二次元オタクの筋肉

話が逸れるが、ストーリーを読み進めるうちに楽しみにしていることがあった。
それは「二次元オタクの筋肉で見た時の推し」を見つけることであった。

雷に打たれたように転がり落ちた十さんの沼は、私の「ドルオタとしての筋肉」を刺激されたことによるものだったと思う。

ムビナナのクオリティが高すぎて、二次元オタクのアンテナではなくドルオタのアンテナで受信したのだ。
5〜6年ぶり、担降りでいえば実に10年ぶりに突き動かされた筋肉は、とんでもなく深い杭となって突き刺さった。

……わけなんだが。別にアイドリッシュセブンはアイドルオタクになるゲームではない。マネージャーになってアイドルたちを支えていくゲームだ。

加えて、ドルオタとしての私は、アイドルの舞台裏がどうにも苦手だ。ドルオタだけの筋肉だけでは私は「アイドルの裏側」を読むことはできない。
だから自然と「二次元オタクの筋肉」でコンテンツを楽しむ必要があるなと感じていた。

アイナナというコンテンツ、ドルオタの筋肉を使う場面より、二次元オタクの筋肉を使う機会の方がよっぽど多そうなのである。
特にこの履修期間においてはなおさら。
だからこそ、「二次元オタクの筋肉で見た時の推し」を見つけたいと結構強く思っていた。

自分の二次元オタクの筋肉を刺激するキャラは大体の一貫性がある。
明らかに過去に闇を抱えてるのに、諦観もしくは自己防衛で軽薄そうに見せている、比較的長身で年上っぽい男。
常に冷静な狂言回しタイプだったり、客観視点の名言メーカーだったりすると尚ストライク。
惚れちゃいけないあぶねえ男だったりするとツーストライク。
過去の闇が「大切な人や世間に傷つけられた今ではどうしようもない経験」だったりするとスリーストライク。

別ジャンルの話あんまり興味ない人多いと思うが、伝わりやすいので過去の推し紹介ツイートを貼っておくね。

 

このラインナップ、かなり千が引っかかりそうじゃないか?(理解が浅かったらごめん)
ちょっとダウナー系だが、かなり好きなタイプだと思う。
だが、初見がRe:memberだったばかりに、どうしてもしばらくはツンツンとした天才肌の若かりし千のイメージが先行してしまっていた。
2〜3部読了時点ではそんな歯痒い気持ちを抱えていたのだが、4部を読み終わった現時点では無事千が二次元オタクの筋肉に引っ掛かってるので悪しからず。ただの遅効性の毒だった。
千の毒と同時に、3部でとんでもなく二次元オタク琴線をかき鳴らしてくるキャラクターが現れるのだが、そのことについてはまた後ほど。
そのキャラとの相乗効果で千のこともようやく二次元の筋肉で捉えることができたところもある。二次元の筋肉で捉えるってなに?字面やば。

 

ちなみにこの二次元オタクの筋肉とドルオタの筋肉の話で少し面白かった話がある。

私の周りの先輩マネージャーの中にも、ムビナナによって普段使ってない方の筋肉が刺激され、今まで推してたキャラクターの他にも滾るキャラクターが現れたりしていることが判明した。

たしかに好きだったけど、今までそんなに特別推すほどでもなかったキャラクターが、ムビナナきっかけでめちゃくちゃ好きになったということはないだろうか。それ、ドルオタの筋肉がピクピクしてるんだと思うけど、どう?

 

再びRe:valeの話

ストーリー感想に戻る。
それにしてもRe:valeのお兄さん感は非常にうまい。J事務所の先輩後輩関係も大好きだったので、百が後輩を呼び捨てにしてるところや千が環に昔の自分になぞらえてアドバイスしているところなんかはかなりアガった。好きです。

Re:vale、ムビナナで初見した時は「???いちゃいちゃしてんな?」って感じだったのに、こんなにかっこいいなんて聞いてない。
国民的アイドルで実力派だからこそのあのMCだったんだなあ…と気が付いて次のムビナナ鑑賞が楽しみになった。
ストーリーを履修してからのムビナナ感想もまたちゃんとエントリにしたいんだが…永遠に時間が足りねえな……。

 

▼時系列は3部読了後なんだが、一応ストーリー履修してから見るムビナナの感想

 

好きの感情が俺たちを苦しめる

バラエティでも実力派なRe:valeが登場してきて、アイナナのバラエティ関連の話が展開していく。

「アイドルを苦しめるのは、いつだって、好きの感情なんだよ」
という百の言葉、まじでちょっと耳を塞ぎたくなるな。
実はこのセリフ、アイナナにハマる以前にもTLで偶然見たことがあったのだが、実を言うとこのセリフを見て私は「アイナナは私には合わないのかもな」と思ったセリフだった。めちゃくちゃにいいセリフだと思う。これを言える百というキャラクターは言いようのない魅力があるし、これこそアイドリッシュセブンという物語の真骨頂だなというセリフだと思う。
でもだからこそ刺さる人には馬鹿みたいに刺さるんだよ……。こんな序盤に出てくるセリフなんだな……。
前後の文脈を知ったうえでもいざ目の前に差し出されると結構キツくて数秒手が止まった。

これ、同じドルオタ経験のあるの人たちはどういう気持ちでこのセリフ読んだんだ?
仮に彼らが本物のアイドルだったとして、自担の口から最も聞きたくないセリフランキングトップ10入りだろ…(こんなこと言うアイドル嫌だ、ではなく、こんな風にファンのせいで自担を苦しめたくない、と言う意味で)
う、苦しい……。

 

MC担当メンバー

この百のセリフの前だったか後だったか、三月がバラエティの才能に覚醒していく傍ら、世間からの「うるさいやつ」というイメージに悩まされる展開があった。またも胸に刺さる。
喋っても喋らなくても文句を言われるMC担当。そのくせ番組スタッフには好かれて起用が増えるMC担当。バラエティに出ずっぱりになると、どんどん「アイドル」のイメージからはかけ離れていくMC担当。心当たりがある。
私の知っているMC担当はどういう気持ちだったんだろうか。もちろん知る由もないが、IDOLiSH7の中のこの枠が誰よりアイドルに憧れを持った三月だというのがちょっとかなりグサっとしたし、同時に「大丈夫か?」となった。

バラエティ全振りのMC担当は、おそらくこの先もずっと茶の間には「アイドルらしからぬ」というイメージがついて回る。
MCの姿とパフォーマンスの姿のギャップが魅力でもあるが、世論はおそらくずっとMCのイメージのままだ。それでよいというアイドルもいるとは思うが、「アイドルでありたい」三月さんには、どうか自分の心地よいキャラを作り上げて欲しいと願うばかりだった。

 

夢のシャッフルユニット

Re:vale兄さんの粋な計らいでIDOLiSH7とTRIGGERのシャッフルユニットとかいう夢みたいな企画が始まった。事務所違うのにそんなことするの?まじ?
そうだ、アイドリッシュセブンはフィクションなんだった…ありがとう…。


十さんに落ちたその日にLOVE&GAMEの曲を教えてもらってまず一旦ひっくり返っていたのだが、改めて対面してももう一回ひっくり返れた。
十さん、そんなキャラ造形でその歌歌うの…?MEZZO”と…?
面白すぎるでしょ。
ラブゲ、曲入りがとにかく最高。

願わくば、Re:valeとŹOOĻを加えてもう一度やってくれないかシャッフルユニット。

そんで年末にはカウントダウンコンサートをしよう。

アンダルシア枠の曲はRe:vale兄さんのどの曲になるのかな。

 

MEZZO”と十さん

ラブゲ組のシーンになり、MEZZO”…というか環と理の話が進展していった。

なあ、環くんのキャラ造形、我々を泣かせるために作ってるよな?頼む、そうであってくれ。こんなに泣けることあんのかってくらいこのパートで泣いた。
何も知らないような無垢な少年が自分の悲願のために選んだ試練の道の中で、他者に出逢い「優しさ」を体現する術を学び、「この人なら」と向き合った相手に突き放される。(と感じる体験をする)
「俺頑張ったのに、結局だめなんじゃんか!」と叫ぶ姿には“いじらしさ”という言葉では足りない感情が込み上げてきた。普通にボロボロと泣いた。
泣く環を見た時に迫り上がるあの感情、うまく言語化できない。
庇護欲という表現では網羅できないし、幼少期の自分の記憶さえどこかシンクロする気がする。
何に変えてでも彼を笑顔にしなくては堪らない。じっとしていられないという気持ちになった。
こんなの絶対に環くんが愛おしくなってしまう作りになってるだろ。

ここでも推しの十さんは仲裁警察をしていた。
我々読み手のように環の努力を見ているわけではないにしても、環のこの姿を見て「君の態度がこの状況を招いてるんじゃないか」と諭せる十さん、あまりに父性の塊すぎて少しびっくりした。
この場面で、寄り添う訳でもなく、交通整理するでもなく、的確に指摘して和解に導くタイプなんだ…?
それは相当予想外であったし、それはめちゃくちゃ好きすぎる。兄属性長子属性の心にクリーンヒットした。
ムビナナの落雷は、普通にパフォーマンスとビジュアルとのわかりやすいギャップを好きになったところだったのだが、中身もこんなに深みがあるキャラだなんて聞いてないよ。

ただ、環くんと十さんが二人で話した後、壮五くんへの「おいで、仲直りしよう」という十さんのセリフはボロボロに泣きながらも15回くらい再生した。
我ながら気持ちの悪いオタクだなと思った。でも十さんに言ってほしい言葉ランキング暫定第1位的なセリフじゃんね。声が優しい。好。

 

 

 

スッキリRe:vale

百の声が出なくなる事件は、先述の通りRe:memberで見ていたので初見ではなかった。
お助けキャラだと思っていたキャラクターにもスポットを当てる展開に群像劇っぽくなってきたなと楽しめたし、兄貴を助けるために後輩たちが団結する姿は熱い。
頼れる系のキャラが弱っている姿はどうしてこんなに魅力的なのか…焦ったり誤魔化したりする百、正直めっちゃ萌えた。
物語の深みが見えてきたところで、ようやく少しずつドルオタとしての視点から二次元オタクの視点に徐々にシフトしてきていた。この時はまだ二つの視点があることに気が付いていなくて、意識的に切り替えることもできず割と苦しみながら物語を見たりしていた。

 

ツダケンボイスのダウナー男、登場

急にツダケンボイスの男が現れて不意打ち食らったと思ったらまさかのポジションで「アイドリッシュセブン、シナリオ面白すぎんか?」って転げ落ちた。
それにしても「自分自身がゼロになる」はいまだによく理解できないし、それを理解している天くんは本当に18歳なのかいよいよ怪しくなってきたな…。

 

その他の感想

Last Dimension、そのバージョンをムビナナでやってくれないか!?
劇中に出てきてびっくりした。
初めて出会ったラスディメがムビナナのバラードアレンジだったからライブ叩いてる時めちゃくちゃ戸惑ったけど、超かっこいいいじゃん。
バラードアレンジもかっこいいけど、この曲調でパフォーマンスする3人も見たいよ……。

 

こんな感じで、2部までは割と十担のドルオタとしてストーリーを楽しんでおり、それはそれでアイドルの裏側はきついながらも楽しく読んでいた。
アイドリッシュセブンというコンテンツに対するポジティブ感情が大きすぎたので多少の心の痛みはあまり気にならず、勢いのままに読むことができた。
しかしこの心の持ちようが3部まで続くことはなく、3部でドンと苦しむことになる。大切なことだからはっきりと言及するが、作品との距離感を間違えてはいけない。自分の身に覚えがあるような作品ほど、適切な距離感と視点を常に意識しながら読むべきだ、いいね?

 

 

ストーリーで再開する、十龍之介という男

立ち絵だと印象が違う、それがまたいい

ムビナナでものすごい落ち方をしてしまったが故、序盤は十さんが画面に現れるたび胸が高鳴った。別に意識していなかったとしても。我ながら熱に浮かされてんなと思う。
十さん、立ち絵だと雰囲気違うな。ムビナナより少しばかりか男臭さを感じる。
履修前に先輩とのLINEグループで歴代の十さんのイケてるビジュアルを送りつけてもらっていた時から感じていたが、彼、最近の作画になるにつれてシュッとしてきている。
具体的には髪の毛の外ハネがなくなってスッキリした髪型になってきている、気がする。
ムビナナのモデリングだとほとんどないよね?外ハネ。
三次元アイドルの「この頃のビジュ最高〜」「若い頃かわいい〜」みたいな感覚でとても良い感覚だ。

想像通り人畜無害で善良を絵に描いたような人だった。
優しい声、優しい顔、優しい言葉遣い、そんな人があの顔あのダンスでBEAUTIFUL PRAYERをやってるんだと思うと興奮する。

家の借金を返すためにアイドルになっただと?そのダンスと歌はどこで覚えたんだよ?
え、八乙女パパが借金肩代わりしたってこと?その上で弟たちを大学に行かせたいってこと?
それがアイドルになった動機?出稼ぎなの?
自分のための理由は?ないの?その歳にして実質家長枠なの?マジ?
どんだけ人のためにステージに立ってるんだよ、後述するが、自分はファンを含む人のためにステージに立つアイドルが大好きだ。
どうせその中でステージに立つ喜びを見つけるんだろ。

 

ダンスがうまいという公式設定

なんと、ダンスがめちゃくちゃうまいという設定がついているらしい。
ムビナナでそれが絶妙に再現されているところ、(少なくとも数多くのオタクがそれに衝撃を受けているところ)改めてムビナナというコンテンツのクオリティを思い知らされた。ムビナナのことがどんどん好きになるよ…。

十さんがダンスうまい設定ということに滾って美プレのダンスについて感想をいろいろ書いたのだが、その部分だけで2,000文字を超えてしまったので別エントリとすることにした。また後日。

 

父性、長男、家長、王様、ジャッジ、令和男子

MEZZO”との絡みの時にも書いたが、善人でありながら父性的なスパッと厳しい優しさを持ち合わせてるのは少々以外だった。
ムビナナのMCではとにかく優しさに表現が全振りされていたので、記号的にそういうキャラクターなのかと思っていた。
もっと母!って感じの「ありのままでいいんだよ」系かと思ったら大間違いだった。母は母でも母なる海の方の母。つまりは厳しさを兼ね備えた(つーか厳しさが本質の)力強い優しさだった。自立せよ自立せよとけしかけてくる、ある種テリブルマザーと対局にある強い優しさ。

楽と天の仲を取り持つ姿からも、ある意味長男的な王様気質を感じる。自分が正しいという自分の正義への心からの信頼。ケーキがあったとして、3人いれば3等分するのが絶対に正しいと疑わないような王様感。
人に合わせているようで、その揺るがない善良さに実は楽と天が合わせているような(たまたま彼が善良で正しかったからこそ合わせざるを得なかったような)構図に感じる。

「2人ともけんかしないでくれ!…俺のために。」

なんてその典型例だ。初見のときは『天然か?かわいいな』とか思っていたが、MEZZO"仲直り仲裁を経てから見てみるとあまりに王様長男ムーブで「好みだ…………」と五体投地した。

おそらく基本的にいつだってコンプライアンスを遵守できてる令和男子なくせして、なんか変なところでほんの少しわからずやだし、ベッドが狭いのは嫌だし、頑固だし、お礼は必ず言ってほしがるし、「結局のところ俺がやらないと」と思って他人を無意識にコントロール(抑制)しようとするタイプ………だったりしたら、萌えます。非常に。自分それはもうものすごい長男フェチなんで。

ムビナナ初見時にも「雄っぽさあるってこと…?」と感じて、セクシービーストキャラ設定を見た際に「これが例の雄っぽさか…?」と思いつつ少し違和感があったものの正体は、どちらかというとこの長男性であり父性であり雄っぽさの方がしっくりくるなと感じた。
まあ現状見えている情報の中で長男確定情報はないのだけれど…まあ長男だよね?
この父性的な長男的な要素は3部以降に確信に変わるので、言語化できたらその時にでも言及したい。

喧嘩仲裁警察でありながら(そもそもこの喧嘩仲裁も「ダメなものはダメ、仲良くするべき」という信条を感じる)人のことをとことん褒めるものまさに兄という感じだ。きっと弟たちを褒めて育ててきたのだろう。
人を褒める人大好き。一緒に推し活しない?
だが褒めて人を育ててきた人は大抵、叱って育ててきているもので。正しく善良である人ほど、褒めると同じくらい叱るという「許す・許さない」というジャッジを人に施してきた人でもあるわけで。楽と天に対する仲裁も喧嘩を許す許さないという話として捉えるならば、彼のこの思考はかなり尖ったもののように思う。
突然だが、私は葛藤フェチでありながら、ヤンデレとかどうしようもない男とか人間くさい「それはあかんやろ」フェチなのだが……十さん、期待して良いか?あなたのその信条が、闇を孕んで手がつけられなくなって転がり落ちていく展開を期待しても良いか?
…と、2部読了時点では思っておった。4部読了時点の自分からのコメントは差し控える。

 

筋肉枠かよ

筋肉属性は全くないので(むしろヒョロガリが好き)あまり萌えはしなかったが、筋肉は1日にしてならず。ストイックにコツコツ頑張っていることの賜物だと思うと非常に美味な属性だと感じた。
そしてこれは二次元なので設定上はマッチョでもあまり作画に表れないので気になったことはない。むしろ二次元であれば作画に表れても平気かもしれない。ああ、二次元って神。
現実世界の僧帽筋三角筋上腕二頭筋はない方がタイプだ。どうでもいいね。

 

最高の酒癖

酔っ払うとうちなーぐちになって絡み酒になるの、やばすぎんか?考えうる最高の酔い方じゃないか?

私は担当してきた三次元アイドル達が軒並みお酒を嗜む人たちだったこともあり、アイドルの健全な飲酒情報が大好きなのだが、まさかこんな…こんな美味しい飲酒情報があるなんて思わなかった。

三次元アイドルの酔っ払った姿なんて、早々見られるものではない。人間性のような深い部分まで見えるのがドルオタだが、存外「どんな風に酔っ払うか」は分かりづらい情報なのだ。
さまざまな公式企画の中で飲み会をすることもあるにはあるが、仕事中なのでセーブはするだろうし、ましてや十さんのように個性的な酔い方をする人は尚更その姿を見せてはくれない。現に十さんの酔い方はアイナナ世界のファンに公開されることはない。
その姿、最っっっ高にかわいい。最高。

普段はみんなの良心として人畜無害で大人な性格してるデカい男子が自由奔放になって人に甘えて迷惑かけてやれやれってされてるの、最高の重ねがけか〜?
その上覚えてないんじゃん。記憶飛んでるのに事務所から禁酒令までは出されてないってことは、ちょっとめんどくさいけどやべーことはしないし人を傷つけるようなこともしないってことでしょ???
最高です。最高に最高。
そんなアビリティを持ちながらお酒が好きで隙あらば飲もうとするのも最高。清廉潔白な人の弱点って…最高にセクシーだよね…。
自分で弱点を踏みにいくその隙の多さも完璧だよ十さん。

 

彼女いないってまじ?

余談だが、私は女性向けコンテンツに疎い。

ソシャゲに触れられなかった期間が多いのと、元のジャンルが女性向けではないコンシューマーゲームと少年漫画なので、あまり女性人気の強いコンテンツのお決まり等を知らない。
完全に知らない人としての所感だったのだが、十さんには彼女がいそうだなと思っていた。全く全くそんなことはなかった。
十さんどころかアイナナに出てくるメンバーには誰一人彼女がいるという(描写がされる)ことはなかった。
確かにな、我々現実世界のマーケティング的にめちゃくちゃアイドル的な戦略を立てられている。プレーヤーはマネージャーだけどユーザーはドルオタだ。そんな展開をするにあたって彼女なんかいるはずない…ってことだよね。
というか一応主人公=自分にできるようなシステムだし…あれでも恋愛ゲームではないしな…。

普段のジャンルだと普通にキャラ同士の恋愛がそこここで起こっている故のカルチャーショックだ。

がっかりもしなければそこまでうれしくもないので「そうか、そうだよな」という気付きを得ただけなのだが。

今となっては完全に外れた解釈なのだが、十さんのあの控えめで余裕のある感じ、メンバーの中でも特に「俺が俺が」しないあの感じは完全に満ち足りている男のムーブなんだよな…
まあ、女性関係がどうであろうと、余裕のある男は最高。

男兄弟の中で育ったが故か女の子の扱いに細心の注意を払ってそうなところも推せる。ついでに楽やナギへの反応からしてめっちゃ面食いなところも可愛くて好きだ。女子に対してはどうか知らんが、都会的なイケメンに赤面(!?)する姿はピュアな感じがして「お前!!」ってなる。
鏡を見ろ鏡を、健康的なセクシーさを理解しろ。いや理解してるのか。理解してるからこそのファンに向けたあの爆イケパフォーマンスだもんな。

 

かっこつけてくれてありがとう

「自分は他のメンバーに比べてあんまりいけてない」って思ってるアイドルが好きだ。そんな自意識が邪魔をしてくるのに、ファンのために、ファンが喜ぶから、ファンの前でカッコつけてくれるアイドルが大好きだ。
普段は全然カッコつける感じの性格じゃないのに、ステージの上では、カメラの前では、スイッチを入れてくれる、しかもそれがちゃんとかっこいいアイドルが大好きだ。
自分のためのかっこつけじゃなくて(それも好きなんだけど)、ほぼ100%ファンのためのかっこつけをしてくれてる姿が本当に大好きだ。
素地でかっこいいというより、積み重ねられたアイドルとしての経験が為すかっこよさに心が掴まれる。
自分のことをかっこいいって絶対に言わなそうな十さん、全力で「かっこいいよ!」って言いたくなる。
ドルオタが迫害される時代を生きてきたのでその名残からメンカラを身につけることがどうにも苦手な自分だが、それでも「あなたのファンがたくさんいるよ」って何某かでアピールしたくなる。

ビースト…?

セクシーでセレブな男のキャラ作り、ドルオタ的所感で言えばかなり無理のある設定だなと感じた。(後の展開に必要な設定なんだなとは理解できたが)

三月さんのMC項でも触れたが、茶の間にはそのイメージが流通したとして、オタクはだいたいその先の素を感じ取ることができる。
公式の情報だけを集めているタイプでも、露出が多ければ必ず人間性を見透かすことができるものだと思っている。アイドルってそれくらいパーソナルを切り売りしている職業だ。

インタビューの端々から感じ取ることもできるし、
トークバラエティでも咄嗟の受け答えに滲み出るものだし、
スタッフレポートのエピソードや他タレントからの言及でも素の性格は見えてくる。
ラジオみたいな企画性の薄いコンテンツだと素を出さざるを得ないし、
もしアイナナの世界にタレントが自分で執筆する会員制の日記コンテンツがあるならば、たぶんそれは素の塊みたいな内容になってると思う。
人は意外と自分で書いた文章で取り繕うことはできない。のではないかと、たくさんのアイドルの日記コンテンツを見てきて思った。

というところまで考えて、アイナナはフィクションだということを思い出した。
あぶねえ。マジであらゆるクオリティが高すぎて現実世界と混同してしまう。


 

ムビナナで衝撃的な出会いを果たした十さんとのストーリーパートでの再開はこんな感じだ。

もう、ほんと、中身までメチャクチャに好きだった。どこまで好きにさせたら気が済むのだろう。彼のせいで生活がめちゃくちゃだ。

無害な性格も兄属性も見た目もパフォーマンスも、知るたび全部好きになる。そして全部のセリフの声が好き。

この辺までは目がハートのまま物語を楽しみながらも担当アイドルの新規情報に胸を高鳴らせていた。

最高の推しとの出会い、毎日が楽しすぎる。

 

 

十さん以外のメンバーの印象

TRIGGERについて

八乙女楽

八乙女楽、あまりに良すぎるキャラ造形。
想像を軽く超えてきた。
楽さんが人気キャラクターなことはあらゆる情報からもわかっていたし、私の周りの先輩マネにも最推しではないにしろ楽さん好きがいるのでさぞ素敵なキャラクターなんだろうと思っていたけども。
めちゃくちゃはっきりラブコメ要因なのかよ…
紡へのめちゃでか矢印、たまらんだろ。
しかもそれが“血”なのが最高に滾るな。この親にしてこの子ありだよ。
遺伝子レベルで紡に惚れることが決まってたんじゃん。本人は気付いてないところがまた…くっ好き。
バカ正直クールってなんだよ。都会的江戸っ子イケメンってなんだよ。
思いやり漢気直情リーダーってなんだよ。それなのにクール背負わされてるって?
抱かれたい男No.1なのに彼女いないこと気にしてるって?
こんなの好きになるに決まってるわ。みんなの言ってることが理解っちまった。好きです。

 

九条天

九条天、あまりに可愛い。
予想外におもしろボーイで不意打ち食らった。
もっと堅物キャラなのかと思いきや優しくて可愛くて歌もうめえし顔もいい。
よっぱらい十さんに「うみんちゅ、うみんちゅ」って言ってるシーンで完全に推せるスイッチが入った。
そんなおちゃめな返しできるとか思ってなかった…。
陸に対する兄ムーブもめちゃくちゃ良かったですね。
長子というものは末子に対して一生一人前の目で見られないとも言われていて、
病弱な弟のイメージも重なって非常に…非常に兄だった。
何度も言うが私は兄属性が好きだ。
天さん、TRIGGERでは最年少で弟ポジなのかと思ったらそんな一面も出してきて
「この男…深い…」となってしまった。「僕だってエロいよ」にたまげてひっくり返ったんですけど、あんまり記憶がない。

いつもは仲裁警察してる十さんが酔っ払った途端二人で介護モードになるの愛おしすぎないか?
酔っ払ってまでメンバー褒め倒す十さん愛おしすぎないか?
天さんが飲めないから代わりにアルハラ受ける楽さんカッコ良すぎないか?

 

TRIGGER…

TRIGGER、この時点で3人の関係性が最高すぎるのに、加えて自分達は“““““友達”””””なんだって……。
推してるユニットのメンバーがインタビューで「メンバーはどんな存在?」って定番の質問もらった時にしてほしい回答がなんだかわかる?
圧倒的「友達」なんだよ…………。※個人的意見
「家族」もいいし、「戦友」もいいし、「腐れ縁」でも「どんな言葉にも変えられない、TRIGGERって存在です」でもいいんだけど、個人的には「友達」って回答が一番グッとくる。
仕事仲間なだけじゃないって感じがして、もし仮にこのユニットがなにかの拍子に無くなってしまったとしても、関係性がなくなるわけではないんだっていう安心感をくれる気がするから、グッとくる。
家族のように役割がはっきりしていて、守護者と庇護者が分かれているわけでもなく、全員が対等に「お前がどう思ってようと関係なくて、俺がお前といたいから一緒にいる。お前もそうだよな?」見たいな関係が……本当に……。
くそ、「友達」コンビ好きの感情が爆発する。TRIGGERはトリオだけど。
TRIGGERって名前、トリオって感じがしていいよね………。

十さんの項で「ジャッジする人」という表現をしたが、TRIGGERは3人とも己の正義でジャッジする人、という印象を受けた。

己の正義でジャッジした上で、お互いを守っている。なんて尊くて美しいユニット。


そんなTRIGGERのみなさん、移動中も絶対に衣装着てるのなんなの?
テレビ局から出る時も絶対あの衣装でちょっと笑ってしまった。

2部のエンドカード、今見るとやばすぎ。胸が痛え。

 

みんなの印象

特に気になってるメンバーを数人手前に

二階堂大和

二次元オタクの筋肉で見た時の推し、見つかる。
二階堂大和、1セリフごとに好きになってしまう。もう喋るな。

次から次へとクリーンヒットなセリフを生み出すな。
飄々とした諦観感じる性格、闇を抱えてそうなセリフ回し、長身、お兄さん属性…っつーか一人称「お兄さん」ってまじ?
私の推し傾向を知る友人の間で行われたムビナナを見に行く前の「せのび推しダービー」では二階堂大和票が多かったのだが、納得のキャラクターだった。
序盤で紡と一緒に八乙女事務所に謝りに行くシーンの時点で既に好きだったわ。
そして初見感想で「このふわっとしたダンスは絶対キャスターかドラマ担当」と予想した枠はドラマ枠だった。どちらかというとキャスター枠だと思ってたけど、アイナナのキャラクター年齢が全体的に若いからかキャスター枠はいなかった。
悪役がうまいとか、ちょっとかなりぞくぞくするな。私は金八先生第5シーズンやラストフレンズが大好きだ。
二階堂さんの抱えてる闇、早く見せてほしいような見せて欲しくないような感じだ。
私は推すキャラの闇は「もうどうしたって解決しない」方が好きなので、綺麗さっぱりしてほしくない。
してほしくないよ二階堂さん…。でもあんたの抱えてる黒いものが知りてえ。

2部読了時点で「くそ、好きだ…くそ…」と思っていた彼だが、3部でドンガラガッシャンと崖の底に突き落とされるシーンが来てしまったのでそれはまた時が来たら。

 

四葉

無垢なこどものような優しさと本質を見抜く力、成長の様なものが心にダイレクトアタックしてくる。
やけに人の心の機微に敏感なところとか、壮五が自分に憧れてるわけじゃないってわかってた(けどそれでいいって思った)件とか、喜んでくれる人がいるならそれでもいいのかも、という新しい目的を信じられるところとか……。
全部の言動が真心すぎて、全く人をコントロールしようとしない優しさがいじらしい。考えてるだけで胸がギュッとなる。
寄り添い方が猫そのもの。猫飼ったことないけど。
長身に大人っぽい顔の造形で見た目だけならクール寄りのキャラなのに、言動がいい意味で5歳児なのが……でもやっぱり「兄」なんだなっていう優しさが心にくる。スーパー兄枠の十さんに思いっきり懐いて安心して欲しい。
兄だけどコントロールしようとしないんだよな。兄だけど小さな家長じゃなかったんだろうな。ウッちょっと悲しくなってくる。こんなに心に訴えかけてくるキャラの家庭環境が複雑って、まじでプレーヤーの心をどんだけいじめたら気がすむわけこのゲームは。
余談だが、ダンスが超絶うまいという設定を見て少し驚いた。
……ならば、ムビナナのモーションはもっとやんちゃでもよかったのかな?と思ってしまった。
メインストーリーだけの印象で言えば、細いし若いので、筋肉なのか脂肪がないだけなのかわかんねえな!みたいな腹筋を見せながら異次元ダンスをしそうなイメージだ。
ダンスがべらぼうにうまいメンバー特有の無重力感のあるダンスとかを先頭に立ってやってそうなイメージがある。
こう……ジャニヲタならわかるかな、あのダンスだよ…あの……。モーションだとアレを表現するのは難しいのかな。
未成年なのにオタクに「抱いてー!」って言わすダンスなんだし、たぶん本当はやべーダンスするんだと思う。見たい。


和泉一織

ムビナナの女神感が印象大きすぎて、「こんなに堅物キャラだったんだ」という印象が強い。
そしてこんなに陸と喧嘩じゃれあいしてるんだという驚き。もっと仲良いのかと。
だってムビナナでずっと一緒にいるよね?あれ?そんなことない?
個人的にはおもしれー男1番枠。
こんなにしっかりしてるのに弟キャラなの、絶妙なキャラ造形で作者はどうやって全体のバランス考えてるんだ?という感じ。
めちゃくちゃキレものムーブしておきながら大人になりきれずに相手と衝突するの、弟だ〜。愛。
「かわいい人だな」のシーンから、「いよいよ“アイドリッシュセブン”が始まったんだな…」と思わせてくれた。
なるほどアイドリッシュセブンはこういう話だったんだな。
というか、あんたがモノローグ枠だったのかよ…


和泉三月

応援したくなるを体現してるキャラ。こんなのずるい。
可愛い見た目して男前なのがずるい。リーダーは大和さんでもキャプテンは三月さんって感じがする。
彼が自分に自信を持った先に爆発する未来が見たくて仕方がないでしょ。
アイドルへの憧れを語る度、Welcome, Future World!!!の「でも同じくらいキラキラ」のシーンを思い出して泣く。三月さん、本当に頑張ってほしい。
もし自分がアイナナの世界にいて、三月がこの辺りの葛藤をテレビで吐露してるシーンなんか見たら、きっと三月色のペンライトを振るためだけにアイナナの現場を探すと思う。オレンジのペンラで会場をいっぱいにしてあげたい。
オレンジの…ペンラ……オレンジか……

 

逢坂壮五

あまりパッとしないキャラだなと思っていたのに、お父さんの話くらいからめちゃくちゃ輝いて見えてきた。
ビジネスマン的造形のキャラがいると思わないじゃん。なんだよ資料作るって、社会人のオタクかよ。
「王様プリンが好きだって、1日に●回くらい言ってるのに」(数字忘れた)
「それを達成するには3分間に●回くらい言わないと無理なんだよ」(数字忘れた)
みたいな、理系の彼氏みたいなこと言うところめちゃくちゃツボだわ。
ただ、倒れるまで働かないでくれ、上司はそういう部下が一番困る。
頑張ってくれるのは嬉しいけど、体は有限だしメンタルも有限だからな?
絶妙なバランス保って、全力だけどサステナブルな労働は最もシゴデキ。だけど限界突破して倒れたらそれは翻ってシゴデキナイだからね?なにより悲しいくて悔しくなるから、もう絶対にしないって約束してほしい。

六弥ナギ

好きにならざるを得んわ、こんな人。
全部のセリフが達観しすぎて50歳くらいのキャラなのかと思っちゃう。人生2週目パターンか?
カタコト枠、珍しすぎて「共感できるかこれ…」と思ってたのが嘘みたいに鮮やかに印象が変わった。
RPG世界線なら絶対強い武器とかくれる変わり者の長老のセリフ回しだもんな。
秘密主義なのは今では理由がわかってるんだが、あまりに優しさが他人に向いていてもはや人間味がねえよ。その矢印を自分に向けて、プリーズ。
女性好きというキャラ設定もまだあまり意味が見出せていないので今後に期待。
とかく今は「好きにならないわけがない完璧人間」みたいに見えている。個人的な性癖の話で言えばもう少し病んでもらえると助かる。

 

七瀬陸

主人公だと思ったらキーマンポジだった。
身体が弱いタイプのジャンプ主人公。この手のタイプの成長や悲願達成を突きつけられるとオタクはさめざめと泣く。
持病というトピックや天との確執に関する展開はあれど、彼の気持ちの機微にフォーカスされるシーンは少なく、まだあまり彼の内面を理解できてないな〜という印象。
以外にも一織に怒ったり、楽と紡を取り合ったりする。次の瞬間にどんな行動してるかわからない魅惑ボーイ。
どちらかというと陸に対しては「こんな印象」というより、「なぜそんなに歌うことに執着するのかいつか教えてくれるのか?」という感想が大きい。
ステージに立ちたいと主張するシーンは繰り返し出てくるが、その動機として挙がるのはメンバーや天のことが多い印象。もちろん彼にとって大切であることに間違いはないのだが、その矢印がファンに向く瞬間が来るのならばそれを楽しみに待ちたい。

顔の形と配置が好き。圧倒的センター顔。
顔の骨格がセンターの骨格をしている。しかし彼はデュオなのである。
全方位に気を使うマン。そんなに頑張ってて疲れないのかな。
いや、疲れたから声出なくなったのか…。
十さんに「龍」って言ってくれる年上、ありがとうの気持ち。
「Re:memberの記憶消してえ」Part1。お兄ちゃんしてる百先輩に初めましてしたかった感。
ムビナナでは千への矢印がデカすぎて目が眩んでたけど、よくよく単体で見たらあんたがナンバーワンアイドルだよ。
業界への根回しとか上下関係とか全部含めて、あんたよりアイドルしてる人いない。
語弊を恐れず申し上げるなら、ダーリンのこと最強に好きなのはわかったから「あんたのオタクを大切にしてやってくれ」という気持ちになった。
だってアイナナ世界の百担、苦行すぎないか?
Re:valeを表す冗談(?)で「百に落ちた瞬間失恋した(千がいた)」みたいな表現をよく見かけるが
夫婦売りも良いけど、ちゃんとリアコ売りもしなさいよ!?という気持ちだ。
ちゃんと一人でananの表紙とかやりなさいよ?たまにはファンに愛してるって言いなさいよ?
ごめん、どこ目線の感想か自分でもわかんないんだけど、とにかくあまりに百の矢印が千に向いてるもんだから…
ドルオタとしては黙っていられなくて…
いや、これこそ「それぞれの好きの気持ち」が百を苦しめているのか…?もうわからん。俺はRe:valeがまだよくわからん。

 

「Re:memberの記憶消してえ」Part2。まあ4部読了時点の今ではようやくあまり出会いの形が関係なくなってきた。
ストーリー感想でも触れたが、思ってたよりずっと好みのキャラ造形をしていた。
正直ムビナナでは精悍な感じのモデリングにピンときていなかったのだが(それは大和さんもそう)
言葉選びとか喋り方とか存外おもしろお兄さん、そんなコミカルな表情するの!?という立ち絵も好き。
というか髪下ろしてる千めっちゃ良いんだが。
口をひらけば名言が飛び出す名言メーカー。そんなところもめちゃくちゃタイプ。
年齢でいえばただの若造なのに言葉に含蓄があってぞくぞくしちゃう。
この手のタイプがダンスしてるの、めちゃくちゃに萌える。そう、これは萌え。

私は「普段ダンスとかしなさそうなタイプ」が踊ってる姿に異様な魅力を感じる。
今の所は一織、大和、十、千がその枠。多いよ。ありがてえ。

 

大神万理

大神万理のことが、まだよくわかんねえ。いっぺん歌って踊ってみないか?話はそれからだと思うんだ。

ちなみに自分がアイナナで誰に落ちるかダービーの1位は万理さんだった。
たしかに好きなキャラ造形をしている。なんで過去隠して飄々としちゃってんの?
なんで芸能事務所にいるの?なんで?なんで?

めちゃくちゃ闇深そうでそわそわするのに、存外さっぱりしてて強くて頼れて「若いのによき大人ポジかあんた」となった。
よき大人ポジのキャラ、大好きだよ。でも性癖できけばもっともっと拗らせて病んでるタイプがズドンとくるんだよな。
なあ、いっぺん歌って踊ってみないか?
そういうことしないから万理さんはいいのか。ごめんなさい。

 

 

 

 

キャラ所感は以上。

アイドリッシュセブンというコンテンツ、まじでめーっちゃくちゃおもしろい。まだ2部だけど、すでに出会えてよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

余談

本編を読んでいて度々思うことがある。

アイナナ世界のアイドルたちは、ファンのことを真っ直ぐ誠実に愛してるんだなと。
別に過去の自分の経験がどうであったから気になるとかそういうことではない。
……いや、そういうことなのかもしれないけど

とかく、アイドルがファンのことをどう捉えどう考えているかなんて、絶対に絶対に、それこそ本人以外は、本来は絶対に知りようもないのだ。
それをこうして本人たちの心の底からの気持ちとして、大前提としてファンを大切にしていることを提示されると…こう…いいようのない切なさみたいなものを感じる。

なぜ君たちはそんなにファンを大切にできる。なぜ君たちはアイドルを好きでいられる。なせ君たちはメンバーと手を取り合うことができる。
そうあって欲しいと思えば思うほど、彼らの原体験や気持ちの源泉が気になってしまう。この先もそれが揺るがないかどうかが気になってしまう。揺るがないでいて欲しいと思って必死で探してしまう。

今の所、作中でファンへの想いを表現するシーンは大抵あっさりしている。あたかもそれが当たり前かのような描写だ。
おそらくそんなに読者を刺しにきているポイントでもセリフでもないのだろう。
重要なシーンではないとわかってはいても、彼らがファンを大切にするような素振りを見せるたび、胸をかきむしりたくなる衝動がよぎっていく。

環くんが「俺ファンのこと嫌い」と言った時、傷付くどころか少し安心した。そうだよねと思った。私は心の底で「そうだよね」と思ってたんだなと浮き彫りにされた瞬間だった。

それでいい。いつか壊れてしまう「ファンが好き」よりも、誠実じゃない理由でステージに立ち続けてくれた方が100倍マシだ。
100倍マシだけど、それが人の幸せを願うことと重なっていると言い切れない。

 

ハマってしまったがゆえ、アイドリッシュセブンというコンテンツへの飽くなき探究心が燃え盛っている今だからこそ、勢いで読んでいられる。

平常ではかなりきつい。メインストーリーを真剣に読んでみて改めて思った。
と、同時に、あまりにアイドルオタクとして十さんに降りてしまったがゆえ、コンテンツを見る目が全くのアイドルオタクだからこんなにきついのかなとも薄々気付いてきていた。

このコンテンツとの距離の測り方が難しい。
自分の人生の中の多くを占めている事柄を題材にしたコンテンツは、準備なしで享受してしまうとこんなに生身をズタズタにしてくるものなのだ。
これまでも自分の人生にしっかり関わってくる作品には触れたことがあったし、その痛みにカタルシスを感じて楽しんだことも一度や二度ではなかった。

 

しかしまあ、アイナナについてはもう少し客観的に見れる様にならないと、と思っていた。
別にこの作品が特別だからとか、アイドルというテーマが特別だからというわけではない。
ムビナナでドルオタ落ちしてしまったが故、確実に「その当時」と同じドルオタの感受性で情報を受け止めてしまっているからだ。
ストーリーを楽しむのではなく、あの頃の自分の人生経験を癒しを求めて追体験しているというか…。
えーと、うまくいえないがとりあえずこのままだと、作品とキャラクターと自分の境界が曖昧になってしまう。


それはつまりどういうことか?いらんネガティブ感情が生えるってことだよ。
楽しくやってる趣味で普通に深く傷つく可能性が出るってことだよ。

心無い(ように見える)意見に胸を痛める未来が待ってるってことだよ。
心無い(ように感じる)意見だって人の意見だ。
ユーザーが作品を見て思う感想に不正解なんてない。
「そういう意見もあるよね」っていうスタンスが取れない楽しみ方は、自分が思う「自分らしい」コンテンツの楽しみ方ではない。

まあ当時はこのことにうっすら気がついていながらも、どう距離を取ろうかと思う暇もなく翌日のムビナナに向けて3部を読み進めていたわけなので、葛藤は続く。

 

最後に3部履修中当時の自分のツイートを先出しして終わろうと思う。

 

果たしてアイナナとの距離感をうまいこと掴むことができるのか。

この分量でいちいち感想書いてたら6部の感想書き終わる頃には年明けてそうなんで次回はもう少しスマートに書く。

 

以上、

アイドリッシュセブンとドルオタと、ムビナナ出の新規が体験すること

 

 

副題:この作品はドルオタのカタルシスになりえるのか